3月12日、第4回ワールド・ベースボール・クラシック2017(以下WBC)2次ラウンドの初戦が、東京ドームで開催された。史上初の3戦全勝で1次ラウンドを突破した侍ジャパンに立ちはだかるのは、福岡ソフトバンクのバンデンハーク投手と東京ヤクルトのバレンティン選手を擁するオランダ代表。
2回にともに1点を奪い、1対1で迎えた3回表。2番・菊池選手と3番・青木選手の連打でチャンスを演出。4番・筒香選手が三振に倒れて2死となり、5番・中田選手が打った瞬間にそれと分かる完璧な当たりの3ランを放ち勝ち越しに成功する。さらに6番・坂本選手の四球、山田選手も安打で続き、2死1,2塁の場面で先制の犠飛を放った秋山選手がセンター前に落ちる適時打。バンデンハーク投手を打ち崩し、侍ジャパンが4点をリードする。しかしその裏、バレンティン選手の2ランなどで4失点を喫し、すぐさま同点とされる。
4回裏、マウンドにはオリックスの平野投手が上がる。直球で押し込み、鋭く落ちるフォークで空振りを奪う投球を披露。3人できっちりと攻撃を終わらせて流れを呼び込むと、5回表、6番・坂本選手が内角高めの直球を弾き返して出塁。エラー絡みで2塁まで進み、続く山田選手と秋山選手は打ち取られるが、2死3塁の場面で、9番・小林選手が値千金の勝ち越し適時打。中国戦で鮮烈なアーチを描き、扇の要としても投手陣を支える小林選手が、ここでも見事殊勲打を挙げ、侍ジャパンがリードを取り戻す。
5回裏から登板した3番手の千賀投手は、連打でピンチを背負う。飛球やゴロすら点につながりかねないピンチで、迎えるは強力オランダ打線のクリーンアップ。千賀投手はメジャーリーガーの3番・ボガーツ選手を、150キロ超の速球で追い込むと、4球目を外角低めにズバッと決めて見逃し三振を奪う。4番・バレンティン選手も、自慢のフォークで空振り三振。そして2死2,3塁、同じくメジャーリーガーの5番・グリゴリアス選手を、わずか2球でゴロに打ち取る。1点でも勝ち越しを許せば、試合の流れがオランダに傾く可能性もあったこのイニング、千賀投手は落ち着いた投球で無失点に抑えてみせた。
続投した千賀投手は、6回裏も気迫のピッチングで無失点。7回裏、4番手の松井裕投手がランナーを出すも、1死1塁の場面、ボガーツ選手の安打性の当たりを、二塁手の菊池選手がスーパープレーで食い止める。そして2死1塁から登板した秋吉投手は、チームメイトのバレンティン選手から空振り三振を奪い、この回も無失点で切り抜ける。
8回裏、宮西投手が連打を浴びて1死満塁のピンチを背負った時点で、チームメイトの増井投手に継投。増井投手はプレッシャーのかかる場面できっちりと後続2人を打ち取り、このピンチを凌ぐ。最終回、マウンドに上がったのは則本投手。一打サヨナラの2死から同点打を浴びるが、その後は何とかしのぎ、試合は延長戦へもつれこむ。
10回はともに無得点に終わり、11回からの無死1,2塁で始まるタイブレークに突入する。まずは先頭の鈴木選手がきっちりと犠打を決め、1死2,3塁。続く中田選手が今日5打点目となる2点適時二塁打を放ち、8対6。土壇場で2点の勝ち越しに成功する。
この回を守り切れば勝利となる11回裏、2イニングス目となる牧田投手が再びマウンドへ。先頭打者を内野フライに打ち取り、続く打者は内野ゴロ。そして最後の打者も力のない捕邪飛に打ち取り試合終了。見事に2次ラウンドの初戦は白星発進となった。
再三、苦しい場面を迎えながらも同点でしのぐなど、侍の意地が見られた試合となった。勝負所でのチャンスをものにし、初戦を制したことは今後の戦いにも必ずや生きることだろう。次戦は明後日、WBC開幕戦で下した強豪・キューバとの戦いを迎える。明後日のゲームも制することができれば、決勝ラウンドに大きく近付く。これまでの勢いを持って連勝を飾り、アメリカ行きの切符をつかみとりたい。
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