◆パ・リーグ　日本ハム５―４ロッテ（２４日・札幌ドーム）

　パ・リーグは空前の混戦モードで前半戦を終了した。２３日時点の下位３チームが上位３チームに勝ち、首位ソフトバンクから５位オリックスまで２・５ゲーム差にひしめく大混戦となった。全球団が８０試合以上を消化して５チーム以上が２・５差以内は、パでは初。最下位の日本ハムにも新庄剛志ビッグボス（５０）が掲げる野球が浸透しつつあり、前年覇者のオリックスも最大借金７から貯金ターン。後半戦も目が離せない展開になりそうだ。

　ビッグボス・新庄監督を筆頭に離脱者続出の厳しい状況でも「新庄野球」が６連敗で止める勝利につながった。同点の７回２死二塁。清宮の一塁へのゴロに対し、ベースカバーに入ったロメロが一度ベースを踏み損ね、セーフとなった。その間に二塁走者・佐藤が「一瞬見たとき、ちょっと（ロメロの）動き出しが遅れていた。緩めちゃダメだな」と本塁を陥れた。これが決勝の適時内野安打となった。

　指揮官は春季キャンプから走塁面でベースを踏む位置や回り方など、細かい走塁改革を行ってきた。ボスが不在の中、走塁への意識や一瞬の隙を見逃さない“イズム”の浸透を感じさせる一幕だった。清宮が「龍世さんのおかげ。僕が走るのは当たり前なので」と語れば、佐藤は「ヒットが飛んできた時と同じように内野ゴロでもホームを回った。そういう意味ではいいベースランニングができた」とちょっぴり胸を張った。

　決勝点につながったのは、貴重な一打でもあった。この日のスタメンで打率２割以上は、試合前時点で１番・清宮、３番・近藤、４番・今川のわずか３人のみ。そんな中、５番以降で唯一の安打が７回先頭の「ペッパー師匠」こと佐藤が追い込まれてから記録した右前打だった。

　ボス離脱後かつ木田監督代行初勝利で前半戦を終了。代理指揮官は「最後、佐藤龍世がいい走塁をしてくれた。（ファームでも）常に先の塁を狙うというか、相手の隙をどうやってつけるかという話は何回もしていた」と語った。ビッグボスは後半戦初戦の２９日・楽天戦（楽天生命）から復帰予定。“新庄式”が定着しつつある日本ハムが、混パに拍車をかけそうだ。（田中　哲）

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