
◆日本生命セ・パ交流戦 2025 オリックス―巨人(15日・京セラドーム大阪)
名門・大阪桐蔭の硬式野球部出身で、希少がんと闘う福森大翔(ひろと)さんが、試合前の始球式に登板した。この試合を協賛するセンス・トラスト株式会社の今中康仁社長が同校の野球部OBだった縁もあり、今回の登板が実現。両親や妻、そして同部OBの西岡剛氏、岩田稔氏らが見守る中、高校時代に苦楽をともにした親友のオリックス・森友哉が構えるミットにノーバウンド投球を収めた。「友哉が(緊張を)和らげてくれた。本当に感謝というか、いろんな人に支えてもらっているんだなっていうのを改めてマウンドに立って思った」と感慨に浸った。
福森さんは高校3年時、外野手として春夏ともに甲子園でプレー。センバツでは、8打数3安打2打点をマークした。選手権では11打数6安打1打点と大暴れし、2回戦・日川戦(山梨)ではサヨナラ打も記録。立命大を経て、社会人として生活していた21年に2つの希少がんが見つかった。
24年には複数箇所への転移が発覚。病室で闘病の日々を過ごすなか、最初に見舞いに来てくれたのが森だった。「来ていただいた時は感情が高ぶって涙したけど、『まだ泣くところでもない。まだまだ、これから前向いて生きていかなアカン』ってトモに言われて。支えてもらって今がある」と、目を赤くしながら振り返った。
始球式での登板が決まると、2か月前からトレーニング。「始めは抗がん剤の影響で腕が上がらなかった。5メートルとかも投げられなかった」としつつも、「いろんな人のサポートのおかげでこの日を迎えて、18メートルを投げられて本当によかった。やっぱり、自分一人じゃ生きられないって改めて思った」と満面の笑みを浮かべた。
投球後は、森と熱い抱擁を交わした福森さん。「開口一番、『投げれたやん』と。すぐに『ありがとう』って言葉で締めた」とやり取り明かした。
現在は、新たな治療法を模索するためのクラウドファンディングを実行。「少しでも多くの人に、限界なくまだまだ前向きにトライできるよってことを伝えられたら」と前を向き、難病克服への決意を新たにした。
【森選手コメント】
「始球式で投げることになった」と本人から聞かされたときは驚きました。彼のうれしそうな表情を見て、その日から僕も今日の始球式を楽しみにしていました。彼と僕との関係性を言葉で言い表すのは難しいですが、少なくとも僕にとって彼はかけがえのない親友です。始球式は驚くほど強いボールでした。投げられないときを知っているだけに、うれしい気持ちを込めて「よく届いたな」と声をかけました。母校の応援演奏も力になったのではないでしょうか。彼が一日も早く完全寛解の日を迎えることを願っています。オフにはまた二人でキャッチボールをしたいと思います。
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