オリックス・糸井選手(来季からは阪神)とともに抜きつ抜かれつの熾烈な争いを繰り広げ、最終的には糸井選手と同数で見事盗塁王のタイトルを獲得した埼玉西武の金子侑選手。これまでは2014年に記録した21盗塁が自身の最多であったが、今年は一気に飛躍。2010年の片岡選手(現巨人)以来、球団史上4人目となる50盗塁に到達し、欲しかったタイトルを手中に収めた。
金子侑選手は今年でプロ入り4年目。入団後の2年間はともに90試合以上に出場したが、3年目の昨季は鼻骨の骨折などの怪我が重なり、わずか57試合の出場にとどまる悔しさを味わった。しかし、今季は昨季の悔しさをバネに一段と成長した姿を見せ、見事タイトルを獲得するまでに至った。
昨季と今季の成績を比較してみると、チームへの貢献度の違いは一目瞭然である。
2015年 57試合 156打数35安打 1本塁打 6打点 11盗塁 打率.224 出塁率.271
2016年 129試合 460打数 122安打 1本塁打 33打点 53盗塁 打率.265出塁率.331
一軍に定着した今季は打率、出塁率ともに上昇したことで盗塁の機会が大幅に増加。自らが手にしたチャンスを生かし、盗塁を量産した。シーズン序盤は9番打者で出場する試合が多かったが、このような活躍が認められ、中盤以降は1番打者として出場する機会が増えた。その結果、必然的に盗塁機会が増え、盗塁数の増加へとつながっていった。
盗塁成功率の面でも今年は大幅な良化が見られた。盗塁数こそ大きく異なるものの、2015年の盗塁成功率が.611に対し、2016年は.757と1割5分ほど数値が向上。盗塁を決めてほしい場面でしっかりと決めてくれる場面が非常に多かった印象だ。
また、初球からいきなり走る積極性が目立った一年でもあった。その初球の盗塁成功率は8割にのぼり、全53盗塁のうち、20盗塁は初球に成功させたもの。これまでの3年は初球に偏るというよりは2球目、3球目…と満遍なくスタートを切っていたが、今年は意識が変わり、積極的に初球から次の塁を狙うことで、自らの盗塁数の増加と、チームへ多くの好機をもたらすことに成功した。
今年は一気の飛躍を果たし、充実したシーズンを送ることができたはず。しかし来季からはまた新たな競争が始まり、新監督となったことで、2月のキャンプインから積極的なアピールが必要となるだろう。埼玉西武のスピードスターへと成長しつつある金子侑選手は、2年連続盗塁王に輝き、チームを2008年以来となる優勝へ導くことはできるだろうか。キャンプイン後からの積極的なアピールに期待したい。
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