埼玉西武・秋山選手の本塁打量産は「突然変異」か「長打力定着の兆候」か。中距離打者のパワー開眼を考察する

2017.6.29(木) 00:00 パ・リーグ インサイト 藤原彬

6月28日の千葉ロッテ戦で、埼玉西武の秋山選手が自己最多のシーズン15本塁打に到達した。この時点での秋山選手の本塁打率は17.6で、キャリア通算とほぼ同じだった昨季の61.0と比較すると、本塁打を1本打つために要する打数が3分の1以下と、はるかに少なくなっている。リーグ6位の15本塁打に加えて、同2位の31長打、同3位の長打率.564と、パワーナンバーの充実が目覚ましい。
「そういうタイプのバッターではない」と本人は語っているが、初の30本塁打到達も可能な今季の秋山選手のように、中距離打者が本塁打を量産するのはしばしば見られるケースだ。打線での役割に左右されることも多いが、大別すると、パワー増加が一過性のものでしかない「突然変異型」と、中軸を任せられるような打者へと化ける「長打力定着型」に分けることができる。
「突然変異型」の代表格として、古屋英夫氏(阪神ファーム野手チーフ兼育成コーチ)や、野村謙二郎氏(広島前監督)の現役時代が挙げられる。主に日本ハムで活躍した古屋氏は、一軍デビューからの7年間で規定打席を5度クリアし、そのうち4シーズンで打率.290以上を残したように堅実な打撃が持ち味の打者だった。その間はいずれも2桁本塁打を記録していたが、シーズン最多は19本塁打とあって、1985年の33本塁打は驚きの上積みだ。ただ、翌年は21本塁打を放ったが、それ以降の6年間は計39本塁打にとど...

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