2016年のドラフト会議。史上初、外れ1位で5球団の重複指名を受けた桜美林大学出身の佐々木投手が注目を集める中、地元球団の千葉ロッテから5位指名を受けて、26歳の有吉投手はプロの仲間入りを果たした。
東京情報大学を卒業後、九州三菱自動車で活躍し、入団会見では「営業の仕事をやってきましたが、指名されてお客様からも喜んでいただきました。福岡なのでほとんどがホークスファンですが、“有吉くんが投げる時は応援するよ”と声をかけていただき、嬉しかったです」と、元・営業マンらしく感謝の言葉を語っていた。
オープン戦を好調で終えた千葉ロッテにおける中継ぎの枠争いは熾烈だったが、有吉投手は7試合に登板して無失点と完璧な投球を見せ、首脳陣へのアピールに成功。自身が短期的な目標に掲げていた「開幕一軍」を達成する。
奇しくも千葉ロッテの開幕カードは、ヤフオクドームでの福岡ソフトバンク戦。開幕戦から、有吉投手も中継ぎとしてプロ初登板を果たし、計2試合を投げて無失点と力を見せ付ける。アマチュア時代から応援してくれている人々に向けて好投を披露し、プロ野球選手としての第一歩を踏み出した。
その後もさまざまな場面で登板を重ね、3月31日から5月6日まで10試合連続無失点という圧巻の記録を残す。現在は、チーム内で2番目の多さとなる37試合に登板し、2勝4敗8ホールド、防御率3.49という成績。千葉ロッテは昨年のドラフトで、1位から6位までがすべて投手という指名を行ったが、そのうち現在に至るまで一軍に帯同し続けているのは有吉投手ただ1人。今や、千葉ロッテのブルペンに欠かせない存在と言っていいだろう。
九州三菱自動車時代には携帯電話をポケットに入れたまま練習に励み、チーム全体が社業を優先する環境下で顧客との信頼関係を築いてきた。営業マン時代同様、有吉投手の投球も粘り強さが持ち味だ。
プロ初勝利を挙げた試合のお立ち台でも、「ランナーを出してもいつもどおり粘り強く投げようと思いました」と語っていた有吉投手。厳しさを増すシーズン終盤も、これまで同様に忍耐強く投げ抜き、自らセールスポイントに挙げる「強気のピッチング」を年間通して披露することができるか。昨年まで営業マンとして福岡を飛び回ったタフネス右腕は、今まさに売り出し中だ。
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