ファンも待ってた!“マリーンズの伝説”となった澤村拓一のロッテ復帰「戦う姿を見せられたら」
ベースボールキング
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2023.1.28(土) 14:26
ロッテに帰ってきた澤村拓一
「澤村拓一です。3年ぶりに、千葉ロッテマリーンズに帰ってくることになりました。日本一熱いファンの前で投げられることにとても興奮しております」。2023年1月28日。澤村拓一がロッテに帰ってきた。
突然の報せだった。球団から会見の件と7時55分にプレスリリースが届く。そのメールの本文には13時から記者会見が行われると書かれてあった。朝からネットニュースでは“澤村ロッテ復帰へ”の文字が踊り、SNS上でもマリーンズファンを中心に復帰報道を喜んだ。おそらく澤村の復帰記者会見だろうと思い、私もZOZOマリンスタジアムへ向かう。
多くの報道陣が会見場に集まる中、13時00分、澤村は吉井理人監督とともに、スーツ姿で登場し、冒頭の言葉を述べた。
◆ 伝説の男
マリーンズファンが澤村の復帰を喜ぶのは、20年9月7日に香月一也とのトレードで加入し、在籍期間はわずか3カ月弱だったが、その働き、その存在感は、3カ月以上のものを残してくれたからだろう。
同年9月8日、ZOZOマリンスタジアムで行われた日本ハム戦、澤村にとっては移籍後初登板となった同試合でのインパクトは今なお、マリーンズファンの心に強く焼き付いている。
当時のチーム状況を振り返ると、2位・マリーンズは、澤村が加入前の9月4日からの首位・ソフトバンクとの3連戦で3連勝し0.5差にゲーム差を縮め、勢いに乗った中で迎えた日本ハム戦だった。午後に入団会見を終えたばかりの澤村は、ユニホームが間に合わず、福島明弘打撃投手の背番号“106”を借りてマウンドに上がり、3者連続三振の圧巻の投球。試合後にはお立ち台に上がり、「名前を呼ばれたときの声援は絶対に忘れません。これからはマリーンズのために腕を振っていきます。よろしくお願いいたします」と、マリーンズファンのハートをがっちりと掴んだ。
ここから全ての伝説は始まった。加入直後は勝ち試合の6回を任されていたが、勝ち試合の8回を担当していたハーマンが9月16日に、『右手第2指伸筋腱損傷』で一軍登録を抹消。澤村は勝ち試合の8回を担当することになった。同年9月20日の日本ハム戦(札幌ドーム)では、3-3の9回に守護神・益田直也が登板していたため、2点勝ち越した直後の10回に登板。3つの四球で満塁のピンチを招くも、渡邉諒を二ゴロに打ち取り、移籍後初セーブを挙げた。10月に入りチームは失速しリーグ優勝は逃したものの、澤村はマリーンズのために腕を振り続け、4年ぶりCS進出の立役者となった。
同年11月30日に「今回は色々な人と話をした中で、おもいきって行使をすることにしました。自分の野球人生なので、悔いのない選択をしたいと思います」と海外FA権行使を表明。新背番号『14』を用意してマリーンズは待っていたが、20年2月にレッドソックスへの移籍が決定となった。ここで伝説の第1章は幕を閉じる。
レッドソックスでは移籍1年目の21年に55試合に登板すると、昨季は49試合・50回2/3を投げて、1勝1敗、防御率3.73。メジャーの舞台で躍動する中で今オフ、「自らの気持ちで決断したからには、千葉ロッテマリーンズさんのために腕を振る決意をしています」と、千葉ロッテマリーンズを移籍先として選択。強い覚悟、強い決意を持って3年ぶりに復帰となった。
20年の活躍からマリーンズファンの澤村への期待はとても大きい。そのことについて質問すると、澤村は「良い悪いはもちろん結果として出さなきゃいけないので、プロなのでそこは自分の中で追い求めていきますけど、とにかくどんな時も前向きにチームを鼓舞するような戦う姿を見せられたらなと思っています」と意気込む。
背番号は今季から黒木知宏投手コーチが現役時代に背負った『54』に決まった。“伝説の第2章”が幕を開ける。
取材・文=岩下雄太