オリックス・福田「隠れた好走塁があったからこそ」奇策の裏にあった細かいチームプレー

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2022.10.1(土) 12:57

ロッテにサヨナラ勝ちし喜ぶ福田(右から4人目)らオリックスナイン (C) Kyodo news

○ オリックス 4x - 3 ロッテ ●
<25回戦・京セラD大阪>

 オリックスの福良淳一GMが監督時代に「福田は野球を知っている」と話していたが、そんな福田周平選手が、敗れればV逸となる重要な試合で、野球脳溢れるプレーでチームをサヨナラ勝利に導いた。

 1点リードを追いつかれた直後の9回二死三塁の場面、福田は相手クローザーのロベルト・オスナと対峙すると、ボールカウントが3-0となったところでセーフティースクイズを敢行。転がるボールとともに一塁方向へ駆け出した福田は、一塁手のタッチを間一髪でかいくぐり一塁ベースへ頭から滑り込んだ。

 「まさかバントしてくるとは思ってなかったであろうカウントだったり、シチュエーションだったと思う」とバッテリー心理も読んで繰り出した奇策。「オスナ投手の球、凄かったんで。そんな簡単に打てる球じゃなかった。ノースリーになって、ストライク来るだろうと思った」と土壇場でひらめいた仕掛けが思惑通りに成功した。

 福田にとってはこれが自身初のサヨナラ打となったが、「ガッツポーズしてから、リクエストみたいになって、あんまりなんかね。すんなり行くサヨナラではなかった。僕らしいかなと思いますけどね」と苦笑い。

 劇的な決勝バントヒットの裏には渋いチームプレーもあった。「(二塁走者だった)紅林も若月のサードゴロで三塁にね。あれ結構、難しい打球だと思うんですけど。ああいう裏で隠れた好走塁があったからこそ、あの場面に僕も出くわしたと思うんで、最後は僕のヒットでとなりましたけど、ああいう細かいところを全員で出来るチームが強いと思う。これからもやっていきたい」と、決勝のホームに生還した後輩のお膳立てにも感謝した。

 この日は能見篤史投手兼任コーチの引退セレモニーもあり、いろんな意味で負けられない試合だった。「やっぱり向こうも負けじときたんで、ここはもう引いたら負ける。しかもいい形で能見さんの引退セレモニーに入りたかったんで勝てて本当によかったですね。野球は切り替えのスポーツなんで、切り替えてチームは全員で出来たと思う」と全員野球で掴んだ勝利だった。

 首位・ソフトバンクが1日の西武戦に勝利すれば、その時点で優勝が決まってしまうが、「もう負けられないんで、あと1試合ですけど最後まで優勝出来ることを信じて、僕らはやるだけなんで。勝つことだけを考えてやりたい」と福田。いまは可能性を信じて目の前の一戦に備えるしか無い。

 9月に入り経験したファーム降格も「良い機会だと思ってちゃんと調整出来て上がって来れたのは良かった」と今は前向きに捉えている。この先のポストシーズンでも、福田の野球脳は活かされるはずだ。

取材・文=どら増田


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