長いトンネルを抜け出した。千葉ロッテが19日、楽天にサヨナラ勝ちし、連敗を8で止めた。今季40試合目でようやく10勝に到達。久しぶりに、ナインに笑顔が戻った。
延長10回1死2,3塁。バットを短く持ち、根元選手はフルカウントから体勢を崩しながらボールに食らいついた。ボールはライト前へ。サヨナラの瞬間に、本拠地に詰めかけたファンと、千葉ロッテベンチが沸いた。「何とか決めてやろうという気持ちでした。本当にうれしくて、でも、感情は抑えました」と、お立ち台で根元選手。連敗ストップには「ホッとしています」と笑った。
先制を許すも3回無死1,3塁で相手先発・釜田投手のボークによって同点とすると、この日のヒーローの根元選手が2死2塁から中前に勝ち越し打。だが悪いチームの流れなのか、優位には立てず、9回に同点とされてしまう。
オープン戦13勝2敗3分というぶっちぎりの成績で迎えたペナントレース。だが公式戦の10勝目は遠かった。チーム打率は2割に届かず、本塁打数、防御率も含め12球団ワーストの数字。新外国人のダフィー選手、パラデス選手は思うような結果を残せず、他の野手陣、そして投手陣も軒並み不振にあえいだ。16日には37試合目で早くも自力優勝が消滅してしまった。
だが、こういう苦境で意地を見せたのはエースだった。先発の涌井投手が9回139球の熱投。伊東監督は9回を内投手で想定していたが、すでに119球を投げていたエースから続投を直訴されたという。結果的に1死1,3塁で、野選の間に同点とされたが1死1,2塁から踏ん張り、勝ち越し点を許さなかった。「やっぱりエースだなと思った。連敗を止めるのは涌井しかいないんじゃないかと思った」と根元選手が振り返ったように、その気迫が結果的にサヨナラを生んだと言えるだろう。
借金は19と、まだまだ先は長い。だが快進撃を続けてきた首位の楽天からもぎ取ったこの1勝は大きい。勝利後、安どの表情だった伊東監督だが「これを明日につなげないといけない」と、すぐさま切り替えた。ここから、まさに“下剋上のロッテ"と言われるチームの底力を見せたい。
記事提供: