千葉ロッテの2017年シーズンは、3月31日にヤフオクドームで開幕する。本拠地開幕戦は4月4日、北海道日本ハム戦である。2016年は、2年連続のAクラス入りを果たし、「2016 日本通運 クライマックスシリーズ パ」ファーストステージに進出。リーグ2位の福岡ソフトバンクと熱戦を繰り広げたが、惜しくもあと一歩及ばずシーズンを終えた。
千葉ロッテは、2010年にレギュラーシーズン3位から日本一に輝き、球史に残る下剋上を成し遂げた。しかし2005年以来、リーグ優勝からは遠ざかっている。
パ・リーグのチーム成績を見てみると、チームの防御率がそのまま順位に反映されている。シーズン1位の北海道日本ハムは、防御率3.06でリーグ1位、両リーグ合わせてもトップ。シーズン3位の千葉ロッテは、防御率3.66でリーグ3位だ。しかし、チームの打撃成績を見ると、打率.256でリーグ5位である。本塁打に至っては80本と、両リーグで最も少ない。このことから、千葉ロッテの課題はどちらかと言えば打線であるということがわかる。
千葉ロッテは、昨季の首位打者・最多安打の二冠に輝いた角中選手を筆頭に、バットコントロールに長けた好打者が少なくないが、得点力という面ではやはり物足りなさが否めない。そんな中、主砲を務めていたデスパイネ選手が退団し、福岡ソフトバンクへ移籍。自慢の長打力があり、チームの雰囲気にも溶け込んでいたデスパイネ選手を欠けば、千葉ロッテ打線の抱えた課題がますます深刻なものになるのは明白である。
そのような課題を克服するため、ダフィー選手、パラデス選手の新外国人選手が加入。彼らに期待されるのは当然、一振りで試合の展開を左右する長打力だ。外国人選手は多くの場合、慣れない環境で力を発揮できるかどうかが分かれ道になるが、2人はともに、オープン戦でコンスタントに結果を残し、ダフィー選手に至っては本塁打を量産。さらに、走塁に関する意識も高く、率先して全体練習に加わるなど、打席以外の場所での姿勢も評価されている。
また、千葉ロッテは、昨季限りで他チームを退団した柴田選手や、猪本選手、入団テストに合格した三家選手を迎え入れた。柴田選手、三家選手は俊足で、岡田選手や荻野選手などの脚力に優れた選手とともに、「足」を使った戦術で持ち味を発揮することができる可能性がある。
1人で多くの打点を挙げるパワーヒッターが不足しているなら、足で得点圏に進み、相手投手にプレッシャーを与えて、コツコツと1点を取る機動力野球というのも、立派な選択肢の一つだろう。
昨季、リーグ3位の防御率だった千葉ロッテの投手陣だが、左右のセットアッパーである南投手、松永投手を筆頭に、中継ぎの質は特に高い。主に益田投手、内投手の2人が務めたクローザーの安定感もリーグ屈指だ。
先発投手は、最優秀防御率のタイトルを獲得した石川投手と、2年連続で2桁勝利を挙げた涌井投手を柱とし、実績のあるスタンリッジ投手、唐川投手などがローテーションを守る。春季キャンプとオープン戦では大嶺祐投手や二木投手が存在感を放っており、西野投手の先発転向、ドラフト1位入団の佐々木投手の台頭にも、大いに期待が膨らむ。
なお投手陣の充実に関しては、昨季パ・リーグで最も多くマスクを被り、扇の要として機能した田村選手の貢献を忘れてはならない。まだ伸びしろ十分な22歳。新シーズンもまた、レベルアップした姿を見せてくれるだろう。
千葉ロッテでは、2013年の井口選手以来、シーズン20本塁打を放てる日本人選手が現れていない。長打力のある外国人選手を獲得しても、長期的な活躍の見通しは立てにくいため、チームは長年得点力不足に喘いできた。強打者の素質に恵まれている井上選手など、将来が楽しみな若い選手もいないわけではないが、この課題を現実的に乗り越えるために、短くはない時間がかかると思われる。
しかし、俊足巧打の選手が揃う打線と鉄壁のリリーフ陣を誇る千葉ロッテは、派手なホームラン合戦が不得手でも、「1点」をもぎ取り、「1点」を守り抜く、粘り強い野球ができる。今季こそ、北海道日本ハムと福岡ソフトバンクの2強体制に食い込み、12年ぶりのリーグ制覇を目指したい。
記事提供: