3年前の春、ロッテ浦和で誓った一軍での活躍 そして、ヒーローになったロッテ・茶谷健太

ベースボールキング

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2022.7.24(日) 10:47

ロッテの茶谷健太

◆ 初のヒーローインタビュー

 「一軍で活躍して、少しでもチームに貢献できるように頑張っていきたい」

 3年前の2019年3月、当時まだ背番号「124」だったロッテの茶谷健太は、一軍で活躍することを目標に掲げ汗を流していた。あれから3年——。移籍4年目で初めて一軍でヒーローになった。

 茶谷は23日の日本ハム戦、『9番・三塁』で先発出場すると、0-5の3回の第1打席、先発・河野竜生が1ボール1ストライクから投じた3球目のストレートをレフトへ弾き返す二塁打でチャンスメイク。1番・荻野貴司のレフト前への安打で生還した。1-5の4回二死満塁の第2打席は、2番手・西村天裕の初球を捉え、プロ初打点となる2点適時打。7-5の8回二死三塁の第4打席は、玉井大翔から右中間を破る貴重な適時三塁打を放った。

 守っても4回に渡邉諒が放った三塁への強烈な打球をダイビングし、素早く起き上がって一塁へ送球しアウトにした。茶谷の攻守の活躍もあり、チームは0-5から大逆転勝ち。試合後には、ヒーローインタビューにも登場。こちらにも緊張感が伝わってくるお立ち台だった。


◆ 移籍してからの3年間

 23日の日本ハム戦で初めて、一軍でヒーローになった茶谷だが、ヒーローになるまでの3年間は険しい道のりだった。ロッテに移籍した当時は冒頭で述べたように育成選手。当時茶谷は「打てないと終わりだと思っているので、とにかく打つこと。結果が全ての世界なので、数字、目に見える部分でしっかりアピールしていきたい。目にみえない部分でもアピールしていきたい」と、打撃の成績を残すことにこだわった。

 茶谷は19年7月14日時点でファームで打率.282と支配下登録に向けアピールしていたが、同年マーティンがシーズン途中に加入し、支配下選手登録枠が70人に到達。シーズン中での支配下選手登録が叶わなかった。

 19年7月14日の取材で茶谷は自身のここまでの評価について「0点です」と即答し、「枠が決まって、結果が残っていないところです」と悔しさを滲ませていたのを今でも覚えている。

 19年のオフに支配下選手登録となり、20年2月8日の楽天モンキーズとの国際交流試合では途中出場し、第2打席で、「センター方向を意識した」と一軍の実戦では初安打となるセンター前に2点適時打を放った。「相手の投手も変則だったので、結果を出せて1本打てたのはよかったです」と喜んだ。同年一軍で31試合に出場し、安打も放った。

 しかし、昨年は2月1日の春季キャンプ初日に右足ハムストリングスの肉離れで離脱。「下半身の怪我なので、動けないことがあると思うので、体重をまず増やしすぎないように。いつも以上にキレを出すことを意識していました」と、リハビリに励んだ。7月10日のDeNAとの二軍戦で実戦復帰を果たしたが、21年は一軍に一度も昇格することなく、シーズンを終えた。

 迎えた今季は、開幕二軍スタート。「一軍に上がればもちろんスタメンで出場することが第一の目標にはなりますが、代打だったり少ない打席で一打席一打席結果を残していかないといけないので、その時にしっかり結果を出せるようにやっています」と、6月は14試合に出場して、月間打率は.412(51-21)、試合数を大きく上回る18打点。14試合中10試合で安打を放ち、そのうち複数安打は7試合、17日のヤクルト戦では1試合に4本の安打を放つ活躍で、6月21日に今季初昇格。

 昇格してからも6月22日の西武戦で今季初安打を放つと、27日のソフトバンク戦でプロ入り後初となるマルチ安打。7月7日の日本ハム戦以来となるスタメン出場となった7月20日の西武戦でレフト前に安打を放ち、23日の日本ハム戦では自身初となる3安打、3打点と、与えられたチャンスで“結果”という形で応えている。

 一軍定着、その先のレギュラー獲得に向けて、今後は23日の日本ハム戦のような活躍を継続していくことが必要になってくる。ここをクリアした先に、“一軍で活躍して貢献できる選手”になっているはずだ。

取材・文=岩下雄太

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