ロッテ、最後まで諦めず戦い抜いた価値あるサヨナラ勝利

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2022.7.22(金) 09:42

9回、サヨナラ打を放ち、ナインに祝福されるロッテ・高部(手前右)=ZOZOマリン (C) Kyodo News

○ ロッテ 5x - 4 西武 ●
<16回戦・ZOZOマリン>

 ロッテが2点を追う9回に、西武の平良海馬から3点を奪いサヨナラ勝ちで4連勝。西武との3連戦に3連勝し、貯金を今季最多タイの「2」にした。

 初回打線は不安定な立ち上がりの先発・今井達也を攻め立て、一死満塁から山口航輝の遊ゴロの間に三塁走者の荻野貴司が生還し先制。なお一、三塁と好機は続き佐藤都志也がセンター前に落ちる適時打で2点を先制した。

 初回3つのアウトを全て三振に仕留めた先発・二木康太は、4回に山川穂高に一発を浴びたものの、5回まで3被安打、8奪三振、1失点のピッチング。好投する二木をさらに援護したい打線だったが、2回以降尻上がりに調子をあげていく今井を捉えることができず。

 すると1-2の6回に二木が2本の安打と四球で一死満塁のピンチを招くと、中村剛也に走者一掃の3点適時二塁打で逆転を許した。

 この時点で2点を追う展開となり、ビハインドゲームで登板するリリーフ陣がここ最近不安定な投球が続いていたことを考えると、かなり苦しい展開になるかと思われた。リリーフ陣が粘った、そして踏ん張った。2-4の6回一死二塁で登板した西野勇士が後続を打ち取ると、7回・小野郁、8回・佐々木千隼、9回・土肥星也がスコアボードに0を入れた。

 打線も投手陣の頑張りに応える。2-4の9回、この回からマウンドに上がった平良に対し先頭の山口が四球、続く佐藤の中安で一、二塁とすると、レアードの中飛で二塁走者の山口が三塁にタッチアップ。一死一、三塁となり、エチェバリアの打席中に暴投で代走の一塁走者・和田康士朗が二塁へ進み、エチェバリアが四球で一死満塁。ここで代打・岡大海がレフトへ値千金の2点適時打を放ち同点に追いつくと、荻野貴司が四球を選び、再び満塁とし最後は髙部瑛斗のライト前に適時打を放ちサヨナラ勝ち。

 打線は初回に2点を奪ったが2回以降は8回までチャンスらしいチャンスを作ることができず、6回に逆転を許した時点で西武の投手陣を考えれば、同一カード3連勝は正直難しいものだと思っていた。リリーフ陣が踏ん張り、打線も平良のストレートを見極め、スライダーをはじき返した。最後まで誰一人諦めることなく、戦い抜いた結果がサヨナラ勝ちに結びついた。

◆ 山口の走塁

 同点打を放った岡、サヨナラ打を放った髙部の打撃も素晴らしかったが、山口の“1つ先を狙う”走塁も光った。山口は2-4の9回無死一、二塁でレアードの中飛できっちりと三塁へタッチアップしたことで、続くエチェバリアの打席中に暴投で一塁走者の代走・和田が二塁へ進塁し、西武バッテリーにプレッシャーを与えることができた。初回も得点につながらなかったが、佐藤のセンター前の適時打で一塁から三塁へ進塁している。

 山口は“1つ先の塁を狙う走塁”について過去の取材で「詰められるところ、もっと次の塁というのを狙っていかないといけないと思いますし、進塁しているのも普通なことだと思う」と話しており、当たり前の感覚になっている。日々の積み重ねが生んだ三塁へのタッチアップだった。


◆ リーグ制覇へ

 4連勝のロッテは一時首位と13.5差あったゲーム差を、2.5まで縮めた。リーグ優勝を狙える位置につけている。ただロッテに関しては、チーム打率リーグワーストの.222、リーグ5位の283得点、得点圏でもあと1本が出ず、開幕から打線に対して厳しい声が多い。一発に頼る大味な野球はできないが、西武3連戦で見せた相手のミスを突いて得点を奪う攻撃、“1つ先の塁を狙う走塁”、送りバント、進塁打といった細かい野球で1点をつかみとる攻撃をここ数年徹底してきている。

 チーム打率、チーム得点を競うスポーツであれば、リーグトップを目指さなければならないが、あくまで目指すのはリーグ優勝。チームが勝てるだけの得点を挙げ、そのリードを投手陣が守りきる。大量得点を奪う試合も増えればいいが、これがここ数年のロッテのスタイルだ。

 この先リーグ優勝するためには、チームの浮き沈みを極力なくしていきたい。ロッテというチームは、とにかく浮き沈みが激しい。4連勝でさらに勢いを加速させたいが、これまでの傾向を考えれば突然連敗ということもありえる。今は目の前の試合を一戦一戦全力で戦い、夏場以降に勝てる態勢を整えたい。そういった意味では、登板数が多い勝ちパターンのリリーフ陣を休ませられるような試合展開を増やしていきたい。

文=岩下雄太

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