◆ＳＭＢＣ日本シリーズ２０２２　第６戦　ヤクルト０―３オリックス（２９日、神宮）

　オリックス投手陣がヤクルトを１安打に抑え、第４戦に続く完封リレーで３連勝とし、２６年ぶりの日本一に王手をかけた。打っては杉本裕太郎外野手（３１）が６回に決勝打を放った。

杉本は込み上げた喜びを拳に込め、三塁ベンチに向かって突き出した。両軍無得点の６回２死二塁でヤクルトは吉田正を申告敬遠。次のラオウが黙っていなかった。「（吉田）正尚が敬遠されると思っていたので、ある程度、心の準備はできていた。落ち着いて打席に入れた」。カウント２ボール１ストライクから甘く入ってきた小川の直球を見逃さず右前へ。貴重な先制点を奪った。

　今シリーズは第３戦までチャンスをつぶすことが多かった。「監督が正尚の後で僕を使ってくれている以上は、そういうこと（期待）やろうなと。今日みたいなヒットが出て良かった」と中嶋監督への感謝の一打。指揮官は「もっと打って！」と、さらに“ゲキ”を飛ばしたが、愛情の裏返しだ。

　不屈の精神は“師匠”から教わった。昨年まで２年間チームメートだった元メジャーリーガーのアダム・ジョーンズ氏に弟分のようにかわいがられ「いつもポジティブ、肯定的でいなさい。失敗の多いスポーツだから、とにかく肯定的でいなさい」と、ずっと言われ続けた。昨年限りで引退し、スペインに滞在するジョーンズ氏から、最近もＳＮＳで「深呼吸しなさい」とメッセージが届いた。シリーズ第４戦でも決勝打。チームの３勝のうち２度、勝利打点を挙げている。

　試合前の円陣では「とうとうヤクルトと並んで２勝２敗です。あと２勝で“アレ”なので、あと２勝して“アレ”して、みんなで御堂筋でパレードしましょう！」と阪神・岡田監督がオリックス監督時代から使う「優勝」の言い換えをマネして、ナインをリラックスさせた。昨年逃した“アレ”は、もう目前。「どんどん攻めていけたら」と勢いそのまま、きょう日本一を決めてみせる。（玉寄　穂波）

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