◆侍ジャパンシリーズ２０２２　日本５―４日本ハム（５日・東京ドーム）

　万感の“引退試合”となった。杉谷は試合後、同僚だけでなく、侍ジャパンのメンバーも含めた仲間たちから胴上げされ、５度宙を舞った。「歩んできた道が間違ってなかったんだと思えるような、幸せな瞬間でした」と充実感にあふれた。

　最後の打席は７回。代打出場直前に地上波中継が終了する珍事にも見舞われた。本人も頭にあり「『俺らしいな。ネクストで（中継が）終わってるんだろうな』と思いながら。ただ、１４年分の思いを込めたかった。とにかく打ってやるぞという思いはあった」。右飛だった打席を終え、涙を浮かべてベンチへ戻ると、新庄監督とは熱い抱擁も交わした。

　東京Ｄながら、試合前のフリー打撃ではベルーナＤ恒例のイジりをしてくれた西武のウグイス嬢・鈴木あずささんがサプライズ登場。“最後のアナウンス”に、「たくさんの人に声をかけられて応援されるようになったのも、鈴木さんはじめ西武の方たちの配慮もあったと思う。感謝の気持ちでいっぱい」と言葉を紡いだ。

　新庄監督は「最高でしょ！　球団でやるよりいい思い出になったんじゃないかな。野球以外でもみんなに愛される選手になれば、こういう形で終われる」とねぎらった。６日以降は、まずは北海道のテレビ番組でファンへ感謝を伝えていく杉谷。ファンに、仲間に愛され、花道を飾った。（田中　哲）

　◆日本ハム杉谷への鈴木あずささんアナウンス全文

　「東京ドームにお集まりの皆様、そしてこの数日、ざわめくハートをもてあましている全国の杉谷拳士選手ロスの皆様、大変長らくお待たせいたしました。その人気は今や侍ジャパン超え。球界大注目の皆様に、杉谷拳士選手がただいま最高に前向きにバッティング練習を行っております。皆さん、今日が最後のチャンスです。よろしければご注目ください」

　「スタンドの皆様、ただいま杉谷選手がバッティング練習を行っておりますが、練習中、控えめに言って控えめな打球が思いの外、鋭い打球がまれにスタンドに入ることがございます。大変危険ですので、杉谷選手の打球の行方には皆様どうぞ、最後までご注意ください」

　「以上で北海道日本ハムファイターズの杉谷拳士選手のバッティング練習終了です。杉谷選手、これまで本当にたくさんのステキなお時間、ありがとうございました」

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