オールスターが終わり、今日からペナントレースも後半戦に突入。前半戦のパ・リーグを振り返ると新しいスター候補選手の台頭が見られた。中でも埼玉西武のルーキー・源田壮亮選手の攻守にわたる活躍は開幕前の予想を大きく覆した。
トヨタ自動車からドラフト3位で入団した源田選手は、社会人時代から定評のあった堅実な守備でショートのレギュラーを獲得。開幕直後は9番を打っていたが、4月5日のオリックス戦から2番に昇格。以降、1番・秋山翔吾選手と3番・浅村栄斗選手、4番・中村剛也選手をつなぐ役割として打撃でも魅せている。その打撃の持ち味となるのが勝負強さだ。前半戦終了時点の打率は.266だが、得点圏打率で見るとリーグ8位の.307。チームでは浅村選手、秋山選手に次ぐ数字だ。
また、自慢の俊足も生かし、北海道日本ハム・西川遥輝選手と熾烈な盗塁王争いを繰り広げている。リーグトップである西川選手の25盗塁にあと1と迫る24盗塁。25盗塁に到達すれば、1953年の豊田泰光氏、1981年の石毛宏典氏の持つ球団新人盗塁記録に並ぶ。この球団記録の更新はほぼ確実であり、新人での盗塁王獲得にも期待が掛かる。
源田選手の盗塁で印象深いのは、5月17日の千葉ロッテ戦だった。1点を返し2点差としたところで打席に立った源田選手は死球で出塁し、続く3番・浅村選手の安打で2塁へ進む。そして4番・中村選手の打席、カウント2-0から盗塁を決めて3塁を陥れる。その後2死満塁とすると、6番・栗山選手が2点タイムリーを放ち同点に。4回には勝ち越し点を奪い、最終的には8対4で埼玉西武が快勝した。
現在、源田選手は全試合に出場し新人王の有力候補なのは間違いない。パ・リーグで野手が新人王を獲得したのは、実は1998年の西武・小関竜也氏が最後。翌1999年の西武・松坂大輔投手から18年間、野手の新人王は出ていない(2000年は該当者なし)。
過去には新人野手が活躍を見せるも、新人王を逃すケースが幾つもあった。2010年には千葉ロッテ・荻野貴司選手が5月下旬まで打率.326、25盗塁と躍動したが、右ひざ半月板の損傷で戦線離脱。シーズン中の復帰はかなわず、日本ハム・榊原諒氏が新人王に。翌2011年には同じ千葉ロッテの伊志嶺翔大選手がシーズン途中から1番打者に座り32盗塁と結果を残すも、シーズン途中に先発から抑えに転向し22セーブを挙げた埼玉西武・牧田和久投手が新人王を受賞した。
記憶に新しいのは昨年の楽天・茂木栄五郎選手だ。開幕からショートのレギュラーを獲得し、規定打席に到達。打率.278(チームトップ)、7本塁打の成績を残したが、新人王の投票では10勝を挙げリーグ優勝に貢献した日本ハム・高梨裕稔投手に軍配が上がった。茂木選手の得票数は116、高梨投手の得票数は131と15票差だった。
源田選手にとって新人王争いのライバルとなるのはオリックス・黒木優太投手だ。38試合に登板し5勝1敗20ホールドとオリックスの勝ちパターンの一角を担っている。19年ぶりのパ・リーグ野手新人王に向け、後半戦の源田選手の攻守にわたる活躍に注目だ。
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