4年ぶりの首位ターン確定。好発進を切った楽天の前半戦を振り返る

パ・リーグ インサイト

2017.7.13(木) 00:00

楽天が2017年のペナントレース前半戦を首位で終えた。前半戦最後のカード、2位・福岡ソフトバンクとの直接対決は則本投手、岸投手の先発2本柱をぶつけ、連勝。2013年以来のリーグ優勝に向け、勝負の後半戦を前にチームの前半戦を振り返る。

波乱の船出でロケットスタートに成功した。昨年の楽天補強の目玉で、開幕投手にも決まっていた岸投手が直前でインフルエンザを発症し離脱。だが、敵地でのオリックス戦で3連勝に成功すると、3月、4月の成績は16勝5敗。周囲からは「春の珍事」という声も生まれた。

周囲の予想を覆す原動力。まずは2番・ペゲーロ選手、3番・ウィーラー選手、4番・アマダー選手という外国人3選手を並べる超攻撃的打線が話題を呼んだ。特に2番・ペゲーロ選手。バントをしない長距離砲を2番に置くことは周囲の批判も受けたが、結果で雑音を封じていった。12日の福岡ソフトバンク戦でも2ランを放って勝利に導くなど、前半戦で20本塁打、60打点はいずれも打撃部門の3傑に入る。この「2番・長距離砲」の起用法は近年の楽天ではたびたび見られてきたオーダーだが、今年、ついにその構想が実を結んだといえる。12日の巨人対東京ヤクルト戦では巨人がマギー選手を2番に配置するなど、球界の常識をも徐々に変えつつあるのかもしれない。

さらにウィーラー選手の働きも見事だった。序盤から不調にあえいでいた主砲だが、19本塁打、51打点。ペゲーロ選手とともに、チャンスで確実に得点につなげる働きは、他球団も手が付けられない様子だった。チームが絶好調の4月、2割に満たない打率でも使い続けた梨田監督の辛抱強さも特筆すべき点だろう。終わってみれば打率.288。両外国人の存在感が、首位ターンの大きな要因だ。

交流戦まで先頭打者を担った茂木選手。生え抜きとして球団初の2桁本塁打を記録し、打率.319と大活躍だった主力は現在、肘の故障で戦線離脱。その代役で1番を務める島内選手、3番の岡島選手もしっかりと働き、5番の銀次選手はリーグ2位の打率.325まで上げてきた。

投手陣もエース・則本投手を中心に、安定感が光った。プロ野球記録となる8試合連続2桁奪三振を記録したミスターKは、すでに9勝をマーク。11日の福岡ソフトバンク戦は、序盤に4点を失ってしまったものの、終盤にチームがひっくり返し、勝利で終えた。この展開は、2013年の田中将大投手に重なる。当時のエースの登板試合は「田中に負けはつけさせられない」というチームのムードが漂っていた。結果的にそれが24勝無敗という金字塔にもつながったのだが、今の則本投手も、そういう空気を作り出す存在になりつつある。

岸投手のアクシデントで開幕投手に抜擢された美馬投手も7勝。そしてその岸投手も遅れを取り戻すように7勝で前半戦を終えた。守護神の松井裕投手も崩れることなく27セーブ。目標の40セーブはもはや現実的な数字だ。先発と抑えがガッチリとチームの快走を支えた。

前半戦のMVPを挙げるとしたら、上記の選手たちも捨てがたいが、あえて福山博之投手を推したい。勝利の方程式としてハーマン投手、松井裕投手の前を務め、開幕から36試合に登板し33回1/3を投げ防御率0.00という驚異的な成績を残している。戦力外も経験した苦労人が、欠かせないピースとして輝きを放っている。

先発、中継ぎ、抑えが安定し、外国人選手を中心とした打撃陣も好調。快進撃を裏付ける、個々の働きが目立った。18日から始まる後半戦、酷暑の8月は月曜日以外すべてが試合という過酷日程が待つが、乗り越えた先に4年ぶりの栄冠が待っている。

記事提供:

パ・リーグ インサイト

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE