今季から埼玉西武に加わり、勝利の方程式の一角としてチームを支えるシュリッター投手。ここまで42試合に登板してパ・リーグトップの26ホールドを記録し、防御率は1.71と、来日初年度からチームに欠かせない存在となっている。安定感のあるシュリッター投手の加入で牧田投手が回またぎを敢行するケースも減り、武隈投手や大石投手の起用法の幅も広がるなど、ブルペン全体に好影響を与えている。
シュリッター投手は、米球界時代、マイナーを含めた全ての試合で先発として登板した回数は「0」。まさに中継ぎのスペシャリストと言える存在だ。ヤンキース、フィリーズなどを経て2014年はカブスとメジャー契約を結び、61試合2勝3敗、12ホールド、56回1/3、防御率4.15という成績を残している。
翌2015年は、AAAで45試合に登板して23セーブを挙げ、防御率1.61という素晴らしい数字を記録したものの、メジャーでは10試合の登板で防御率7.36という結果に終わってしまう。ロッキーズ傘下に移った2016年もAAAで成績を残すが、メジャー昇格はならず。その年のオフに海を渡り、埼玉西武の一員となった。
メジャーでは登板機会に恵まれなかったシュリッター投手だが、高地や乾燥地帯に本拠地を置いている球団が多く、打者有利として知られるパシフィック・コーストリーグで好成績を挙げてきた。今季は「打たせて取る」スタイルで、源田選手の加入により安定感を増した内野陣を存分に活かした投球を続けている。
現在ホールド数はリーグトップのシュリッター投手だが、最優秀中継ぎを決める際の基準となるホールドポイント(ホールド+救援勝利)は3位。仮にシュリッター投手が、ここからさらに数字を伸ばして最優秀中継ぎを受賞すれば、パ・リーグの外国人投手としては2010年のファルケンボーグ投手(当時福岡ソフトバンク)以来史上2人目、来日1年目の投手としては史上初の快挙となる。
慣れ親しんだ母国を離れて海を渡り、その投球で自らの居場所をつかみ取ったシュリッター投手。厳しい環境で磨いてきた実力と高い適応能力を異国の地で証明した剛腕の挑戦に、これからも目が離せない。
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