「伏兵」の活躍が日本シリーズを左右する? 代打満塁弾、守備職人の一打…

Full-Count

2018.11.1(木) 16:10

福岡ソフトバンク・工藤監督と広島・緒方監督※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都、荒川祐史)
福岡ソフトバンク・工藤監督と広島・緒方監督※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都、荒川祐史)

日本シリーズで勝負を決める活躍を見せた伏兵たち

 プロ野球日本一を決する日本シリーズは、球界を代表するスター選手たちの活躍の舞台だが、脇役の選手が試合を決める殊勲打を打つことがしばしばある。メディアはこれを「伏兵」と言うが、ここまで多くの「伏兵」が日本シリーズのドラマを作ってきた。

日本シリーズの「伏兵」を振り返ってみよう。

〇王貞治ではなく、2人の巨人投手が揃って殊勲打で勝利

1973年第2戦10月28日 ●南海2-3巨人〇(大阪球場)

 2回に南海が先制するが、4回にこの日の巨人先発投手倉田誠が一死一、三塁で中前打を打ち同点に追いつく。巨人は5回に勝ち越すが、6回に南海が追いつき2-2で延長戦へ。7回途中から倉田をリリーフした堀内恒夫が11回表、1死二塁で南海佐藤道から中前打で走者をかえす。これが決勝点。この年、長嶋茂雄は故障で欠場していたが、王貞治以下強力打線は健在だった。しかし勝負を決めたのは2人の投手だった。

〇史上最強外国人を向こうに回してシーズン3本塁打の打者が決勝の一発

1985年第4戦10月30日 ●阪神2-3埼玉西武〇(甲子園)

 6回に埼玉西武がスティーブの2ランで先制、その裏に阪神が真弓のソロで1点差に。8回に阪神が弘田の犠飛で追いつく。9回表2死三塁で、代打に立った西岡良洋が阪神福間から決勝の2ラン。阪神は三冠王のバース、掛布、岡田が中軸に並ぶ強力打線だったが、埼玉西武の松沼兄弟の前に合わせて1安打。決勝本塁打を打った西岡は外野守備の名手として知られたが、この年3本塁打、キャリアでも50本塁打。ノーマークの選手の殊勲打だった。
なおこの試合の有料入場者数入場者5万1554人は日本シリーズ史上最多。

〇最晩年を迎えた強打者が、代打満塁サヨナラ本塁打

1992年第1戦10月17日 〇東京ヤクルト7-3埼玉西武●(神宮球場)延長12回

2回に埼玉西武がデストラーデのソロで先制、3回に東京ヤクルトは飯田、新井の連続タイムリーで逆転、6回には古田のソロが出て3-1とリード。しかし7回に埼玉西武はデストラーデがこの日2本目のソロ、さらに9回には石毛の犠飛で同点に追いつく。延長12回裏、1死満塁で代打・杉浦亨が打席に立つ。杉浦は通算224本塁打の強打者だが、40歳のこの年はわずか18試合で1本塁打だった。しかし杉浦は救援の鹿取から代打サヨナラ満塁本塁打。本人はこのシーズン限りで引退する予定だったが、この殊勲打でもう1年現役が伸びた。

2012年は北海道日本ハムの守備職人・飯山が巨人からサヨナラ打

〇途中出場の守備固めが、決勝のタイムリー二塁打

2012年第4戦 〇北海道日本ハム1-0巨人●(札幌ドーム)延長12回

 北海道日本ハム中村勝、巨人宮國の先発、両軍ともに4人の救援投手を使う継投策で、スコアレスのまま延長戦に。12回にエラーがらみで1死一、三塁となって、打席には飯山裕志。先発遊撃手・金子誠に代打西川が送られたため、9回から守備固めで遊撃に入り、10回は三塁を守っていた。飯山は巨人・西村健太朗から左中間にサヨナラ二塁打。「スーパーサブ」「守備のクローザー」と言われた選手の一世一代の大仕事だった。

〇ユーティリティプレイヤーが日本一を決めるサヨナラ安打

2017年第6戦 〇福岡ソフトバンク4-3横浜DeNA●(ヤフオクドーム)延長11回

 3勝2敗で王手をかけて福岡に戻ってきた福岡ソフトバンク。2回に松田の本塁打で先制するも横浜DeNAは5回に白崎の本塁打などで3点を奪い逆転、福岡ソフトバンクは8回に柳田の二ゴロの間に1点、9回には内川のソロで追いつく。延長11回、二死一、二塁でこの日4打席無安打だった川島が横浜DeNA三上から右前にサヨナラタイムリー。川島は正二塁手ではなく、一塁、二塁、三塁、外野も守るユーティリティ。シーズン中はわずか29安打だったが、日本一を決める一打を放って感激のお立ち台に立った。

 川島の殊勲打は記憶に新しい。川島は今季も日本シリーズに出場し、5打数2安打と活躍している。2018年の日本シリーズも第4戦、両軍ともに相手の手の内が見え始めている。今年も「伏兵」が意外性のある大きなドラマを作るかもしれない。

(Full-Count編集部)

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