◆パ・リーグ　楽天３―７ソフトバンク（１５日・楽天生命パーク）

　トラブルも簡単にはね返した。５連勝で７月７日以来の貯金１１。今季１２９試合目にして、マジック「１１」が初めて点灯した。藤本監督は「マジックはあまり意識してません。一戦一戦勝っていくだけです」と気を引き締めたが、おのずと笑みがこぼれ出た。

　空路で福岡から仙台に当日移動してのゲーム。だが、選手より前の便で送った用具一式が、空港での荷物検査に時間がかかり、球場到着が大幅に遅れた。本来なら午後４時頃に打撃練習を開始するが、荷物が届いたのは午後４時２０分頃。それまで選手らはホテルのスリッパを履いたまま、１時間以上も球場内で待ちぼうけ。打撃練習を行えず、キャッチボールとシートノックのみで試合に臨んだ。

　だが、２年ぶりＶへ加速するソフトバンク打線に影響はなかった。２回に中村晃の中犠飛で先制し、３回は柳田の４試合ぶりの１９号２ランなどで３点を追加。主砲は「（待機中は）何にもしてないです。ネットフリックス見てました（笑い）」とケロリ。打線は、今季最長タイの４試合連続２ケタ安打となる１５安打７得点と爆発した。藤本監督は「（試合当日の）移動日は打撃（練習）しない方がいいかもしれないね（笑い）。みんなバットがよく振れてたもんね」と笑った。

　絶対に勝ちたい大切な日だった。２年前に急逝した川村隆史３軍コンディショニング担当（享年５５）の命日。ベンチに川村さんのユニホームを飾って戦った。１１連戦の６戦目。試合前に「（川村さんが）『今日は荷物遅らせたろ』みたいな感じで（練習を）休ませてくれたのかも分かんないよ」と話していた指揮官は「今日は川村くんが勝たせてくれたと思います」と、マジック点灯という最高の報告を天国に届けた。

　昨季は８年ぶりのＢクラス４位に沈んだが、鮮やかなラストスパートで混パからの脱けだしを図る。就任１年目の背番号８１が２３日にも宙を舞う。（中村　晃大）

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