【日本ハム】レジェンド対談 稲葉篤紀GM&金子誠コーチが語る札幌ドームの思い出

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2022.9.28(水) 11:24

札幌ドームのグラウンドを背にポーズをとる稲葉GM(左)と金子コーチ(カメラ・関口俊明)

 日本ハムが2004年から本拠球場として使用してきた札幌ドームでの試合が、28日のロッテ戦で最後を迎える。2年目の05年にヤクルトからFAで移籍してきた稲葉篤紀GM兼SCO(50)と、東京からの移転を知る金子誠野手総合兼打撃コーチ(46)が対談。札幌での19年間の思い出を振り返った。(取材・構成=砂田秀人)

 2人の出会いは稲葉が日本ハム入りした05年。年は3歳違ったが、すぐに意気投合した。

 稲葉GM(以下、稲葉)「マック(金子コーチ)とはロッカーも隣だったから。いろんな話もしたし、外にもいっぱい行ったね」

 金子コーチ(以下、金子)「本当、すごいごちそうになりました。きょうのご飯、何しますかとか。稲葉さん、お酒飲めないけどね」

 稲葉「あの頃は楽しみはそれしかないっしょ。活力だったよね」

 金子「毎日、乾杯は反省会で、終わるころには明日の話をするっていう」

 稲葉「みんなで宴会みたいのもしたりね」

 金子「誰かが1000試合とか1000安打とか表彰されることがあると、全員、何日に夜空けておけと。で、ご飯屋さん貸し切って、みんなでおめでとうって。スタッフも含めて、1軍の現場にいる人全員呼んでやってた」

 稲葉「花束と記念品と用意してくれて。ヤクルト時代は全員はなかった」

 金子「東京時代はやってない」

 稲葉「一つになるよね。みんなでお祝いして」

 金子「会の終わりくらいになると野球の話になってくる。だから勝手に決起集会になってた」

 稲葉「結果的に生きたんじゃないですか、ああいうのがね」

 札幌ドームでの思い出は当然、多い。

 稲葉「一番驚いたのはビッグボスのパフォーマンス。被り物かぶってシートノックやる。シートノックって僕は見せるものだと思ってたので」

 金子「新庄さんは違う意味で見せてた」

 稲葉「そういう楽しませ方があるんだというのに驚いて。それを球団が許してる。最初きて、びっくりしましたね」

 金子「僕はもう、北海道に来たことそのものが大きかった。トレードとか色々ある世界ですけど、本拠地が変わるというのは、結構衝撃的だった。2003年に家族ごとで前年度のツアーみたいのがあったんです。来年から移転だっていうのにすごく静かな球場で。スタンドの前の方だけにお客さんが入ってて。移転後すぐの時は声の反響がすごいし、ファウルボールが行った時とか『ガン』って音が響いてた」

 稲葉「僕が来た2005年はまあまあ入ってた」

 金子「2004年の終盤は結構入るようになってて。新庄パフォーマンスもあったり、あとテレビとかがいろいろ協力してくれて、選手はただでも出るよって、まずは。そんなことがあって入り出しましたね」

 稲葉には「稲葉ジャンプ」でファンが熱狂し、金子は名前が入った新選組の「誠」というタペストリーを持ったファンで埋め尽くされた。

 稲葉「打席でも振動みたいのはきますよ。揺れはしないけど」

 金子「ベンチの上はドンドンいってた。裏にいるときしみますよ」

 稲葉「静まるまでは打たないでおこうっていうのはありました。あれは本当の話。もちろんいい球来るときはあるし、実は何回も凡打してるんですよ、初球で。でもやってる途中に凡打すると『ああー、稲葉ー』って聞こえてくるから」

 金子「僕、東京時代は笑わない、話さない、愛想ないっていう、そういう野球選手でいいじゃんみたいな感じでいた。ただ福岡ドームとか行った時、日本ハムファンは一角だけで、あとは全部ホークスファンなのをうらやましいなって思ってた。それが一角が相手チームで、あとは全部ファイターズファンという景色になった。こういう球場で応援されたらどういう気持ちになるんだろうって思いながらやってたのが北海道で叶った。野球選手で良かったなって思いましたね」

 移転3年目で日本一になるなど、思い出深い球場での試合も今日で終わる。

 稲葉「寂しい思いはすごくある。ここでの現役の10年間、すごい楽しかった。今GMになって、新たに選手たちが時代を築いていけるお手伝いができたら」

 金子「北海道に来てプロ野球選手になって良かったなと思わせてくれた。土地と環境が変わることで数字と順位がついてきたし。自分のやることに反応があるっていうのは、それまで感じたことない手応えだったから。こういう思いをいろんな人にしてもらいたいなって。こないだ満員になった時(9月17日ロッテ戦)に、野球が変わりましたよね、少し。あれだけの声援の中でやっていると、土壇場に追い付いてサヨナラまでいっちゃう(5〇4)。ああいう感覚を、今度は自分らの力で求めていってほしいなって思います」

 ◆稲葉篤紀(いなば・あつのり)1972年8月3日、愛知・北名古屋市出身。50歳。中京高(現中京大中京高)から法大を経て、94年のドラフト3位でヤクルトに入団。04年まで所属後、05年にFAで日本ハム入り。主なタイトルは07年にパ首位打者、ベストナイン、ゴールデングラブ賞は各5度。プロ通算2213試合出場、2167安打。14年に現役引退。国際大会は選手として08年北京五輪、09年と13年のWBC出場。20年東京五輪では監督として金メダルを獲得。21年10月、日本ハムのGMに就任。左投左打。

 ◆金子誠(かねこ・まこと)1975年11月8日、千葉・我孫子市出身。46歳。茨城・常総学院高から93年のドラフト3位で日本ハムに入団。内野手として96年新人王、99年ベストナイン、ゴールデングラブ賞は3度受賞。プロ通算20年間で1996試合に出場し1627安打を記録。14年に現役を引退。15年からコーチとなり、今季は1軍野手総合兼打撃コーチを務めた。国際大会では04年アテネ五輪に選手として出場し銅メダル、20年東京五輪にはコーチとして金メダル獲得。右投右打。

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