【オリックス】池田陵真「一生に一度。今しかない時間を大事に、本気で」大阪桐蔭前主将から球児へエール
スポーツ報知
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2022.7.12(火) 19:00
第104回全国高校野球選手権大阪大会が9日、開幕した。3度目の甲子園春夏連覇を目指す大阪桐蔭の主将を、昨年務めていたのがオリックス・池田陵真外野手(18)だ。ルーキーイヤーから1軍の舞台を踏み、すでにプロ初安打、初打点をマーク。将来の中軸候補として期待される新星が昨夏と現在地を語り、球児に熱いメッセージを送った。(取材・構成 長田 亨)
■練習が好き! 胸を躍らせた夏から、1年がたった。目の輝き、野球へ取り組む姿勢は当時と変わらない。大阪・舞洲のファーム施設。池田は大粒の汗を流しながら、一心不乱にバットを振っていた。
「高校時代も練習をするのが好きでしたから。一番成長できるのが試合だとしても、その上で練習はすごく大事。疲れていても、その1試合が良くても悪くても、自分のやるべきことはやろうと思っています」
大阪大会を勝ち抜き、3年ぶりに夏の甲子園出場を決めた昨年。名門・大阪桐蔭で歴代屈指といわれるキャプテンシーを発揮し、興国との決勝では9回にサヨナラ打を放った。
「6月は高校野球の中でも一番(状態が)悪かったです。プロに行きたいという思いは持っていましたが(監督の)西谷(浩一)先生にも『今のままなら確実に無理やぞ』と言われていました。人に頼っているようではダメだと。結果がダメだったら、それは自分の実力。大阪大会の前に、気持ちの部分で開き直れたのが大きかったですね」
前年のセンバツは1回戦で智弁学園(奈良)に6―8で敗れていた。大阪桐蔭にとって、センバツ初戦の連勝が10でストップ。「4番・中堅」で3安打を放った池田も「力不足」と悔しさをかみしめた。
「(センバツ前年秋の)近畿大会の決勝でも、智弁学園に負けていました。勝てるだろう、負けるはずがない、と思っていました。『すごい選手が集まった』と言われていて、自分たちの力を過信していたんだと思います」
■連日のMTG 現実を受け止め、立ち位置を再確認した。ミーティングは、ほぼ毎日だった。勝つために何をすべきか。主将として、勇気を持って発言した。
「甘さをなくそうと。肩書きとかは一回、なしにしようと。自分たちの力を客観的に見て、ここ一番に弱いとか、いろんなことが発見できました。『自分たちはそんなに強くない。力、ないぞ』と伝えました。あの時、みんなが理解してくれたんだと思います」
6月はチームとして、酷暑対策に励んだ時期でもあった。長袖のアンダーシャツにグラウンドコート、マスクを装着。グラウンド10周などランメニューを中心に心身を鍛え上げた。
「技術練習からユニホーム姿になれるんですけど、疲れた状態から練習が始まる。そこでもダラダラできません。勝ちたい。日本一になりたい。うまくなりたい。強くなりたい。そういう思いを束にし、一つにすることで、チーム力が一番上がると思っていました」
優勝候補とされた甲子園大会は、2回戦で近江(滋賀)に敗れた。その夜、1人で素振りをしていたのは有名な話。前へ進む以外に選択肢はなかった。
「なぜ負けたのか、自問自答しました。悔しかったのは当然で、野球をすごく考えました。自分の進路がどうなっていくか。気持ちに整理をつけていく中で、野球人生には先があるんだと。今の自分にやれることを考えると、バットを振るしかありませんでした」
■5月に初安打 身長172センチ。「他の人より力をつけないと」と体格差を練習量で補ってきた。夢には続きがあり、自力でかなえた。昨秋ドラフト。オリックスから5位指名を受けた。
「プロ野球は何よりも結果が求められる場所。何かの縁で1軍に上がれ、試合で使ってもらうこともできました。打撃も守備も走塁も、まだまだレベルの低さを感じていますけど…」
1軍デビューは5月1日の本拠地・京セラDでの西武戦だった。出場選手登録され、即「9番・右翼」で先発出場。8回の3打席目で右前へプロ初安打を放った。平良の2球目、156キロの剛速球をはじき返した。
「プロに入る前から、すごいと思っていた投手。マウンドですごく大きく見えましたし、初球の真っすぐも『ゴーッ!』という感じで来ました。やっぱり違うな…と。必死で打とうと、食らいついていきました」
■正尚さん目標 せっかくの1軍。目標とする吉田正にも質問をぶつけた。「プロの直球に差し込まれないためには、どうすればいいか」―。主砲の返答には優しさと説得力があった。
「一番は自分の間合いで打つこと。プロの投手は球が速い。それに合わせていたら差されてしまう。自分が先に(形を)つくって、自分の間合いで打てるように、と。1から10まで丁寧に、すごくはっきりと教えてくださいました」
同じ右打者で、母校の大先輩にあたる楽天・浅村にもあいさつする機会に恵まれた。「これからやな。頑張れよ」とうれしい激励をもらった。1軍では6試合で打率1割5分、1打点。5月16日に2軍降格し、再び昇格を狙う日々だ。池田は、18歳とは思えない言葉で高校球児たちに力強いメッセージを送った。
「プロ野球選手になりたいとか、それぞれに自分の夢があると思います。本気で考え、努力をすれば、必ずそこには近づけます。3年生にとっては最後の夏。高校野球も一生に一度しかありません。今しかない時間を大事に、本気で取り組んでほしいと思います」
■フレッシュ球宴に 〇…池田はここまでウエスタン・リーグで65試合に出場し、打率2割3分、3本塁打、15打点。23日のフレッシュ球宴(長崎)メンバーにも選出され「自分の持ち味である打撃、フルスイングを見ていただきたい」と意気込んでいる。
◆昨夏の池田 エースの松浦慶斗(現日本ハム)らとともに進んだ興国との大阪大会決勝で池田は9回にサヨナラ打。大会通算打率6割5分4厘、2本塁打で甲子園に臨んだ。東海大菅生との1回戦は「3番・中堅」で3安打1打点。降雨コールド勝ちに貢献したが、2回戦で近江に敗れ、初めて春夏ともに16強入りを逃した。
◆池田 陵真(いけだ・りょうま)2003年8月24日、大阪・和泉市生まれ。18歳。小学6年時にオリックス・バファローズジュニアでプレー。大阪桐蔭高では主将を務め、高校通算25本塁打。21年のドラフト5位でオリックス入団。5月3日のソフトバンク戦(ペイペイD)で石川から初打点を記録した。172センチ、85キロ。右投右打。推定年俸500万円。独身。
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