平成ベストナインを選ぶ 捕手は大豊作、総合力で古田敦也がリードか

Full-Count 広尾晃

2018.5.24(木) 14:19

伊東勤氏(左)と古田敦也氏
伊東勤氏(左)と古田敦也氏

捕手で1000試合出場は19選手、伊東勤や谷繁元信も

来年4月で平成は終わり。31年に及ぶ平成時代に、幕が下りる。多くの選手が活躍した。平成時代のベストナインを考えていきたい。

捕手は打者としてよりも守備の要として、投手のリードや盗塁阻止など様々な任を担う。「専守防衛」型の名捕手もいるが、「打てる捕手」であれば、チームへの貢献度は大きい。そうした観点から見ていこう。1000試合以上捕手として出場した19選手を年代順に紹介する。打撃成績は他のポジションも含むが、タイトル、賞は捕手としての受賞だけ。記録は5月17日現在。平成に入ってからのもの。

◯村田真一(平成元年~13年 巨人)捕手1050試合
659安打96本362点2盗 打率.235 ベストナイン1回
昭和57年に巨人に入団するも厚い壁に阻まれ昭和の時代はほとんど2軍暮らし。平成2年に藤田元司監督に抜擢され、斎藤雅樹など名投手の球を受ける。

◯伊東勤(平成元年~15年 西武)捕手1639試合
1199安打101本551点71盗 打率.245 ベストナイン6回、ゴールデングラブ7回
昭和57年に西武入団。3年目から20年間にわたり、黄金時代の西武の不動の正捕手として君臨。東尾修から松坂大輔まで、歴代のエースの球を受けた。西武、ロッテの監督も。2017年殿堂入り。

◯中村武志(平成元年~17年 中日、横浜)捕手1108試合
1293安打129本572点25盗 打率.243
昭和60年に中日に入団。星野仙一監督に鍛えられて正捕手となる。打撃も良く、平成3年には20本塁打。平成14年、谷繁元信と入れ替わりに横浜に移籍。

◯中嶋聡(平成元年~27年 オリックス、西武、横浜、日ハム)捕手1421試合
780安打53本335点26盗 打率.234 ベストナイン1回、ゴールデングラブ1回
昭和62年に阪急に入団。以後4球団でプレー、実働29年は史上2位。山田久志からダルビッシュ有まで多くの名投手の球を受ける。

◯谷繁元信(平成元年~27年 横浜、中日)捕手2963試合
2108安打229本1040点32盗 打率.240 ベストナイン1回、ゴールデングラブ6回
2963試合は捕手としてNPB史上最多出場。横浜の不動の捕手として平成10年の優勝に貢献、4年後に中日に移籍し、ここでも名捕手として活躍。現役最後の2年は監督兼任。

矢野は阪神移籍で開花、城島は攻守でホークス牽引してメジャー移籍

◯古田敦也(平成2年~19年 ヤクルト)捕手1959試合
2097安打217本1009点70盗 打率.294 首位打者1回、最多安打1回、MVP2回、ベストナイン9回、ゴールデングラブ10回
メガネをかけた名捕手。野村克也監督のID野球の要として活躍。打撃でも首位打者を獲得するなど中軸を担う。2004年の球界再編では選手会長としてストを決行。平成18年から2年間プレイングマネージャー。平成27年殿堂入り。

◯矢野燿大(平成3年~22年 中日、阪神)捕手1546試合
1347安打112本570点16盗 打率.274 ベストナイン2回、ゴールデングラブ3回
中日時代は中村武志の控えだったが、阪神に移籍して開花。藤川球児の相棒として好投を引き出す。2度のリーグ優勝に貢献。打っても3割を2度マーク。

◯的山哲也(平成6年~20年 近鉄、オリックス、ソフトバンク)捕手1014試合
423安打40本201点27盗 打率.206
盗塁阻止率1位に2度輝いた強肩の捕手。2番手捕手時代が長かったが、投手の持ち味を引き立てる好リードでも知られた。ただ貧打で専守防衛型の捕手だった。

◯城島健司(平成7年~24年 ダイエー、ソフトバンク、MLB、阪神)捕手1245試合
1406安打244本808点72盗 打率.296 MVP1回、ベストナイン6回、ゴールデングラブ8回
強打の捕手として攻守でホークスを支える。強肩、俊敏なフィールディングでも鳴らす。MLBでもマリナーズで活躍。MLBでプレーした唯一の日本人捕手。復帰後は阪神でマスクをかぶった。

◯日高剛(平成10年~26年 オリックス、阪神)捕手1414試合
956安打79本434点11盗 打率.237
右投げ左打ち。強打で鳴らした大型捕手。平成12年から9年間、オリックスの正捕手として活躍。阪神では代打としての起用が増えた。

◯藤井彰人(平成11年~27年 近鉄、楽天、阪神)捕手1049試合
565安打10本173点18盗 打率.236
草創期の楽天の正捕手。近鉄時代から岩隈久志とバッテリーを組み好リードで実績を残す。FAで阪神に移籍後もベテラン捕手として存在感を示す。

里崎はしばしば殊勲打、阿部は捕手史上3位の390本塁打

◯相川亮二(平成11年~29年 横浜、ヤクルト、巨人)捕手1377試合
1150安打69本475点12盗 打率.260
横浜では谷繁の後の正捕手。その後ヤクルトに移籍し、古田敦也の後釜に。安定した守備と勝負強い打撃で、信頼を勝ち得た。巨人では小林誠司へのバックアップ役。

◯里崎智也(平成12年~26年 ロッテ)捕手1018試合
890安打108本458点6盗 打率.256 ベストナイン2回、ゴールデングラブ2回
攻守で高いパフォーマンスを残した千葉ロッテの正捕手。打者の弱点を突くインサイドワークに定評。打者としてもしばしば殊勲打を飛ばした。

◯阿部慎之助(平成13年~ 巨人)捕手1525試合
2042安打390本1222点13盗 打率.284
打点王1回、首位打者1回、最高出塁率2回、MVP1回、ベストナイン8回、ゴールデングラブ4回
NPB史上屈指の攻撃型捕手。守備の要を務めながら中軸を打った。390本塁打は捕手としては野村克也、田淵幸一に次ぐ3位。平成27年からは一塁を守る。

◯石原慶幸(平成14年~ 広島)捕手1526試合
1001安打65本370点25盗 打率.237 ベストナイン1回、ゴールデングラブ1回
東北福祉大を出て2年目から正捕手になる。キャッチング、リードで高い評価を得る。平成28年37歳で初のベストナイン、ゴールデングラブ。捕手としての出場試合数は広島最多。

◯細川亨(平成14年~ 西武、ソフトバンク、楽天)捕手1390試合
678安打84本366点8盗 打率.203 ベストナイン2回、ゴールデングラブ2回
安定感のある守備と、堅実なリードで西武、ソフトバンクの正捕手として活躍。打者としても勝負強く平成20年は58打点。バントの名手でもある。現在は楽天に在籍。

◯鶴岡慎也(平成15年~ 日本ハム、ソフトバンク、日本ハム)捕手1056試合
581安打17本241点12盗 打率.240 ベストナイン1回、ゴールデングラブ1回
投手陣の信頼を得る捕手。フィールディングも優秀。今季、5年ぶりに古巣日本ハムに復帰し、若い捕手のサポート役として渋い働き。

◯炭谷銀仁朗(平成18年~ 西武)捕手1132試合
634安打31本266点8盗 打率.211 ベストナイン1回、ゴールデングラブ2回
盗塁阻止率4割を3回記録した強肩の捕手。リードでも西武投手陣の信頼が篤い。打撃は非力だったが、近年は勝負強さを増した。現プロ野球選手会長。

◯嶋基宏(平成19年~ 楽天)捕手1250試合
855安打23本283点48盗 打率.244 ベストナイン2回、ゴールデングラブ2回
強肩と俊敏な守備でチームを引っ張る。平成23年年の東日本大震災では「見せましょう、野球の底力を」と日本中を鼓舞した。プロ野球選手会長としても活躍。

上記以外に平成になって700試合以上捕手として出場した選手は4人。

田村藤夫 899試合(566安打52本248点21盗 打率.236)
古久保健二 853試合(356安打37本175点7盗 打率.202)
野口寿浩 836試合(582安打42本272点30盗 打率.250)
山田勝彦 742試合(360安打21本130点3盗 打率.205)

平成時代は捕手も大豊作の時代と言える。MVPを取った捕手が3人、すでに殿堂入りした捕手が2人いる。

この中からベストナインの候補を選ぶのは厳しいが、以下の4人が候補と言えよう。

1位 古田敦也
2位 阿部慎之助
3位 谷繁元信
4位 伊東勤

リード、守備も優秀で首位打者もとった古田は総合力で評価が高い。阿部は長打力では古田を上回るが、捕手から一塁に転向したのをどう評価するか。谷繁は野村克也を上回る実働期間を誇り、2チームで正捕手として活躍した。伊東勤は黄金時代の西武の不動の正捕手だった。

古田、伊東は殿堂入りしている。残る2人も殿堂入りする可能性は高い。

記事提供:Full-Count

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