パ・リーグ初の快挙達成なるか。埼玉西武・源田選手が挑む、新人王&盗塁王のW受賞

パ・リーグ インサイト 成田康史

2017.10.3(火) 00:00

「盗塁王争いクライマックス」源田壮亮選手(左)と西川遥輝選手(右)(C)パーソル パ・リーグTV
「盗塁王争いクライマックス」源田壮亮選手(左)と西川遥輝選手(右)(C)パーソル パ・リーグTV

今季のパ・リーグでは、2014年の盗塁王・西川選手(北海道日本ハム)と、埼玉西武のルーキー・源田選手が熾烈な盗塁王争いを繰り広げている。「盗塁王」と聞けば、前人未到の1000盗塁を記録した福本豊氏(元阪急)や、2007年から4年連続でその栄誉に輝いた片岡治大選手(現巨人・引退表明)といった選手が思い浮かぶだろう。彼らはいずれも、プロの世界で自らの技術に研鑽を重ねてそのタイトルをつかんだ選手達である。しかし、源田選手は新人ながらそのタイトルに手を掛けている。では、プロ野球の歴史の中で、プロ1年目にして盗塁王を獲得した選手は、どれほどいたのだろうか。

驚くべきことに新人年にいきなり盗塁王となったのは、2リーグ制以降で赤星憲広選手(元阪神)ただ一人である。赤星選手は1年目の2001年、開幕一軍をつかみ取るとシーズンを通してレギュラーに定着し、39盗塁を記録。今に至るまで唯一の「新人王と盗塁王の同時獲得」を成し遂げた。1リーグ制の時代には、南海で活躍した河西俊雄選手が新人年(1946年)に39盗塁でタイトルを獲得しているが、これを含めても長いプロ野球の歴史の中で、「新人の盗塁王」は2人のみ。非常に珍しい記録となっている。

しかし、新人の盗塁記録と聞いて、小坂誠選手(元千葉ロッテ他)の名前を想像する人も多いのではないだろうか。それもそのはず、赤星選手が39盗塁で盗塁王に輝いたのに対し、ルーキーイヤーの小坂選手は56盗塁を記録し、新人歴代トップの盗塁数を誇っているからである。しかし、この年は松井稼頭央選手(当時西武)が小坂選手を上回る62盗塁を記録してタイトルを獲得。惜しくもパ・リーグ初となる栄誉を逃すことになった。

まだ記憶に新しいところで挙げれば、2010年に荻野貴司選手(千葉ロッテ)が鮮烈な輝きを見せ、普通のゴロで内野安打を勝ち取るなど、圧倒的な走力で出場46試合ながらリーグ第6位となる25盗塁を記録。1シーズンに換算すると78個というペースで盗塁を重ねていたが、右ひざの故障により5月半ばに戦線離脱を強いられることに。その後シーズン中の復帰は叶わず、荻野貴選手もパ・リーグ初の快挙達成とはならなかった。

そして、2リーグ制となってから68シーズン目となる今季。未だに誰もなしえたことのないこの記録に手をかけているのが、源田選手である。開幕スタメンの座を勝ち取ると、当初は2割台前半だった打率も徐々に上昇し、5月には月間打率が3割を超えるなど2番打者として抜群の存在感を示し始める。出塁機会が増えたことで、おのずと盗塁数も積み重なっていき、ここまで記録した盗塁数は35個。シーズン序盤からデッドヒートを繰り広げてきた1位・西川選手とは2個差と、まだまだ逆転のチャンスは残っている。金子侑選手や秋山選手など、走力のある選手が実力を発揮し、チームは現在リーグトップの盗塁数を誇っている。そんな中でも華麗な守備と、臆せずに三盗を仕掛ける新人離れした度胸を武器に、球史にその名を刻む事ができるのか。最後の最後まで、両者の争いに注目したい。

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パ・リーグ インサイト 成田康史

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