オリックス・山本由伸投手（２４）の来オフのメジャー移籍が濃厚であることが２７日、分かった。山本は大阪・舞洲の球団施設で契約交渉し、２億８０００万円増、日本球界歴代３位タイの年俸６億５０００万円でサイン。その席上で昨オフに続き、メジャー挑戦の希望を伝えた。球団側はその意思を尊重し、ポスティング制度での移籍を容認する方向で調整していくとみられる。

　山本が来オフ、メジャーに移籍することが濃厚となった。

　かねてメジャー希望を公言。今年も契約更改の席で「野球界のトップのリーグ。そこでやりたい気持ちはもちろんあります」と球団に思いを伝えた。

　オリックスでは今オフ、吉田正がポスティング制度でＲソックスへ移籍。イチロー以来のポスティング容認で“前例”を作った。「（球団側も）『分かっとるわ』という感じで、思いは十分に伝えた。（吉田）正尚さんが許可していただいたように、全くダメというわけではない、という会話をした。選手の目標を全く否定することなく、対応していただいてます」と腹を割って話し合った。

　球団は今後、慎重に対応を決めていくが、山本の功績などを踏まえ、その意思を尊重する方向。山本の海外ＦＡ権取得は最短で２０２７年と先で、球団内には、若いうちに夢をかなえてあげたいという声があり、来オフ、ポスティング制度での移籍を容認する可能性が高い。山本は来年８月に２５歳となり、現行のＭＬＢのルール（海外選手は２５歳以上かつプロ経験６シーズン以上）でメジャー契約を結ぶことができる。

　契約更改では年俸６億５０００万円でサインした。１８年・金子の６億円を超える球団史上最高額で、楽天・田中将、巨人・菅野に次ぎ、横浜・佐々木と並ぶ日本球界歴代３位となった。「チームの勝利を一番に、というテーマでやっていた。球団も素晴らしい評価をしていただき感謝しています」

　史上初の２年連続「投手５冠王」（勝利、防御率、奪三振、勝率、完封）に輝き、ＭＶＰ、沢村賞にも２年続けて選出。６月１８日の西武戦では無安打無得点試合も達成した。久保管理部長は「２年連続、飛び抜けた成績を残しているので最大限の評価をした。（２年連続沢村賞など）ポイント制にはないものをプラスアルファした。彼は今までにないことをやってのけた」と説明。今オフに契約更改した選手では、ソフトバンク・柳田の６億２０００万円（日本野手歴代最高）を超え１２球団トップに立った（楽天・田中将は未更改）。

　会見でメジャーへの夢を語った山本。「とは言っても、オリックスの一員。変わりなく、とにかく全力で３連覇、日本一２連覇を狙いたい」。まずは来季も絶対エースとして君臨する。

　◆由伸に聞く

　―吉田正はＲソックスと５年１２０億円超の大型契約。

　「ほんまに、さすがやなと思いました」

　―吉田正の移籍決定後に連絡は。

　「ＬＩＮＥを何度もしました。『おめでとうございます』と送ったら、ハワイからバカンスしている自撮り写真が送られてきました」

　―日本が世界一になったＷＢＣ第１、２回（０６、０９年）は小学生だった。

　「小学校で学校のテレビはなかなかつけてもらえることがなかったが、見た記憶があるような、ないような…。でも、特別な大会だということは、小学生の僕でも感じ取れた。（今の）自分がすごく近づいているという実感が多少ある」

　◆記録メモ

　▼…山本（オ）が２億８０００万円アップの推定年俸６億５０００万円で契約更改。６億５０００万円以上は、２１、２２年田中将大（楽）の９億円、２１年８億円（１９、２０年６億５０００万円）の菅野智之（巨）、０４、０５年６億５０００万円の佐々木主浩（横浜）に次いで４人目。球団では１８年金子千尋の６億円を抜いて最高額。

　▼…６億円到達は、今年の村上（ヤ）に次いで１２人目。７年目での到達は、村上の６年目に次いで、菅野と並び２番目。２５歳は２３歳の村上次いで２番目。

　▼…２億８０００万円アップは、５番目の大幅アップ。球団では１８年金子の３億に次ぐ昇給額だ。昨年も２億２０００万円増で２億円以上の増額は２度目。２度の２億円以上アップは、菅野が１８年２億２０００万アップの４億５０００万円、１９年２億円増の６億５０００万円に次いで２人目だ。

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