【ロッテ】“常勝軍団”を目指し方向性を示すも…井口監督が辞任、河合オーナー代行も任期満了をもって退任へ
ベースボールキング
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2022.10.2(日) 23:20
今季最終戦後のあいさつで辞意を表明したロッテの井口資仁監督(C)Kyodo News
ロッテは2日、井口資仁監督より辞任の申し出があり、受理したことを発表。また、河合克美代表取締役オーナー代行兼社長が任期満了をもって、今季限りで退任すると発表した。なお、井口監督、河合克美代表取締役オーナー代行兼社長の後任人事は決定次第、球団から発表があるとのことだ。2年連続Aクラス入りを果たしたなかで、今季は69勝73敗1分の5位に終わった。“常勝軍団”を掲げ、シーズンオフだけでなくシーズン中もチームのウィークポイントを的確に補強し、20年には澤村拓一、チェン・ウェイン、21年は加藤匠馬、国吉佑樹、ロメロがシーズン途中に加入して2年連続2位に入った。的確補強だけでなく、若手選手の育成にも着手。
井口資仁監督が就任した2018年は、25歳以下の選手は育成選手を含めて22人で、23歳以下の捕手は1人もおらず、内野手と外野手も25歳以下の右打ちがいない少し歪な年齢構成だった。
22年でいえば25歳以下の若手が37人に増えた。捕手は高卒1年目の松川虎生(市和歌山高)、村山亮介(幕張総合高)、高卒2年目の谷川唯人がおり、25歳以下の内野手は右打ち、左打ちともに4人ずつ、両打ちが1人、外野手も右打ち、左打ちともに3人ずつとバランスよく構成。
高卒の投手は1年目からいきなり一軍で起用するのではなくウエイトトレーニングやランニング、投げ込みなど体づくりを行い、野手は体づくりと並行しながら試合に出場し、安田尚憲、山口航輝は2年目までファームでみっちりと鍛え、3年目に一軍の舞台に上がるという流れを作った。
球団として育成方針を振り返ったり、この先の若手選手を育成していくための蓄積されたデータを球団としてしっかり管理。河合克美オーナー代行兼社長は昨年11月16日に行われた総括会見で、「今までがあまりにもうちのチームは、データの整備ができていませんでした。新人になればなるほどデータが揃っている。それに対してどこまで目標に達しているのか、達していないのか、1シーズンで見たときに好不調ってでますけど、育成段階の選手はシーズン通してパフォーマンスをフルに出せるだけの体力がないじゃないですか。同時に体力がないなかで、あるレベルで維持させられるかという経験もない。厳しいですよね。若い選手たちは体力的にも経験的にも1年通して、疲れが溜まっているところでもそれを乗り越えて、パフォーマンスを下げずにやっていけるか。これは経験しかない。データで示して、このとき体重が落ちているとかね、いろんなことがデータとしてありますから選手と向き合って、コーチと向き合うことによって、来年(22年)度どういう体を作っていくのか、(体力が)落ちそうになったときにどうするのかというのをお互いに納得しながら、ここがクリアできれば、もう一歩上にいけるよねと各選手、コーチが考えるためにもデータが一番。そうでないと、単なる掛け声になってしまう。そうすると選手たちも納得しないでしょう」と話していた。
大卒3年目の髙部瑛斗が盗塁王を獲得し、オールスター明けからは安田尚憲、山口航輝、茶谷健太がレギュラーで出場。高卒ルーキーの松川虎生も1年間一軍に帯同し経験を積み、佐藤都志也は高い盗塁阻止率を誇り、シーズン最終盤には藤原恭大が、来季に期待を持たせる働きを見せた。投手陣も9勝を挙げた高卒3年目の佐々木朗希、2年連続規定投球回に到達した小島和哉をはじめ、小野郁、岩下大輝、トミー・ジョン手術から復活を目指す種市篤暉など楽しみな若手が多く、少しずつではあるが育ってきている。
2020年からは順天堂大学・医学部と提携を結び、コンディショニング、運動能力測定、救急対応、栄養管理部門などのサポートを受け、近年は注目の高卒ドラ1ルーキーが入団してくるなかで、球団は高卒ドラ1組に限らず、若手選手たちを“一人前”に育てようとする本気度が伝わってきた。
今季は5位という結果に終わったとはいえ、年齢構成もバランスよくなっているだけでなく、球団として明確な育成ビジョンをもって取り組んできた。井口監督が辞任し、河合克美代表取締役オーナー代行兼社長も任期満了をもって、今季限りで退任。またチームの方向性などを含めて、新たにイチからチーム全体を作り直すのか。それとも、これまでの流れを引き継ぎ、球団のことを理解している人に新監督として託すのか。
若手、中堅、ベテラン、外国人選手がうまく融合すれば、新監督のもといきなり混戦パ・リーグを勝ち抜き、リーグ優勝になる可能性も秘めている。一方で、ここでチーム方針にブレが生じれば厳しい戦いになることも予想される。千葉ロッテマリーンズという球団が、どういう決断、判断を下すのか非常に注目だ。
文=岩下雄太