憧れの球団で働くだけで満足をしない。もっと強く、もっと喜びを。 西武ライオンズ 経営企画部 藤田大志さん【PLMキャリアインタビューVol.2】

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2021.2.8(月) 18:00

(C)PLM
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「スポーツに関わる仕事」と一口に言っても、多種多様だ。今回は、パシフィックリーグマーケティング株式会社が運営するスポーツ業界専門の転職エージェントサービス「PLMキャリア」を通じて転職された方にインタビュー。転職のきっかけや仕事の魅力を紹介していく。

良いスパイラルを創るために

スポーツビジネスに関わる仕事や業務内容は特別。そういうイメージもあるが、例えば球団というものをしっかり見ていくと、実は普通の会社と同様であることがわかる。つまり、球団に転職する場合でも前職のスキルやノウハウを生かせるということ。藤田さんもその一人。飲料メーカーで新卒から酒類事業会社の経営企画部署に所属し、マーケット分析や経営計画立案などさまざまな経験をしてきた。

「現在の業務も経営企画。具体的な業務としては、まず株式会社としての西武ライオンズの売上、利益などの経営指標の立案、達成までの進捗管理です。予算の作成も行います」

グラウンドの中、スタジアムの中だけで経営のすべてが完結するわけではない。チームを強くするための努力、ファンのための取り組みはもちろん、株式会社としての責任を果たしてこそ健全な球団経営と言える。経営企画は球団経営のすべてを見通して、それを全ういていかなければならない。

「もう一つの業務としては、ライオンズは西武グループのひとつの会社ですので、グループ各社とライオンズがどのように連携していくのか、というものがあります。普段から数字のやり取りはしていますが、それだけではなく、連携企画やコラボレーションの窓口にもなります。基本的には球団の数字づくりや戦略の立案が基本的な仕事ですが、グループ全体の動きを捉えて、それをどう結びつけていくのかも大切です」

グループは鉄道会社を中心に交通、不動産、土地開発からホテル、観光、娯楽、生活サービスまで実に幅広い。球場につながる沿線。そこで育つ子どもたちが選手に憧れ、くらしの中で球団に熱い思いをもってくれる人々がいる。球団がグループのビジネスに波及し、グループの取り組みが球団を潤し、それがまた人々に還元されていくという大切なスパイラルをつくる。話を球団内の業務に戻そう。

「球団にはまったく別の性質を持つ二つの塊があります。球場にお客様に来ていただく、スポンサーを獲得するといった売上を上げる部門と、チームの運営をする、いわばコストが発生する部門。その二つを同時に見られるというのは経営企画ならではかな、と思います」

売上がなければ強く魅力的なチームをつくるための予算は組めない。強い魅力的なチームでなければ来場も販促もスポンサーの獲得ができない。いずれもチームを強くするための仕事。二つのプロフェッショナル集団。その両輪が回れば、ここでも良いスパイラルが生まれる。

「球団で働くことのやりがいってまさにそこかなと思っていまして、チームが強くなる、ファンが増えて、会社が成長する。そうするともっとチームをサポートでき、さらに強くなる。そこが経営企画に限らず、会社で働くうえでのモチベーションになります」

ここでも良いスパイラルをつくるというのがキーワードなのだろう。二つのプロフェッショナル集団を見られる経営企画という仕事は、俯瞰する力も必要だが、藤田さんは同時に、現場により近い感覚を持つ必要性も感じている。それは、しなければならないことではなく、元々したいことだったようだ。

「企画の人間はなんでも屋さん。専門性をもって取り組んでいる部門、人たちの間を縫いながら、つないでいく仕事だと思っています。例えば事業部門の仕事であるイベントでも、アイデアを出していく。そして出すだけではなく最後まで自分が一緒に関わってクロージングまでもっていく。イベントのブースに立つこともあります。お客様の顔を見ることで、自分が提案したことがどう届いているかを知ることができる。これが私のやりたかったことなんです」

現場との距離感が近ければ、改善策もすぐに反映できる。数字や予算は現場の努力の積み重ね。エビデンスや裏付けは現場にある。そしてなにより、現場で自分の思いが感じられることが藤田さんの喜びでもある。

「前職でのお酒の仕事も野球の仕事も、趣味嗜好にかかわる仕事。誤解を恐れずに言えば生活必需品ではないのかもしれません。でも、お酒や野球がお客様に提供できるパワーには生活必需品以上の価値があると信じています。だからこそお客様にどう価値を感じていただけるか、生命線はそこしかない。ライオンズというブランドにお客様一人ひとりにお金を出していただく。経営企画はその積み上げなんです」

勝つことの喜びで結びつく

飲料業界において国内でも最大手の企業で働いてきた藤田さん。実は会社にも仕事内容にも不満はなかったと言う。それでも転職を決断した。

「30歳ごろから頭の中にずーっと球団というのはあったんです。でもそのころは自信がありませんでした。それが33歳でもしかしたらやれるかもしれないという気持ちに変わったんです。33歳の今なら失敗しても、もう1回がんばれるという自分なりの枠を決めて」

PLMキャリアを通じて各球団の情報、冷静に自分に合うか合わないかを精査しているときにライオンズという選択肢が出てきたが、これも藤田さんをつき動かすものとなった。

「東京の西側の生まれ育ちで、小学校では野球をしていました。西武沿線住まいでしたしライオンズが身近にありました。あの頃のスター選手の方々と仕事でご一緒することもありますが、当時は夢にも思わなかったですね」

運命なのか縁なのかタイミングなのか。球団であればどこでもと考えていたが、意中ともいえる球団。そこで充実した仕事ができてこそ、転職の成功と言える。

「フットワークの軽さが自分の強みです。そしてお客様を近くに感じたい。前職では組織の先に卸、小売りがあって、なにかをやるうえでお客様までの距離が遠かった。組織の良さはあるが、自分の強みは活かしにくい。ライオンズでは自分のフットワークを生かして、お客様まで届きやすいです。強い責任感が必要ですが、強みを活かせる仕事だと感じました」

そしてなにより、好きだった球団で、グラウンドの中ではなくとも一緒に戦える。

「やっぱり勝つことはうれしいですね。最終的には会社が成長するだけでなく、チームが強くなって、満員のメットライフドームで、ファンの皆さんと日本一を分かち合うこと。そのために自分自身が取り組むことにも胸をはって、少しでも自分の仕事がその光景の一部をつくれたら。それが常に頭にあります」

グラウンドの中のチームに負けないように、会社もチームとして一丸になる。

「それぞれがプロフェッショナル。事業も現場もスペシャリストが動いています。それが一つにつながる。みんな感情は一緒で、ライオンズが勝ったらうれしい。経営企画の立場としてそれをつなげていきたいです。でもまだ自分自身、全然できていない。足りないところがたくさんあります。伝える力を磨く、それぞれの考え方を理解する。そして実績を積み重ね、スキルを磨き、役割を広げていくことが必要ですね」

思いをカタチにしようとする意志、その意志を支えるスキル。それはどの仕事でも必要なものかもしれない。最後に経営企画に限らず、球団、この業界で活躍したいという人に藤田さんからのアドバイス。

「私自身、同じ仕事をするなら楽しい方がいいよね、というのがポリシー。ライオンズが勝ったかどうかというのはすごくモチベーションにつながっています。スポーツの喜びや悔しさを原体験に持っていらっしゃる人は向いていると思います」


◇PLMキャリアの詳細はこちらからご覧いただけます。

文・岩瀬大二

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