開幕目前!2013年以来となる頂点へ、楽天の2017年シーズン

パ・リーグ インサイト

楽天の2017年シーズンは、3月31日に京セラドーム大阪で開幕する。本拠地開幕は4月4日、福岡ソフトバンク戦である。新しいシーズンの開幕を前に、2016年シーズンを振り返ってみると、チームは2013年の日本一以来、3年連続Bクラスという悔しい結果に終わっている。しかし昨季は、北海道日本ハムが最大11.5ゲーム差をひっくり返して、劇的なパ・リーグ制覇を成し遂げた。大方の予想は裏切られ、野球に「絶対」はないことが、改めて証明された形となった。つまり現時点、パ・リーグの頂点に立つ可能性は、6球団すべてが平等に持っていることになる。

それでは、楽天がAクラス浮上、ひいてはリーグ優勝を果たすために必要なもの、その鍵を握る選手とは誰だろうか。多分に期待も込めながら、2017年シーズンの重要なキーマンとなるであろう選手たちを挙げていきたい。

まずは、昨年オフにFA移籍してきた岸投手である。2006年に埼玉西武に入団し、ルーキーイヤーから11勝を挙げて優秀新人賞を受賞すると、2008年には2年目にしてチームのリーグ優勝、日本一に大きく貢献。日本シリーズMVPに輝き、2014年には最高勝率のタイトルを獲得した。

岸投手は、精密なコントロールと、代名詞でもある縦に大きく落ちるカーブを武器に勝利を積み上げ、プロ10年目の昨季は、通算100勝に到達。今年は移籍1年目となるが、これまでの実績を踏まえ、則本投手と並ぶエース級の働きが期待されている。

同じく昨年オフに移籍してきた細川選手は、奇遇にも岸投手とは浅からぬ縁だ。埼玉西武がパ・リーグ、日本シリーズ、さらにアジアシリーズを制覇した2008年に2人はバッテリーを組んでおり、ともに楽天の本拠地である東北が生まれ故郷である。

ベテラン捕手として、パ・リーグの投手を知り尽くした細川選手の経験や知識は貴重であり、その存在が楽天にもたらす恩恵は計り知れない。春季キャンプでは、早速若い投手や捕手に声をかけている姿が見られ、岸投手とともに「生きた教材」となっている。2010年以来となる岸投手との共演がどのような結果になるかも、今季の楽しみの一つである。

楽天は、日本一に輝いた2013年こそ、絶対的エースだった田中将大投手(現ヤンキース)と則本投手の2人がそれぞれ24勝、15勝を挙げているが、それ以降の3年間で2桁勝利を達成した投手は、則本投手しかいない。則本投手が入団する2013年以前の2011年と2012年を見てみても、10勝以上をマークしたのは、田中投手だけである。

2010年まで遡れば、田中投手をはじめ、永井怜氏、岩隈投手(現マリナーズ)の3人が2桁勝利を達成しているが、昨季も含めた長い間、楽天においてはエースが孤軍奮闘せざるを得ない状況が続いていると言える。昨季の投手陣の完投数が、則本投手の2回と美馬投手の1回だけというのも、少々心もとない。

ただ、昨季9勝を挙げた美馬投手や8勝を挙げた塩見投手、釜田投手など、今季の活躍に期待が持てる投手は少なくない。巨人とのトレードで獲得した小山投手の加入も、投手の層を確実に厚くするだろう。安部井寛チーム統括本部長も、「先発、リリーフ両方できる選手ですので、チームの力になってくれると評価しております」と期待を寄せている。

また、昨季のパ・リーグの順位は、チーム防御率の順に並んでいる。パ・リーグ5位だった楽天は、防御率も5位の4.11だ。リーグ1位の北海道日本ハムは防御率3.06、2位の福岡ソフトバンクは防御率3.09であるため、上位チームからは1点以上の差をつけられたことになる。ただし、チーム打率も.257で4位、失策数も84で4位と、少しでも改善していかなければならない課題は、投手の防御率以外にも山積している。

2016年ドラフトで指名されたルーキーたちの活躍のほどは未知数だが、オープン戦で結果を残したドラフト5位の森原投手は、開幕後も一軍ブルペン陣の一角に名を連ねることが決まり、頼もしい限りである。ルーキーは投手がほとんどだが、俊足のスイッチヒッターで外野守備に秀でた田中選手も、即戦力として大きな期待がかかる。

楽天の補強ポイントは投手を含めた「守備力」であり、ストーブリーグとドラフトにおける獲得方針も、それを強く意識していることがうかがえた。そして現時点、チームはほぼ理想通りの補強に成功している。楽天がAクラス浮上、ひいてはリーグ優勝を果たすために必要な鍵は、岸投手を筆頭とした新加入の選手、2桁勝利を達成するポテンシャルを持ちながら発揮しきれていない若い投手、そして当然例年以上の結果が求められるエースの則本投手が握っている、と言えるだろう。

野球に「絶対」はないが、それは良い意味でも悪い意味でもそうだ。シーズンは始まってみなければわからない。しかし、どんな補強をしても、どんな選手が加入しても絶対に安泰だということはあり得ないからこそ、上に挙げた選手たち以外のすべての選手たちも、「自分こそがチームの鍵を握っている」という意識を持つことが必要となる。そうやってチーム一丸となって一戦一戦を戦い抜くことができれば、楽天の2013年以来、4年ぶりのAクラス浮上も、そう遠い目標ではないはずだ。

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