交流戦首位打者は「一流打者」への登竜門。今年は誰が獲得する?

パ・リーグ インサイト 松下雄馬

2016.6.18(土) 00:00

(C)PLM
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6月17日の試合終了段階で、日本生命セ・パ交流戦の勝敗成績はパ・リーグの52勝41敗1分け。交流戦が開始された2005年から現在まで(6月17日まで)の交流戦通算成績も「パ」が917勝815敗54分けと貯金100の大台を突破し、まさに「実力のパ」という事実を存分に見せ付ける形となっている。また選手個々でも、北海道日本ハム・大谷翔平選手が163キロを幾度も記録するなど、「パ」の個性豊か、かつ高い実力を「セ」相手に知らしめた。

交流戦は18試合という短い期間のため、「交流戦MVP」を除いて投打のタイトル表彰は設定されていない。しかしながら、対戦相手、開催球場など、いつもとは大きく異なる環境で結果を残した選手たちは、評価されるべきと言えるだろう。そんな「非公式」ながら「交流戦首位打者」に輝いた選手が、その後のシーズン全体でも打撃部門で確かな結果を残していることをご存じだろうか?

<直近5年の交流戦首位打者一覧>
【2011年】オリックス・坂口智隆 打率.412(102打数42安打)
【2012年】千葉ロッテ・角中勝也 打率.349(98打数30安打)
【2013年】福岡ソフトバンク・長谷川勇也 打率.418(98打数41安打)
【2014年】東京ヤクルト・山田哲人 打率.378(98打数37安打)
【2015年】埼玉西武・秋山翔吾 打率.432(84打数32安打)

2011年の坂口選手は前年も打率3割を超えておりすでに好打者としての地位を確立していたが、2012年以降は、まさにその後の「ブレイク確定」の印となっている。

その2012年はそれまで一度も規定打席に到達したことのなかった千葉ロッテ・角中選手が、自身初タイトルとなる首位打者を獲得し、ベストナインにも選出された。2013年は福岡ソフトバンク・長谷川選手がこちらも自身初タイトルとなる首位打者、最多安打、ベストナインをそれぞれ獲得。そして2014年は東京ヤクルト・山田選手が日本人右打者史上最多のシーズン193安打。最多安打を獲得し、翌年にはトリプルスリーを達成。昨年の埼玉西武・秋山選手はNPB史上最多のシーズン216安打の快挙。ゴールデングラブ賞、ベストナインにも選出される大活躍でシーズンを終えた。

このように、交流戦で首位打者を獲得すれば、ここ数年の結果からレギュラーシーズン再開後の活躍が保証されたようなものであり、その後はシーズンのタイトル争いにも期待が掛かるという傾向にある。要因としては、普段対戦していない相手と対戦し、結果を残すことによって経験値が上がり、レギュラーシーズン再開後の戦い慣れた相手に戻ることでそれが自信へと変わり、さらに良い結果が出るのではないだろうか。

今年のここまで(17日試合終了時点)の交流戦打率ランキングを見てみると、まさに大ブレイク中の福岡ソフトバンク・城所龍磨選手が打率.444(45打数20安打)でトップに座する。もはや「活躍中」の説明は不要だろう。2位は千葉ロッテ・デスパイネ選手(打率.393、56打数22安打)、3位はこちらも才能が開花した感のある広島・鈴木誠也選手(打率.382、55打数21安打)。また一時交流戦首位打者に立った千葉ロッテ・田村龍弘選手も、打率.354(48打数17安打)でまだまだ6位という上位に位置している。

試合数が少ないことから、1本のヒットで順位は大きく変動する。まだ数試合を残しており、現段階ではどの選手が首位打者を獲得するかについては分からないが、交流戦の首位打者争いに注視し、その後のシーズンのタイトル争いにも注目が必要だ。

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