楽天との最大11ゲーム差を詰め、8月29日にリーグ2位に浮上して以来、ここまでその座を死守している埼玉西武。長打力が開花した秋山選手、新・4番の山川選手を擁する強力打線の印象通り、チーム打率、安打数、得点数はいすれもリーグトップを誇る。そしてこれに加え、今季は盗塁企図数、盗塁数もリーグトップの成績を叩き出している。 (数字は全て9月19日の試合終了時点のもの)。
昨季、盗塁王を獲得した金子侑選手を擁しながら、チームの盗塁企図数は134個で、盗塁数はリーグ4位の97個。成功率は72パーセントだった。そして今季の盗塁企図数は152個で、盗塁数はリーグトップの116個。成功率は76パーセントだ。盗塁を仕掛けた数も、その成功率も、目に見えて上昇している。
そんな今季の埼玉西武の高い走塁意識を支えているのは、源田選手、秋山選手、金子侑選手、外崎選手の4人だ。彼らの合計盗塁数は90個で、埼玉西武に次ぐ北海道日本ハムのチーム盗塁数(77盗塁)すらも大きく上回っている。特にルーキーの源田選手は、果敢に35盗塁を積み上げ、北海道日本ハムの西川選手と熾烈な盗塁王争いを繰り広げている最中だ。
盗塁数の大幅増加は、チーム全体の攻撃パターンにも影響している。埼玉西武の今季の打点数は浅村選手が93打点でリーグ3位。中村選手が76打点でリーグ6位。主に上位を打つ秋山選手と源田選手が出塁し、中軸がしっかりと返す攻撃パターンが確立されている。さらに、秋山選手がリーグ5位の85打点、源田選手は主に2番に座りながら53打点をマークし、下位打線が作った好機を上位で返す攻撃パターンも生まれていることが分かる。
現在、パ・リーグの規定打席到達者の中で、打率が3割を超えているのは、埼玉西武の秋山選手と福岡ソフトバンクの柳田選手のみである。シーズン途中ではあるが、昨季の6人に比べて今季は3割打者が少なく、投手陣のレベルの高さが窺える。打ち崩すことが難しい好投手を相手にする上では、その隙を突いてどれだけ効率よく得点を奪うかが重要であり、今季、盗塁は走者を得点圏に置くためにことさら効果的な攻撃方法と言える。
埼玉西武を率いる辻監督も、現役時代に20盗塁以上を5度達成しており、盗塁の重要性は熟知していることだろう。豪快な一発が魅力の埼玉西武打線に新たに「走力」という武器が加わった。これからのシーズン最終盤も来季からも、埼玉西武らしい「俊足・豪打」の鮮やかな攻撃に注目していきたい。
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