【試合戦評】明暗分かれた投打のルーキーたち。埼玉西武と楽天の練習試合

パ・リーグ インサイト

2017.2.25(土) 00:00

2月25日の午後から、高知県春野総合運動公園で、埼玉西武と楽天の練習試合が行われた。両チームのスターティングメンバーは、ルーキーや若手の有望株を交えつつも公式戦さながらの顔ぶれとなった。埼玉西武にとっては今年初の対外試合となったこの試合の模様を、躍動した選手を中心に取り上げながら振り返りたい。

埼玉西武の先発・本田投手は、昨年オフに行われた「第1回WBSC U-23ワールドカップ」で結果を残し、今季からの飛躍が期待されている選手だ。この試合では1回から2イニングスを投げ無失点。連打を浴び、ランナーを出す場面も見られたものの、要所を締めるピッチングで得点を許さなかった。首脳陣からは「ランナーを出した後の投球が課題」と言われているが、2回表、2死2塁の状況で打席の西田選手を見逃し三振に切って取る。得点圏にランナーを置きながらアウトコースいっぱいに決まった球は、去年オフに本田投手がつかんだ手応えを確かに感じさせた。

埼玉西武の投手では、ほかに3番手の佐野投手、6番手の野田投手、7番手の武隈投手が無失点だったが、9回表に登板した武隈投手は、土肥コーチの「(来季の)計算に入れている」のコメント通り、さすがの投球を披露。8回裏に点差を詰められ、勢いに乗る可能性のある楽天の打者を打ち取り、最終回をきっちりと3人で締めてみせた。

埼玉西武の打者では、山川選手と源田選手が存在感を放った。チームのみならず日本球界が誇るホームランアーティスト・中村選手の後継者と評される山川選手は、その期待に応え3安打の猛打賞。そのうちの2つは二塁打で、2回裏に森投手の初球を捉えた当たりでは、迷わず二塁まで激走。1つでも先の塁を狙う意識の高さを窺わせた。

ドラフト3位ルーキーの源田選手は、3打数2安打1四球のマルチ安打を記録。社会人出身とはいえ、ルーキーながら内野の要である遊撃手を任され、その役目も危なげなくこなした。8回裏には、粘って楽天バッテリーの動揺を誘い、パスボールで1点をもぎ取る場面も。打順は9番だったが、「恐怖の9番打者」としての役割を存分に果たしたと言える。

一方の楽天も、先発の森投手が最長の5回を投げて1失点と好投。初回と3回裏は3者凡退で攻撃を終わらせ、そのほかの回はランナーこそ出すものの、最少失点に抑えた。

打者では、昨季ルーキーながらチーム最高の打率をマークした茂木選手と、ドラフト3位ルーキーの田中選手が躍動した。茂木選手はマルチ安打を記録し、6回表には埼玉西武のルーキー、平井投手から適時打。7回表にも同じくルーキーの田村投手から一二塁間を破る安打を放つ。まだプロ2年目ながら、1番打者としての存在感は抜群だ。今季はさらなる成長を遂げた茂木選手が、そのプレーでチームを盛り立ててくれることは間違いないだろう。

そしてルーキーの田中選手は、これまでの練習試合でも好打と好守を幾度となく披露してきたが、今回も適時打を挙げ、2つの四球を選び、盗塁も決めてみせるなど、開幕一軍に向けて十分すぎるほどのアピールを成功させた。

試合は、9対7で楽天が勝利。しかし、一時は6点リードを許しながらも、8回裏に一挙4得点を挙げて反撃ののろしを上げるなど、敗れた埼玉西武にも粘りが見えた試合となった。そして、源田選手や田中選手がルーキーらしからぬ活躍を見せる一方で、埼玉西武の平井投手、田村投手、楽天の池田投手といったルーキー投手陣は、それぞれ失点を許し、複数の四球を出すなど、プロの洗礼を浴びるほろ苦い結果となってしまった。

しかし、プロ初登板の悔しい結果をバネに、一流選手に上り詰めた選手は多い。厳しいプロの世界とはいえ、まだチャンスは与えられるだろう。華々しい存在感を見せつけるルーキーも、そうでないルーキーも、これからの活躍を全て楽しみに注視していきたい。

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