6試合連続2ケタ奪三振を記録した則本投手は今季、どれだけ三振の数を積み上げるか

パ・リーグ インサイト 藤原彬

2017.5.25(木) 00:00

東北楽天ゴールデンイーグルス・則本昂大投手(C)パーソル パ・リーグTV
東北楽天ゴールデンイーグルス・則本昂大投手(C)パーソル パ・リーグTV

「81球で27奪三振よりも27球で試合を終わらせる方がいい」

多くの投手がそう口にしてきたように、計27打者を1人1球ずつで打ち取り、試合を終わらせるのはピッチングの究極だろう。すべての打者を三振に仕留めて81球を費やすよりも、圧倒的に時間と負担がかからないからだ。ただ、実現度の点を考慮するとどうだろうか。いずれも達成困難……というより、一生を賭けても拝めなさそうな投球であることに変わりはないが、わずかながら可能性が見出せるのは「81球」の方だ。「27球」は打者に投球を見送られた時点で可能性がついえるため、投手個人の力量が図抜けているだけでは実現できない。対して「81球」は、投手と相手打線の実力に大きな隔たりがあれば、考えられなくはない偉業ではある。

今季も奪三振能力の高さを証明しているのが、5月25日のオリックス戦でプロ野球タイ記録となる6試合連続2ケタ奪三振を達成した則本投手(楽天)だ。1試合目の4月19日こそ白星を逃したが、以降の5先発では5連勝を飾り、首位を走るチームの原動力となっている。昨季まで3年連続で奪三振王に輝いている則本投手は今季の78奪三振もリーグトップで、4年連続同タイトル獲得となれば史上4人目の快挙だ。このハイペースで三振を奪い続ければ、21世紀のシーズン最多記録更新も夢ではない。ここでは、2000年以降のシーズン奪三振記録トップ20をマークした選手とその成績を紹介する。

※奪三振数の前の☆はリーグ最多

1位 ☆276奪三振 ダルビッシュ有投手(2011年・北海道日本ハム) 18勝6敗 232回 防御率1.44
2位 241奪三振 田中将大投手(2011年・楽天) 19勝5敗 226.1回 防御率1.27
3位 ☆226奪三振 松坂大輔投手(2005年・西武) 14勝13敗 215回 防御率2.30
4位 ☆222奪三振 ダルビッシュ有投手(2010年・北海道日本ハム) 12勝8敗 202回 防御率1.78
5位 218奪三振 杉内俊哉投手(2010年・福岡ソフトバンク) 16勝7敗 182.2回 防御率3.55
6位 218奪三振 杉内俊哉投手(2005年・福岡ソフトバンク) 18勝4敗 196.2回 防御率2.11
7位 ☆216奪三振 則本昂大投手(2016年・楽天) 11勝11敗 195回 防御率2.91
8位 ☆215奪三振 則本昂大投手(2015年・楽天) 10勝11敗 194.2回 防御率2.91
8位 ☆215奪三振 松坂大輔投手(2003年・西武) 16勝7敗 194回 防御率2.83
10位 ☆214奪三振 松坂大輔投手(2001年・西武) 15勝15敗 240.1回 防御率3.60
11位 ☆213奪三振 杉内俊哉投手(2008年・福岡ソフトバンク) 10勝8敗 196回 防御率2.66
12位 ☆210奪三振 ダルビッシュ有投手(2007年・北海道日本ハム) 15勝5敗 207.2回 防御率1.82
13位 208奪三振 ダルビッシュ有投手(2008年・北海道日本ハム) 16勝4敗 200.2回 防御率1.88
14位 ☆205奪三振 斉藤和巳投手(2006年・福岡ソフトバンク) 18勝5敗 201回 防御率1.75
15位 ☆204奪三振 則本昂大投手(2014年・楽天) 14勝10敗 202.2回 防御率3.02
15位 ☆204奪三振 杉内俊哉投手(2009年・福岡ソフトバンク) 15勝5敗 191回 防御率2.36
17位 ☆200奪三振 金子千尋投手(2013年・オリックス) 15勝8敗 223.1回 防御率2.02
17位 200奪三振 松坂大輔投手(2006年・西武) 17勝5敗 186.1回 防御率2.13
19位 199奪三振 金子千尋投手(2014年・オリックス) 16勝5敗 191回 防御率1.98
19位 199奪三振 涌井秀章投手(2009年・埼玉西武) 16勝6敗 211.2回 防御率2.30

則本投手はプロ入りした2013年以降に奪三振率を7.09→9.08→9.96→9.97と毎年増加させ、今季もここまでキャリア最高の12.10を記録している。2000年以降でシーズン最多の276奪三振を記録した2011年のダルビッシュ投手は10.71だから、新記録更新も不可能ではないペースだ。ただし、それにはイニング数の増加も必要になってくるだろう。

また、則本投手が過去3シーズンと同様に投球回を上回る三振を奪えば、プロ野球史上最長タイの4年連続で奪三振率9以上をマークすることになる。江夏投手(1968-1971年・阪神)や6試合連続2ケタ奪三振記録の保持者でもある野茂投手(1990-1993年・近鉄)、杉内投手(2008-2011年・福岡ソフトバンク)と肩を並べられるかにも注目したい。

このように、今季は則本投手の代名詞となっている奪三振にまつわる話題は事欠かない。冒頭で述べた「81球で27奪三振」もあるいは――。そう思わせるほどの快投を、則本投手は披露し続けている。

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パ・リーグ インサイト 藤原彬

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