現実的な起用法4つを提示「2019年に関しては興味深いことになる」
エンゼルス大谷翔平投手の右肘に新たな靭帯損傷が発見され、さらに故障発覚にもかかわらず、打者としてはさらに勢いを増して大暴れしていることで、米国では改めて“二刀流"の起用方法についての論争が起こっている。MLB公式サイトでは、靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を推奨されている大谷が、2020年まで投手として復帰しないという仮定のもとで、来年以降の大谷の起用法に関する可能性を考える記事を掲載した。
同記事では、大谷の現実的な起用法として、4つの可能性を提示している。
◯2019年はDH専任、2020年に先発投手として復帰
単純に、現在の起用法を続けるやり方。来年は打者に専念、再来年は週1回の先発とDHとしての打者起用を並行して行うというものだ。この場合、来年は打者として600打席以上をこなすことになる。記事では、
「2019年に関しては興味深いことになるだろう。なぜなら、彼が登板できないとなるとDHで出場できる機会が増えることになるからだ。彼が健康でい続けたなら、投手をやりながらでも恐らく400打席くらいを我々は考えていたであろう。開幕に彼が間に合うと仮定して、2019年には(今シーズンのように)先発登板前後のオフが無くなるため、彼の打席数が600以上になるかもしれないのだ。非常に大きな(打席数の)違いである」
と、打者としてフル出場したらどれだけの成績を残せるかに注目していると同時に、コンディション的に一塁の守備に常時つくのは難しいプホルスとの併用が課題になるとしている。
◯投手を断念し、DH専任として打撃一本に絞る
記事では、「これは考えにくいようだ。なぜなら彼は投手として非常に素晴らしいし、彼がエンゼルスと契約した理由の一つに、二刀流選手としてプレーすることを許可するというものがあったからだ」と予想している。ただ、大谷の右肘の状態によっては、先発投手として長いイニングを任せられなくなる可能性もあるとして、「望むべきものは、プラス200打席、あるいは彼が貢献しうる不確かな投球回数のどちらかということである」と、投手としてのコンディションが不安定であるなら、一定の結果が期待できる打者に専念する可能性も排除できないとしている。
◯投手を断念し、外野手として打者に専念する
これも可能性は低いが、ゼロではないと記事では推測。「彼は外野を守れる肩の持ち主であることは間違いない。スピードもある。経験もあり、日本で62試合を外野でプレーしている。これが現実となる可能性は低いが、選択肢として残しておくべきだろう」と、日本でのプレー時からDH以外では外野を守った経験がもっとも多いことをその根拠としている。
レイズの「救援投手が先発→本来の先発が2番手」の戦法が参考に
◯2019年はDHでプレーし、2020年にはDH/外野手/先発で数イニング投げる
この選択肢は、記事が新たな可能性を提案したものだ。2020年に投手復帰の状況が整った場合でも、投手より打者に重きをおき、DHか外野手として出場回数を増やしながら、先発としてローテーションを詰めて登板し、その代わりに2、3イニングで交代するというやり方。うまくいけば、投手でも打者でも大谷を最大限使うことが可能で、なおかつ肘の負担を減らせるという、いいとこどりの案だ。
記事では今シーズン、レイズがリリーフ投手を先発させて短いイニングで本来の先発投手をロングリリーフの形で投入する戦い方をしたのも参考になるとしている。この起用法には不確定要素が多く、そもそも大谷が短いイニングで間隔を詰めて使うことが可能なのかという問題も存在することを認めた上で、「もし短いイニングの登板をすることで、今シーズンの彼のように登板日前後のオフがフルに必要にならないとしたら、より多くの打席数を可能にすることも考えられるだろう。この手法におけるオオタニを“ハイブリッドな投手/打者"というよりは、“時々登板する打者"として考えてみようではないか」と、新しい発想での起用法を提唱している。
こんなことが話題になるのも、負傷発覚後の大谷がそれ以前にも増して打棒爆発しているからこそだ。記事も最後に「彼の打者としての活躍次第で、この疑問に対して全く異なる見解を2020年まで抱えていくのかもしれない」と結んでいる。
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