【楽天】助っ人外国人選手の不振で長打力欠如、高かった主力選手への依存度・・・担当記者が振り返る「打撃編」

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2022.10.6(木) 11:29

2日のオリックス戦終了後、今季を振り返る映像を見つめる島内(手前)ら楽天ナイン

 楽天担当の長井毅記者が今季の戦いぶりを振り返る後編は「野手編」。助っ人外国人選手の不振による長打力の欠如や、主力選手への依存度の高さなどが4位という順位に直結した。来季に向けて出た課題が見えてきた。

 4月を終えて貯金10。春先に首位を快走していた頃の立役者は西川だった。日本ハムから移籍1年目となった今季は開幕から不動の1番打者として、3、4月は打率3割3分3厘、5本塁打、21打点、7盗塁をマークし、チームを先導した。4月16日のソフトバンク戦(北九州)では、1点を追う9回にタカの守護神・森から右翼席へ逆転2ラン。同30日のソフトバンク戦(楽天生命)では、9回にモイネロから同点3ランを放ち、上昇気流に乗せた。4割7分2厘と高い出塁率を誇る西川が初回に出塁し、2番小深田がつなぎ、浅村、島内の中軸で走者をかえす―。この得点パターンが機能していた。

 しかし、5月に入ると西川が極度の打撃不振に陥ったことで綻びが生じた。打率1割6分2厘、1本塁打、4打点、出塁率も2割8分4厘と輝きを失った。球団内には「不調の選手を我慢して使いすぎた」という声も上がったように、西川への“依存度”の高さが露呈。代役に辰己や小深田を起用するなど、首脳陣も打開策を模索したが、一度失った勢いを取り戻すのは容易ではなかった。

 今季の“ターニング・ポイント”を挙げるとすれば、11連勝を飾った直後の5月11日のロッテ戦(楽天生命)だろう。0―0の3回2死一、三塁の好機で打席に好調の浅村が入った場面。ここでベンチは一塁走者の山崎に対して「グリーンライト」(選手自身の判断で全球盗塁許可)のサインを出した。絶対にミスは許されない状況で二盗に失敗。押せ押せムードが一気に冷めた。直後の4回表に3失点し、流れを逸したチームに黒星がついた。試合後に石井監督が「僕の采配ミスというか、愚策。その後の4回の失点につながった。アサ(浅村)に腰を据えて任せる場面だった」と自らの非を認めたが、この1敗は選手内にも首脳陣への不満が漏れた。

 2年連続で助っ人が期待外れに終わった点も大きな誤算だった。ギッテンスは来日初スタメンとなった4月5日の西武戦(楽天生命)でスイングした際に右手首を骨折し、長期離脱。1軍復帰は8月末にまでずれ込み、21試合の出場で打率2割4分2厘、0本塁打、8打点。あるパ・リーグのスコアラーは「打球が上がらないから一発はない。そういう攻め方ができた」と見極められた。一方のマルモレホスは58試合で打率2割8厘、7本塁打、28打点。左投手には打率2割8分4厘と苦にしていない反面、対戦の多い右投手には1割5分7厘と苦戦。両助っ人ともに“起爆剤”とはならなかった。

 チームは得点数こそパ2位の533を数えたものの、残塁数はパ最多の1075とチャンスを生かし切れなかった印象が強い。二塁打数はパ最少の179本と長打力の欠如は否めず。前出とは別のスコアラーは「個々の能力は高いけど、つないでいく感じはしなかった。線というよりは点だった」と楽天打線を分析したように「ここぞ」という時に一気にたたみ掛けるというシーンが少なかった。

 9勝中5勝を奪われたオリックス・田嶋や4勝を献上したソフトバンク・和田、同じくカード別最多の4勝を楽天戦で挙げた日本ハム・加藤ら、続々と“キラー”を誕生させてしまった点も反省として残る。

 ここまでは課題を挙げてきたが、盗塁数は昨季の45から2倍以上の97にまで激増し、守備ではリーグ最少の49失策と大きな進歩も見られたのは明るい材料だ。

 来季は1、2番の固定に加えて大幅な長打力アップが求められる。浅村、島内を脅かすような新たな中軸候補が現れなければ、今季の“二の舞い”となっても不思議ではない。

 今季最終戦となった2日のオリックス戦(楽天生命)後、敵将の胴上げを見つめた島内は言った。「逆に見られてよかった。次こそは自分たちが胴上げをしたいなと僕は強く思った」。Bクラスに終わった悔しさを受け止め、首脳陣、選手一人一人が再スタートを切る。(楽天担当・長井毅)

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