
オリックス・宮城大弥投手(24)が、2日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)に先発する。チームは残り27試合で3位につけ、9・5ゲーム差の首位チームとの3連戦初戦から大事な8連戦がスタート。3月の開幕日以来となるスポーツ報知の独占コラム「一生百錬」で5勝(3敗)にとどまっている今季の自身と向き合い、大逆転優勝へかける決意などをつづった。
スポーツ報知の読者のみなさま、ご無沙汰しています。開幕からなかなか、満足のいく毎日が送れていませんでした。僕は話すことが得意ではないので、久しぶりのコラムで気持ちを伝えられればうれしいです。
今年から背番号が変わり、ファンの方々が18番のユニホームを着て、18番のタオルを振ってくれます。観客席を見ると、応援や期待がすごく伝わってきます。ですが、今の僕が応えられているのかどうか。正直、30%ぐらいだと思います。
目標自体は高く置いています。この人が投げれば勝てると確信ができ、チーム全体で「この人に勝たせたい」と思える投手になることが理想です。僕の前に18番を着けていた山本由伸さんがそうでしたから。僕はまだまだです。立ち居振る舞い、結果もそう。自分自身で勝手にプレッシャーを感じた試合もありました。
今年の成績を見ると、6回以上を自責3以内のクオリティースタート(QS)【※1】は多いかもしれません。さらに上のハイクオリティースタート(HQS・7回以上を自責2以内)や無失点の試合を増やせていれば、チームはもっと勝てていたはずです。目標は達成できないと思っていないので、達成できなければガッカリすることもあります。岸田護監督は「考えながらやるのが、上を目指す投手だから」と背中を押してくれるので、一段一段でも段階を上げたいです。
レベルアップする上でまず、大きな離脱をしないことが大切です。昨年5月に左大胸筋のケガをし、負傷箇所のトレーニングを増やしました。今も強い体づくりを目指しています。一つの結果として、体重は去年の今頃から2キロ増えて90キロ。肩肘も元気です。体のキレを実感し、奪三振や奪三振率も上がっています。収穫や反省を整理し、また新しいシーズンに備える繰り返しです。相手がいるスポーツなので、取り組みには正解がありません。
相手と対戦している最中は楽しいと思えません。勝敗を背負うので、終わってから考えるべきです。5月にはそれを実感しました。日本ハムのレイエス選手と対戦【※2】し、2打席連続で四球。翌日、僕からレイエス選手の方に出向きました。「逃げているわけじゃないけど、ちゃんと勝負ができなかった」と。相手の打者に直接、気持ちを伝えたのは初めてでした。
レイエス選手は間合いがすごく上手で、なかなか空振りもしてくれません。ストライクゾーンが小さく見えて、僕より大きく感じます。マウンドは傾斜があるはずなのに…。どうやって決着させようか、困る打者の一人です。「大丈夫。いい投手だから、自信を持って投げてこいよ。お互いに真剣勝負をしよう」。レイエス選手もそう言ってくれて、2人で約束しました。
8月25日に24歳になりました。人生の山で言えば一合目、プロ野球選手としては、良くても三合目ぐらいです。「もっと楽に自分を褒めて伸ばそうかな?」という思いもあります。「できないならできるまで!」ではなく「この段階まで来られた」という風に自信を持ちながら、プラスの方向に進むことも必要かもしれません。
首位のソフトバンクとは9・5ゲーム差。優勝の可能性があるなら、目指す以外に選択肢はありません。そこにいる誰もが笑顔でいられるのが、ビールかけの空間。単純にまた、みんなとワチャワチャしたいからです。人にビールをかけるなんて普通ならとんでもないですけど、あの空間が僕は大好きです。きょうから大事な8連戦。チームと自分自身の成績を上げるためにも、先発の仕事以上のパフォーマンスを出していきます。(宮城 大弥)
【※1】今季の宮城は九里とともにチーム最多のQS15回(パ4位タイ)を記録。HQSは8回。九里は10回記録している。延長11回でサヨナラ勝利した6月14日の巨人戦(京セラD)は9回1失点だったが、まだ完投がない。
【※2】5月14日の日本ハム戦(エスコン)でレイエスと対戦し、初回はストレート、4回はフルカウントから四球。2点リードの5回2死満塁で中前へ同点2点打を許した。
〇…宮城はこの日、2日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)に向け、大阪・舞洲で投手練習に参加した。今季は7月9日に京セラDで1度対戦。8回を1失点で3敗目を喫した。モイネロとの投げ合いはキャリア初。8月21日の日本ハム戦(エスコン)で5勝目を挙げ、一度登録を外れて状態は万全。「モイネロだからと思わないように。僕が対戦するのは打者なので」と強調し「可能性があるなら、あきらめずに頑張りたい」と2年ぶりの2ケタ勝利にも挑むつもりだ。
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