【楽天】松井裕樹投手インタビュー WBCでの世界一へ向けて示す「6年目の成長」

スポーツ報知

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2022.12.1(木) 07:59

今季32セーブを挙げ2度目のセーブ王に輝いた楽天・松井裕

 楽天・松井裕樹投手(27)がこのほど「スポーツ報知」のインタビューに応じ、来年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場への思いを激白した。チーム最年少21歳で臨んだ17年の第4回大会は「いい場面で投げさせてもらえなかった」と不完全燃焼に終わった。貴重な左腕として日の丸を背負うことになれば6年の歳月を経て成長した姿を示す。(取材・構成=長井 毅)

 野球強豪国の威信をかけての争い。しびれる大舞台のマウンドにまた立ちたい―。松井裕は冷静な口調で胸の内を明かした。

 「世界最高の選手たちが集まる大会ですし、前回17年の時も行かせてもらって、キャリアを通じていい経験にもなった。その中であの時の自分はいい場面で投げさせてもらえなかった。今回もし選ばれたら、6年たって自分がいい場面でしっかり投げられるようになったのかを示したいというか、力を出し切れたらいいなと思います」

 17年大会は3試合に登板し2回2/3を投げ無失点に抑えた。東京で行われた予選ラウンド(R)の登板だけだったが、メジャーリーガーを主力に据えたオランダ戦は延長11回までもつれる激戦となった。

 「ああいう緊迫した試合でいい場面を任されている投手はすごいなと思いました。僕なんかはそういう役割を与えてもらえなかった。その時は牧田(和久)さんや、平野(佳寿=現オリックス)さん、千賀(滉大)さんだったりが(勝ちパターンの継投を)任されていた。ああいう緊迫した場所で投げられるようになりたいなと思ってここまでずっとやってきた。そのチャンスがあるなら、こんなにうれしいことはないです」

 21歳とまだ経験が浅かった面はあったが、松井裕の中では戦力になれなかったという思いも強かったのだろう。一人のプロとして大会後は一回りも二回りも大きくなって日の丸を背負うことを誓い、ここまでキャリアを積み重ねてきた。

 「上の世界を見られたことで、その後のシーズンで自分が目指していかないといけないレベルを感じられました。『現状はまだまだだよ』と思わせてもらった。6年たった今、自分がどういう場所にいるのか。日本代表を背負って投げられるのか。最高の選手に対して、自分が何ができるのか。楽しみでもあり、不安な部分もあるけど、チームに与えられたところでしっかり仕事ができればうれしいです」

 15年の「プレミア12」の準決勝・韓国戦では敗戦につながる押し出しを与えるなど苦い経験もした(注1)。9回に則本が突如崩れ、2点リードの無死満塁でマウンドに上がったが、押し出し四球。1死も奪えずに降板し、チームは逆転負けを喫した。今でもあのシーンを掘り起こされ、批判されることもあるが、その批判も力に変えてきた。

 「15年の自分と同じだったら、恥ずかしい限り。そうならないような時間を過ごしてきたつもりですし、その時間が無駄にならなかったと見せていきたいし、リベンジという結果としてチームに返せれば」

 この言葉通り、結果で着実な成長を証明してきた。19年に38セーブをマークし、初めて最多セーブのタイトルを獲得した。今季も53試合で1勝3敗32セーブ、防御率1・92の好成績で2度目のセーブ王に輝いた。

 年々の進化も止まらない。今年2月の沖縄キャンプからフォークの改良に取り組んだことで、奪三振率が昨季の12・35から14・46へと飛躍的に向上。この数字はモイネロ(ソフトバンク)の14・87に次ぐ2位で救援日本人トップだ。フォームについても「土台ができて打者との対戦に集中できるようになった」。制球力を表すK/BB4・37(注2)は球界トップクラスの抑えであることの裏付けだ。試合終盤の勝敗を分ける場面で三振を取れる投手がいれば首脳陣としても頼もしい限りだろう。しびれる展開での投入にも自信を持つ。

 「もちろん抑える気持ちでいますし、この6年の自分の成長を示していかないといけない。ジャパンのユニホームを着て、いい場面で投げたい。それがどんな場所であっても、チームのために、代表が世界一になるためのしっかりとしたピースになりたいです」

 言葉の節々には熱い大和魂が宿っていた。

 【注1】15年11月19日のプレミア12準決勝・韓国戦(東京D)。3点リードの9回、則本が3者連続安打などで1点を失い、無死満塁で松井が救援もストライクが1球しか入らず、押し出し四球で降板した。

 【注2】K/BB 奪三振(K=strikeout)と与四球(BB=Base on Balls)の比率。投手の制球力を示す指標の一つで3・5を超えると優秀とされる。

 ◆松井 裕樹(まつい・ゆうき)1995年10月30日、横浜市生まれ。27歳。桐光学園から13年ドラフト1位で楽天入り。2年目から抑えに転向。プロ9年で通算442試合に登板し、23勝43敗、68ホールド、197セーブ。防御率2・48。174センチ、74キロ。左投左打。家族は妻で女優の石橋杏奈との間に1男1女。年俸2億5000万円(推定)。

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