「来てよかった」を保証する。「夏スタ!」を例に、楽天生命パーク宮城の素晴らしさを語りたい

パ・リーグ インサイト 馬塲呉葉

楽天生命パーク宮城は素晴らしい。筆者はパ・リーグファンなので贔屓目が入っていることは否めないが、これほど完成度が高く、年々進化しているボールパークをほかに知らない。今夏のイベントレポートを兼ねて、その魅力の一端をお伝えできれば幸いだ。

高梨選手も出演している『インクレディブル・ファミリー』大ヒット公開中
高梨選手も出演している『インクレディブル・ファミリー』大ヒット公開中

“夏、待ってたぞ、夏休み”、みたいな「夏スタ!納涼夏まつり」

帰省ラッシュに揉まれながら、東京から仙台に降り立った8月11日(土)。楽天生命パーク宮城では、『インクレディブル・ファミリー』とタッグを組んだ「パ・リーグ 親子ヒーロープロジェクト」、「夏スタ!納涼夏まつり」が開催されていた。

筆者は昨年の同時期にも仙台に訪れている。雨が降りしきるスタジアムの風情、スタッフの対応のあたたかさにいちいち感動したものだが、今年はまたテイストが異なっているように見える「夏スタ!」。それについて、楽天野球団の宮澤氏に話をうかがった。

―今年は「ぬれる!」お化け屋敷や「キンキン足湯」などが目につきますが……。

宮澤氏「今年は“納涼夏まつり”というタイトルで、暑い中スタジアムに来ていただいたお客様に涼んでもらおうというコンセプトです」「昨年は雨ばっかりだったんですよ。だからこう、“夏、待ってたぞ、夏休み”。みたいな。そういう風に寄せてみました」

「夏スタ!」では恒例のお化け屋敷。今年は「深紅の怪奇水族館」
「夏スタ!」では恒例のお化け屋敷。今年は「深紅の怪奇水族館」

―過去にもお化け屋敷をプロデュースしていますが、今回は「ぬれる!」お化け屋敷?

宮澤氏「先ほどのコンセプトのもと、お化け屋敷は肝を冷やしつつ身体も濡れてもらって、涼しくなってもらいましょうと。今年も、選手には(世界観の説明のため)VTRに出演してもらって、ガヤ声も参加してもらってます。楽しそうに参加してくれます」

―内容を少しだけ教えていただけないでしょうか。

宮澤氏「舞台は、奇妙な水族館です。お客さまが水族館に入ると、なにやら怪しげな空間に迷い込むんですね、そこからがもう修羅場の連続。そして最後に隠されている秘密がありまして……タオルを持っていってもらえるといいと思いますね」

筆者も実際に入らせてもらったが、選手の声を聞く余裕がなくなるほどに本格的な演出だった。ホラーが苦手な方や子どもさんは、覚悟した方がいいだろう。

高さが4メートル、幅が12メートルもあります
高さが4メートル、幅が12メートルもあります

今夏お目見え!子どもたちも大興奮の「イーグルスプラッシュ」

楽天生命パーク宮城のレフト側後方、「スマイルグリコパーク」にお目見えした「イーグルスプラッシュ」も、また斬新だ。巨大な滝から流れ落ちる水が特設プールに溜まる仕組みで、はしゃぎまわる子どもたちと水しぶきを眺めているだけでも涼しくなれる。

『インクレディブル・ファミリー』がビジョンに登場!

また、この日は『インクレディブル・ファミリー』をテーマとした企画が多数実施された。「特製クリアファイル」、「インクレディブル風アイマスク」が配布され、試合では場内ビジョンにキャラクターが登場する演出も施された。

アイマスクを着用したお客様がビジョンに
アイマスクを着用したお客様がビジョンに
上平氏。お若くて驚いた
上平氏。お若くて驚いた

「『Mr.インクレディブル』の続編ということで、ファンの方も待ち望んでおられた作品だと思いますし、このイベントで楽しい思い出を作っていただきたいなと。特にお子様向けのイベント内容になるように、力を入れました」と語ってくださったのは、楽天野球団の「パ・リーグ 親子ヒーロープロジェクト」担当、上平氏だ。

試合展開は左右できない。それでも「来てよかった」と言えるスタジアム

「扇屋商事 presents Go!Go!花火」と題して花火の打ち上げも行われ、賑わいを見せたこの日、残念ながら試合は敗戦。しかし、ここで「負けてしまった悔しさ」が、試合観戦の思い出のすべてになってしまわないのが、楽天生命パーク宮城の強みだ。

試合終了後にはフィールドが開放され「納涼ベースランニング」が行われた。カッパを着たクラッチとクラッチーナ、東北ゴールデンエンジェルスに水をかけられながら、誰もが笑顔でダイヤモンドを駆け抜けていく。「楽しんでいただけているようでよかったです」と、胸を撫で下ろすスタッフの横顔が印象的だった。

三塁からホームへ。ミストを吹き付けられながらゴールイン
三塁からホームへ。ミストを吹き付けられながらゴールイン

スタジアムやイベントは、肝心の試合を左右することはできない。勝つか負けるか、どんな後味が待っているのか、誰にも分からない。そんなままならないものが、来場者の満足度のほとんどすべてを決めてしまう。スポーツの宿命ではあるが、難しい問題だと思う。

ただ、前述の宮澤氏は「楽天イーグルスは負けちゃったけど、イベントが楽しいからまた行こうと思っていただけるような環境作りを積極的に行っています。エンターテインメントの面で、お客様を楽しませることは忘れてはいけない要素なので。勝っても負けても、我々は、一貫してお客様に楽しんでもらえる空間作りを心掛けています」と力を込める。

「勝っても負けても、一貫してお客様に楽しんでもらえる空間作り」。子どもたちの需要を敏感に察知した「イーグルスプラッシュ」然り、「パ・リーグ 親子ヒーロープロジェクト」、「納涼ベースランニング」然り。楽天生命パーク宮城はそのスタンスを確かに実践している。

だからこそ筆者は、改めて声高に主張したい。楽天生命パーク宮城は素晴らしい。観覧車をバックにした美しい景観、斬新な企画、行き届いたサービス。そしてなによりも、「勝っても負けてもぶれない」エンターテインメントは、試合結果にほとんどの感情を左右される1日を、それでも必ず得難い思い出にしてくれる。

※「夏スタ!納涼夏まつり」のアトラクションは一部有料。その他の詳細については、球団WEBサイト「夏スタ!」特設ページに。スマイルグリコパークの「夏スタ!」特設アトラクションは26日まで、お化け屋敷「深紅の怪奇水族館」は9月2日まで。

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パ・リーグ インサイト 馬塲呉葉

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