育っていないようで育ってる?育っているようで育ってない!? ロッテの左腕事情
ベースボールキング
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2022.11.13(日) 11:00
ロッテ・小島和哉 (C)Kyodo News
◆ 直近5年では左腕最多白星「18」。
今季ロッテの左腕全体で挙げた白星である。成瀬善久氏がヤクルトに移籍した2015年以降、ロッテの左腕の白星数は15年が11勝、16年が5勝、17年が4勝、18年が4勝、19年が8勝、20年が10勝、21年が13勝と長年左腕不足に陥っていたが、今季も昨季に続き成瀬氏が移籍後もっとも多い勝ち星となった。パ・リーグ全体で見ても、左腕の勝星数はオリックス(30勝)に次いで2番目に多かった。
ベンチ入りのリリーフが右投手のみという時があるなど、近年は左のリリーフで苦労しているが、先発陣に関してはロメロが8勝、小島和哉が3勝、本前郁也が先発で2勝、佐藤奨真も2勝、鈴木昭汰が1勝と、左腕全体で5勝にも届かなかった時期もあったが、先発の白星だけで16勝をマークした。少しずつではあるが、結果を残してきている。
◆ 育ってきてはいるものの…
2014年以降は毎年左投手をドラフトで指名しており、将来的に一軍で戦力として期待のもてる左腕は増えつつあった。
小島は今季3勝に終わったとはいえ、チームで唯一2年連続規定投球回に到達し、防御率は昨年の3.76から今季は3.14と向上。先発投手の指標のひとつであるQS(6回以上3自責点以内)はリーグ6位の15回と、ロッテの左腕のなかで頭ひとつ抜けた存在になった。
来季以降は先発でいえば小島に続く存在、リリーフでは左のワンポイント、1イニングを任せられる投手が出てくれば、起用法の幅が広がり、選択肢も増える。
ロッテの左腕はファームで結果を残すが、一軍では本来の投球ができないケースが多い。何かきっかけをひとつ掴めば、本前、鈴木、佐藤奨は小島とともに来季先発ローテーションに入っていることも十分にありえる。さらには、来季2年目を迎える秋山正雲も楽しみな存在だ。
近年は左のリリーフ不足に陥っているが、移籍後勝ち試合でも登板した坂本光士郎、シーズン終盤に田村龍弘の助言でツーシームの落ちが戻った中村稔弥、今季一軍登板はなかったがファームで46試合に登板して防御率2.27だった成田翔、ドラフト4位指名の高野脩汰(日本通運)もいる。
ここ数年、オフの時期になると新シーズンでは“左腕王国”になる可能性があると記してきているが、結果的には一軍で投げ続けているのは小島のみというシーズンが続いている。一軍で結果を残し、一軍に定着する左腕が1人でも多く、出てきて欲しいところだ。
<直近10年間のロッテ左腕の白星数>
【2013年】 30勝
古谷拓哉 9勝(先:9勝 リ:0勝)
成瀬善久 6勝(先:6勝 リ:0勝)
藤岡貴裕 6勝(先:3勝 リ:3勝)
松永昂大 4勝(先:2勝 リ:2勝)
レデズマ 3勝(先:0勝 リ:3勝)
服部泰卓 2勝(先:0勝 リ:2勝)
【2014年】26勝
成瀬善久 9勝(先:9勝 リ:0勝)
古谷拓哉 7勝(先:6勝 リ:1勝)
藤岡貴裕 6勝(先:6勝 リ:0勝)
松永昂大 4勝(先:0勝 リ:4勝)
【2015年】11勝
チェン・グァンユウ 5勝(先:4勝 リ:1勝)
古谷拓哉 3勝(先:3勝 リ:0勝)
藤岡貴裕 2勝(先:0勝 リ:2勝)
木村優太 1勝(先:1勝 リ:0勝)
【2016年】5勝
松永昂大 3勝(先:0勝 リ:3勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:1勝 リ:0勝)
藤岡貴裕 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2017年】4勝
チェン・グァンユウ 3勝(先:1勝 リ:2勝)
松永昂大 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2018年】4勝
松永昂大 2勝(先:0勝 リ:2勝)
土肥星也 2勝(先:2勝 リ:0勝)
【2019年】8勝
小島和哉 3勝(先:3勝 リ:0勝)
松永昂大 2勝(先:0勝 リ:2勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:0勝 リ:1勝)
土肥星也 1勝(先:1勝 リ:0勝)
中村稔弥 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2020年】10勝
小島和哉 7勝(先:7勝 リ:0勝)
中村稔弥 2勝(先:2勝 リ:0勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2021年】13勝
小島和哉 10勝(先:10勝 リ:0勝)
鈴木昭汰 1勝(先:1勝 リ:0勝)
本前郁也 1勝(先:1勝 リ:0勝)
ロメロ 1勝(先:1勝 リ:0勝)
【2022年】18勝
ロメロ 8勝(先:8勝 リ:0勝)
小島和哉 3勝(先:3勝 リ:0勝)
本前郁也 3勝(先:2勝 リ:1勝)
佐藤奨真 2勝(先:2勝 リ:0勝)
鈴木昭汰 1勝(先:1勝 リ:0勝)
土肥星也 1勝(先:0勝 リ:1勝)
文=岩下雄太