第４回は福島・喜多方市出身のドラフト４位・伊藤茉央投手（２２）＝東農大北海道＝。球団創設時から楽天を愛するご当地選手が開幕１軍からの成り上がりを目指す。

　１７年の歳月を経て、憧れのユニホームに袖を通した伊藤茉は「夢みたいな感覚。楽天ファンの身からしたらワクワクな日々ですね」と心を躍らせながらキャンプでハードなメニューに取り組んでいる。球団が創設された０５年当時は５歳。何度も仙台の本拠地に通った根っからのイヌワシ党だった。喜多方高から進学した東農大北海道は地元出身者も多く、周囲はほぼ全員が日本ハムのファンだったが「一人だけ楽天を応援していました」と楽天愛を貫いて生きてきた。

　高校２年時に元巨人の斎藤雅樹氏の投球フォームをまねしてサイドスローに転向した。甲子園出場はかなわなかったが、大学では１年から全国の舞台を経験するなど素質が開花した。４年間で最速は１４８キロを計測するに至り、プロの道を切り開いた。

　チームには希少な横手右腕。「テンポ良くストライクを取って打たせていくのが持ち味。そこをアピールしていきたい」と意気込む。カーブ、スライダーに加えて、元西武の潮崎哲也氏を研究したシンカーが最大の武器。対右打者のワンポイント起用も選択肢に入ってきそうだ。

　１２日から始まる第３クールからは他球団との実戦が組まれており、アピール合戦のゴングが鳴る。「素晴らしい投手がたくさんいますが、引かずに自分の持ち味を出していきたい」と決意を口にし、こう続けた。「東北出身ということもあるので、東北のファンの皆さんと一緒に戦いたい。一日でも早く開幕から本拠地のマウンドに立ちたいです」。東北に１３年以来の歓喜をもたらすために―。まずは鍛錬に励む。（長井　毅）

　◆伊藤　茉央（いとう・まお）２０００年１１月１９日、福島・喜多方市生まれ。２２歳。塩川ブルーファイヤーズで野球を始める。塩川中では軟式野球部。喜多方高から東農大北海道を経て２２年ドラフト４位で楽天に入団。右投左打。１７６センチ、８０キロ。年俸８２０万円。

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