パ・リーグ3位の埼玉西武と大きくゲーム差を空け、熾烈な首位争いを繰り広げる楽天と福岡ソフトバンク。例年ならば独走状態に入っていてもおかしくない「29」もの貯金を積み上げてリーグ1位に君臨する楽天を、7試合多く消化している福岡ソフトバンクがぴったりと追走してきた。そのゲーム差は、7月30日時点でついに「0」に。そこでここでは、楽天と福岡ソフトバンクの現時点での勝敗数・投打成績・離脱者などを比較したい。
【チーム勝敗数】
・楽天
86試合57勝28敗1分 勝率.671
ホーム29勝12敗1分・ロード28勝16敗
対福岡ソフトバンク9勝6敗・対埼玉西武7勝5敗・対オリックス12勝3敗1分・対北海道日本ハム10勝3敗・対千葉ロッテ9勝3敗・交流戦10勝8敗
・福岡ソフトバンク
93試合61勝32敗0分 勝率.656
ホーム36勝13敗・ロード25勝19敗
対楽天6勝9敗・対埼玉西武10勝5敗・対オリックス9勝4敗・対北海道日本ハム12勝5敗・対千葉ロッテ12勝3敗・交流戦12勝6敗
福岡ソフトバンクが7試合多く消化しているが、直接対決は楽天に軍配。しかし首位攻防戦だけでなく一戦一戦を大事に戦い、気を抜かず勝ちを拾っていかなければ、あっという間に立場が入れ替わる。競り合いはシーズンの最終盤までもつれこみそうだ。
【チーム打撃成績】
・福岡ソフトバンク
93試合808安打108本塁打423得点58盗塁 打率.267
・楽天
86試合781安打93本塁打398得点23盗塁 打率.266
【チーム投手成績】
・福岡ソフトバンク
93試合61勝32敗0分74ホールド33セーブ 与四球290 防御率3.09
・楽天
86試合57勝28敗1分67ホールド33セーブ 与四球249 防御率3.20
打率、防御率は福岡ソフトバンクがわずかに上回るが、1試合で変動するほどの差しかない。福岡ソフトバンクは両リーグトップの本塁打をマークしながら、犠打・盗塁数もリーグ屈指で、破壊力と機動力を併せ持つ打線であることが窺える。一方楽天は犠打数がリーグ6位、盗塁数が5位に留まっており、福岡ソフトバンクとは対照的だ。なお失策数は福岡ソフトバンクが26失策、楽天が40失策である。
【先発投手】
・楽天
則本投手:15試合10勝2敗 防御率3.06
岸投手:15試合8勝4敗 防御率2.15
美馬投手:17試合8勝3敗 防御率2.88
辛島投手:12試合7勝4敗 防御率3.94
釜田投手:10試合4勝2敗 防御率4.47
塩見投手:4試合1勝1敗 防御率3.80
安樂投手:3試合1勝2敗 防御率5.74
・福岡ソフトバンク
東浜投手:16試合10勝3敗 防御率2.31
千賀投手:13試合9勝2敗 防御率2.73
バンデンハーク投手:16試合8勝5敗 防御率3.35
中田賢投手:13試合5勝6敗 防御率5.24
石川投手:23試合4勝2敗 防御率1.99
松本裕投手:10試合2勝3敗 防御率5.04
武田投手:6試合3勝1敗 防御率4.02
福岡ソフトバンクの東浜投手、千賀投手、バンデンハーク投手、楽天の則本投手、岸投手、美馬投手という先発3本柱は、合わせて17個の貯金を積み上げている。勝利数は則本投手、東浜投手がリーグトップタイで、勝率と奪三振は則本投手が1位。防御率部門は埼玉西武の菊池投手に次いで、岸投手が2位につけている。
両チームとも3本柱が盤石だからこそ、3番手以降の先発投手が重要になってくるが、楽天は今月から本格的に復帰した塩見投手の巻き返しと、試合を作る力を備えている釜田投手に注目したい。一方の福岡ソフトバンクは、昨季エース格として14勝を挙げた武田投手の復調と、今季の途中から先発に転向して結果を残している石川投手の存在が非常に心強い。
【中継ぎ投手】
・楽天
ハーマン投手:36試合2勝0敗25ホールド1セーブ 防御率2.08
高梨投手:21試合1勝0敗5ホールド 防御率0.89
久保投手:15試合2勝0敗2ホールド 防御率2.25
管原投手:25試合1勝0敗1ホールド 防御率4.01
金刃投手:5試合0勝1敗1ホールド 防御率16.20
戸村投手:13試合2勝1敗 防御率6.23
青山投手:5試合0勝1敗 防御率8.31
福山投手:41試合6勝0敗16ホールド3セーブ 防御率0.74
・福岡ソフトバンク
岩嵜投手:47試合5勝2敗24ホールド1セーブ 防御率1.71
森投手:45試合1勝2敗23ホールド 防御率2.56
嘉弥真投手:36試合1勝0敗8ホールド 防御率0.81
飯田投手:17試合0勝0敗2ホールド 防御率2.79
岡本投手:9試合1勝0敗1ホールド 防御率0.90
モイネロ投手:11試合1勝0敗2ホールド 防御率1.32
サファテ投手:41試合1勝1敗3ホールド32セーブ 防御率0.86
楽天は、サファテ投手とセーブ王争いを繰り広げていた絶対的守護神・松井裕投手を、福岡ソフトバンクは中継ぎ投手として最多の6勝を挙げていた五十嵐投手を、それぞれ怪我で欠くことになった。登板数がかさんでいるほかの投手の状態も気がかりだ。
福岡ソフトバンクとしては、長いイニングを投げられる上に、途中加入であるためスタミナを残しているモイネロ投手の存在が頼もしい。一方楽天は、ルーキーながら「勝利の方程式」に入り、今季序盤の快進撃を支えた森原投手が二軍調整中だ。福山投手は、開幕からの自責点「0」の記録が36試合で途切れたものの、安定感は健在。松井裕投手に代わって守護神を務め、危なげなくセーブを記録している。
【スタメン打率】
・楽天 ※7月30日のスタメン
(指)茂木選手:58試合229打数73安打37打点12本塁打 打率.319
(右)聖澤選手:71試合116打数31安打13打点0本塁打 打率.267
(中)島内選手:86試合312打数87安打33打点9本塁打 打率.279
(三)ウィーラー選手:86試合341打数97安打56打点23本塁打 打率.284
(二)銀次選手:86試合320打数100安打35打点3本塁打 打率.313
(一)アマダー選手:74試合259打数58安打38打点15本塁打 打率.224
(遊)クルーズ選手:5試合18打数5安打2打点0本塁打 打率.278
(左)松井稼選手:32試合49打数12安打9打点1本塁打 打率.245
(捕)嶋選手:67試合175打数37安打19打点2本塁打 打率.211
控え捕手:細川選手、伊志嶺選手
控え内野手:阿部選手、三好選手、中川選手
控え外野手:福田選手、田中選手
・福岡ソフトバンク ※7月30日のスタメン
(一) 明石選手:54試合127打数33安打11打点0本塁打 打率.260
(遊)今宮選手:91試合336打数96安打37打点8本塁打 打率.286
(三)松田選手:93試合344打数90安打46打点15本塁打 打率.262
(中)柳田選手:90試合307打数100安打77打点24塁打 打率.326
(指)デスパイネ選手:87試合305打数80安打64打点22本塁打 打率.262
(左)中村晃選手:93試合331打数91安打21打点1本塁打 打率.274
(二)川島選手:55試合68打数15安打8打点4本塁打 打率.215
(捕)甲斐選手:66試合150打数38安打18打点5本塁打 打率.253
(右)真砂選手:1試合3打数0安打0打点0本塁打 打率.000
控え捕手:栗原選手、鶴岡選手
控え内野手:曽根選手、高田選手
控え外野手:福田選手、上林選手
チーム打撃成績では福岡ソフトバンクが楽天を上回ったものの、福岡ソフトバンクは4番の内川選手が怪我で離脱したばかりだ。楽天は岡島選手、ペゲーロ選手、今江選手といった主軸を欠いており、お互いに万全な状態ではない。
打撃タイトル争いに目を向けると、現在本塁打王に君臨する福岡ソフトバンクの柳田選手を、楽天のウィーラー選手、チームメイトのデスパイネ選手が僅差で追っている。柳田選手は打点もリーグトップ。打率部門は、埼玉西武の秋山選手と柳田選手に次いで銀次選手が3位につけている。6月に怪我で戦線を離脱し、7月30日に復帰した茂木選手もすぐにこのランキングに姿を現すだろう。
【主な離脱者】
・楽天
松井裕投手(左肩後方筋肉部分損傷)競技復帰まで4週間
森原投手(再調整)一軍復帰は未定
藤田選手(腰痛)近日中に一軍復帰見込み
今江選手(左前腕部骨折)全治2カ月半
岡島選手(亜脱臼による左肩関節唇損傷)競技復帰まで3週間
ペゲーロ選手(左太腿半腱様筋部分損傷)競技復帰まで3週間
・福岡ソフトバンク
和田投手(左肘骨片除去手術)一軍復帰は9月見込み
五十嵐投手(左半腱半膜様筋損傷)全治8~12週間
スアレス投手(右肘内側側副靱帯再建手術)一軍復帰は来季以降
川崎選手(両足首痛)近日中に一軍復帰見込み
高谷選手(脳振とう)近日中に一軍復帰見込み
本多選手(右腰の張り)一軍復帰は未定
内川選手(左手母指基節骨尺側基部剥離骨折)全治6週間
以上、楽天と福岡ソフトバンクの成績・離脱者などを比較した。後半戦最初の首位攻防戦となった7月26日からのカードは、1勝1敗の五分で終了。次の直接対決は8月18日からとなるが、順位はいつひっくり返ってもおかしくない緊迫した状況だ。
後半戦ともなればどの選手も、蓄積疲労による怪我の危険が付きまとう。リーグ優勝の行方はもちろん、両チームが現有戦力をどのようにやり繰りしていくのか、どの一戦が、どんな一瞬の判断が、その後の未来を左右する「勝負の分かれ目」となるか。注目したい。
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