ロッテ、藤原が打てば、山口も打つ!同学年コンビのアベック弾
ベースボールキング
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2022.9.29(木) 08:00
藤原恭大(左)と山口航輝(右)
● 日本ハム 3 - 11 ロッテ ○<25回戦・札幌ドーム>
5位・ロッテは、前日クライマックスシリーズ進出の可能性が完全に消滅したなかで行われた28日の日本ハム戦、4試合でわずか1得点しか奪えなかった打線がこの日は12安打11得点を奪う猛攻を見せ大勝。5回2/3を投げ3失点に抑えた先発・美馬学は、今季10勝目を手にした。
攻撃陣では藤原恭大、山口航輝の“ミレニアム生まれ世代”の2人が、一軍の公式戦で昨年8月25日の日本ハム戦以来となるアベック弾を放った。一、二軍公式戦通じて3度目のアベック弾となった。
『2番・レフト』で先発出場した藤原が0-2の4回無死走者なしの第2打席、先発・上沢直之が2ボール2ストライクから投じた144キロのインコースのカットボールをライトスタンドに飛び込む今季第1号ソロ。山口も井上晴哉、荻野貴司の適時打で逆転し、なお4-2の4回無死一塁の場面で打席が回ってくると、上沢のカットボールをフルスイング。山口らしいライナー系の当たりで、レフトスタンドに飛び込んだ。これで山口はレアードに並びチームトップの15本塁打となった。
この日、藤原、山口ともにマルチ安打をマークし勝利に貢献した。
▼ 藤原と山口のアベック弾
20年9月16日vs日本ハム(二軍)
21年8月25日vs日本ハム
22年9月28日vs日本ハム
◆ 期待したい同学年コンビ
個人的に藤原と山口の2人のバッティングで思い出すのは、2019年11月3日にロッテ浦和球場で行われた秋季練習での全体練習後のロングティー。藤原は振り抜いた打球がほとんど柵越えし、春先(19年)から比べて飛距離アップ、パワーアップを強く感じた。山口もとてつもない飛距離の打球が何本もスタンドに消えていく。記事用に使う写真を撮影するのを忘れるくらい、彼らのスイングに見入ってしまった。それくらい当時新人だった2人が並んで行ったロングティーに夢を感じた。
同日の練習後、藤原は冷静に「試合前の打撃練習に比べれば飛距離もそうですけど、打撃自体も感覚的によくなってきていますね」と話し、「バッティングは振らないと、絶対に良くならないです」と頼もしい言葉が返ってきたときに、ますます期待した記憶が今でも蘇ってくる。
翌20年は開幕から藤原と山口はファームで実戦経験を積んでいたが、優勝争いをしていた10月に藤原は一軍昇格すると、プロ初アーチを含む3本の本塁打を放ち、打率は.260という成績を残した。一方の山口は20年、ファームで全70試合に出場して、チームトップタイの7本塁打を放つも、他の若手選手たちが同年10月に一軍昇格、一軍練習に参加する中、一軍昇格することができなかった。
当時の心境について山口は「活躍していてすごいなというのは見ていて思いましたし、悔しい思いの方が強かった。あの時期に上がれなかったというのが、今まで野球してきたなかで一番悔しいといっていいくらい悔しかった。試合を見ていても出たいなという気持ちもありましたし、もっと練習して自分のレベルをあげないと、と思いました」と振り返る。
だからこそ、山口は3年目の21年に一軍でキャンプ、オープン戦からアピールし開幕一軍を掴むと、一、二軍を行き来しながらも9本のアーチを描いた。藤原も「体の状態が良かったときにその結果が出た。改めて体が大事だなと思いました」と7.8月に24試合・打率.348、5本塁打、15打点の成績を残して月間MVPを受賞。9.10月はインコースのボールを引っ張ってホームランを打って以降、打撃フォームを崩し、最後まで修正することができずシーズンを終えた。
そしてプロ4年目の今季、藤原は「勝負の年になる」と決意し、背番号も『1』に変更したなか、一軍でなかなか思うように結果を残せずにいる。一方、山口はシーズン自己最多となる15本の本塁打を放つ。
マリーンズファンが期待するのは、藤原、山口の2人が揃って一軍で結果を残すこと。もちろん、この2人だけでなく、若手選手が一軍の戦力として一人前になることを望んでいる。山口は近い世代の選手の存在について「若い選手がやると自分もやらないと、と思って自分を成長させてくれる先輩、同級生だと思います」と話す。
彼らを中心に若い世代の野手が活躍しなければ、“常勝軍団”も見えてこない。リーグ優勝、クライマックスシリーズ進出の可能性が完全に消滅した今、来季に繋がる形でシーズンを終えて欲しいところ。そして、来年こそ2人が揃って一軍で活躍し、チームの勝利に数多く貢献する未来がくることを願っている。
文=岩下雄太