ロッテ・中村稔弥、威力を求め磨いてきた直球「自信をもって投げられています」
ベースボールキング
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2022.9.5(月) 10:30
ロッテ・中村稔弥
「真っ直ぐの威力をもう少し出してやっていきたいと思います。ファウルではなく、空振りを取れる真っ直ぐを身に付けたいと思います」。ロッテ・中村稔弥は1年目のシーズンを終えたばかりだった19年10月1日にロッテ浦和球場で行った取材で、“ストレート”の威力を課題に挙げていた。
同年の秋季キャンプ終了後の11月23日から12月4日にかけてシアトルのトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」に派遣され、トレーニングを積み、20年1月5日から1月23日にかけて、同じサウスポーのDeNA・今永昇太、広島・高橋樹也、ヤクルト・寺島成輝らと合同自主トレを行った。
自主トレ期間中に再びストレートについて聞くと、「今の時点(1月25日)で強くなったのかどうかはわからないんですけど、ドライブラインも今永さんとの自主トレもみっちりやってきました。ストレートはまだわからないですけど、自分の感覚では良い調子できていると思います」と手応えを掴みつつあった。
「リリースの力の伝え方は、教えてもらった最後の3日くらいのときに、自分の中でピンときたんです。今日(1月25日の)ピッチングで初めて試してみたという感じなんですけど、ここから掴めていければいいなと」。
ロッテ浦和球場で行っていた20年1月25日の自主トレ直後にこのように話していた中村稔は、同年の春季キャンプの個別練習のときに「感覚がつかめました」と自身が頭に描く感覚を体で表現ができるようになった。同年2月6日には松田進に対し約5分間投げたが、「しっかり指にかかったボールが投げられたかなと思います」と納得のいくボールを投げ込んだ。
ここからシーズン開幕に向けて中村のストレートを注目していこうと思っていた矢先、20年3月に入ってから新型コロナウイルスが流行。取材制限がかかり、これまでのように自由に取材することができなくなった。今回コロナ禍に入ってから、久しぶりに中村をオンラインではあるが、取材する機会が訪れた。あれから2年——。本人は現状のストレートをどう感じているのだろうか。
「あれから2年、感覚も良くなかったときもあるんですけど、今はもう一度今永さんに教えてもらった肘から先を走らせるというか、そういうイメージで体の連動と肘から先を走らせるのを取り組んでいます」。
「波があって良くない時も多い。コントロールが良くないときもあるんですけど、今はコントロールも安定して投げられている。感覚がここ最近で一番良いというか、結構まっすぐの球速も出ていて、自信をもって投げられています」。
8月2日の西武との二軍戦で、3-3の11回一死一塁で山野辺翔に投じた初球外角145キロストレート空振り、2球目の外角146キロストレート空振りは非常に良かった。20年以降のストレートを見ていると、145キロ以上計測することが多く、1年目に比べてスピードは確実に上がっている。2年目には自己最速の148キロを記録した。
「先発と中継ぎはちょっと違うので、そこの差もあると思うんですけど、感覚自体は良くなってきています。最近ボールがかかっているなという感じなので、その感覚の良さが球速に出ていると思います」。
ストレートは強くなっているが、コントロールが良くないときにどう修正し投げていくかが重要になってくる。
「コントロールが悪くなった原因はフォームがあまりよくなくて、バランスが悪くてコントロールが定まらないというのがあった。今はラインを意識してというか、大隣さんにも言われているんですけど、まっすぐは縦のラインとか、そこに強いボールを投げていくイメージで投げることによって、今はしっかり強いボールが投げられていると思います」。
一軍のリリーフは左腕が手薄。その一方で、トレードで左腕の坂本光士郎が入団したり、近年はドラフトで毎年のように左腕を獲得するなどライバルが増えている。「みんないいピッチャーばかりなので、しっかり結果を残して自分の立ち位置を一軍で確立させたいと思います」。
一軍は残22試合。優勝争い、CS争いは佳境を迎えている。「残りのシーズンも少ないですけど、とにかく二軍で結果を残して最後一軍に呼ばれて、1試合でも多く抑えられるように頑張りたいです」。背番号“48”は、磨いてきたストレートを一軍の舞台で披露するため、ファームで腕を振っていく。
取材・文=岩下雄太