先発陣は山本&山岡の両輪に高卒2年目の宮城が台頭
混戦模様のパ・リーグでオリックスが調子を上げてきた。埼玉西武3連戦(4月20-22日)で今季初の同一カード3連勝を飾るなど、最大6あった借金は3つ(10勝13敗4分け)にまで減った。現役時代は千葉ロッテで活躍し、監督として千葉ロッテ(2010-12年)、2019年から昨季途中までオリックスを率いた西村徳文氏に今後の展望などを聞いた(成績はすべて4月25日時点)。
強みは先発投手の充実ぶりだろう。山本由伸&山岡泰輔というリーグを代表する両右腕に、先発に配置転換された増井浩俊、田嶋大樹&山崎福也という左腕が控える。そして高卒2年目の宮城大弥が4試合に登板して2勝0敗、防御率1.26と圧巻の成績を残している。急性胃腸炎のため4月23日に出場選手登録を抹消されたが、抹消までの登板全4試合でクオリティスタート(6回以上を投げて自責点3以下)を果たした。
「昨年私がオリックスの監督を辞めた頃はファームで投げ始めたくらいでしたが、素晴らしいボールを投げるという報告を得ていました。シーズン後半に1軍を経験するなど育成がうまくいったのだと思います。技術面では何といってもスライダーをでしょう。インステップして投げるので、左打者は対応が難しいのではないでしょうか」と復帰後の更なる飛躍を期待する。
ここまで計7投手が先発し、クオリティスタートは18試合。勝ち運に恵まれなかった山岡も登板5戦目で初勝利をマークし、「これでまた変わってくるはず」と西村氏は語る。
ただ、上位浮上には野手の奮起が必要と指摘する。「投手が頑張っている割に順位は低い。昨年もそうでしたが、外国人選手が機能してくれないとなかなか得点力が上がらず、勝利に結びつきません」。
ポイントは外国人の起用法とリーグワースト失策数の守備力向上
メジャー通算1939安打、282本塁打を誇るアダム・ジョーンズ外野手が昨季加入したが、故障もあって期待外れの成績に終わった。35歳で迎えた今季も打率.213(61打数13安打)、1本塁打と数字はなかなか上がらない。「年齢的なものもあるし、そこまで期待するべきではないと思います。ただ、実績を備えた選手なので、ベンチも当然気を遣わなければいけない。機能しないのに外せないという事態はチームにとっていいことではありません。代打だと結果を出しているようですが、求められているのはそこではありませんからね」。
戦線離脱していたスティーブン・モヤ外野手が復帰し、ステフェン・ロメロ外野手も隔離期間を経て近く1軍に合流予定。「守備に不安があるジョーンズは使うならDHということになりますが、特定の選手を使い続けるわけにはいかない。チームには1年間通して働いてもらいたい選手がいて、DHでの起用も交えながら負担を軽減させる必要があります。外国人選手の起用法も重要になるでしょう」と語る。
更に「これから上位に食い込んでいくためには、しっかりやっていかなければいけない」というのが守備だ。チーム失策数「18」はリーグワーストだが、西村氏によると問題なのは数だけではないという。「失策が記録されて、それで負けるのは当然痛いですが、目に見えないミス、記録に残らないミスもなくす必要があります。併殺を取れる場面で送球が乱れて走者を残すなど、取れるアウトを取れないプレーも見られます。そういったプレーから、ピッチャーがリズムを崩すこともある。先発陣が頑張っているからこそ重要になると思います」
5位までが4ゲーム差にひしめくパ・リーグ。「先発投手の名前を挙げる時、4人目ぐらいまで容易に出てくるのが楽天、それからオリックス」と前指揮官が評価する投手力を武器に、今季のペナントレースを最後まで面白くしてくれそうだ。
(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)
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