剛速球が魅力の投手には「パワーピッチャー」の称号が贈られることがある。一般的には、恵まれた体格で速球を武器とし、打者に向かっていく強気の意識が見える投手を指すのではないだろうか。身長191センチ、体重100キロ超の埼玉西武・中塚駿太投手は、まさにそのイメージを形にしたような選手だ。
白鴎大学時代、中塚投手が4年春までに関甲新リーグで挙げた勝利はわずか1。プロ入りが確実視される存在ではなかったが、4年秋のリーグ戦で覚醒。最速157キロの剛速球を武器に5勝を挙げると、その潜在能力に注目した埼玉西武が2016年ドラフト2位で指名した。しかし、1月の新人合同自主トレでは、初日からいきなり苦戦。ポール間走をリタイアし、大の字に倒れ込んだ姿が大きく報道されてしまう。
そんな中でも中塚投手本人に必要以上の焦りは見られず、埼玉西武首脳陣もそれくらいは「想定内」と大きく構える体勢。それだけでも、中塚投手のポテンシャルにどれだけの可能性が秘められているか、期待せずにはいられない。シーズン開幕後は、ファームで精一杯腕を振り続けた。成績は20試合2勝5敗、防御率3.84。好不調の波が激しかったため、満足のいく成績ではなかったものの、持ち味の直球は常時150キロ台...