大谷初黒星も「価値下がらない」、米名物コラムニストが分析
メジャー3試合目の登板で初黒星を喫したエンゼルスの大谷翔平投手。17日(日本時間18日)の本拠地レッドソックス戦では右手中指のマメの影響もあり、2回3失点で降板した。米メジャースポーツを長年取材している名物コラムニストはこの一戦をどう見たのか。二刀流右腕に対する現状の評価を聞いた。
「私はオオタニの不安定な投球に驚いた。彼が手のマメを悪化させていたとは分からなかった。その後の発表で、マメだということが分かって、合点がいったよ。彼の評価はレッドソックス戦で下がったか? 個人的にはそうは思わない。マメを侮っていけない。この問題を抱えている投手は自分の思い通りの投球が難しい。大体打たれてしまうものだ。だから、これで彼の評価が下がったとは思わない」
こう話したのは、米スポーツメディア「スポーティングニュース」のジョセフ・ディポリート記者。ロサンゼルスを拠点にエンゼルスなどMLB球団や他競技の取材を展開する名物コラムニストだ。記者会見でも激しい身振り手振りとともに大谷やマイク・ソーシア監督に対して質問を飛ばしている。
開幕から投打で際立った活躍を見せ、ア・リーグ週間最優秀選手にも選出された大谷。マメの影響で変化球の制球に苦しみ、レッドソックス打線の攻勢に3失点を喫したが、大谷の評価を損なうものではないとディポリート氏は優しい視線を注いだ。
「オオタニには投球に対するマメの影響を質問した。ファストボールもスプリットも本来のものではないと話していた。レッドソックスの打者も最初の2球程度で今日はスプリットの制球がないことを理解しただろう。最大の武器がいつもの威力がないとわかれば、速球を狙う。カウントが悪くなって、ファストボールが来るとわかれば、そこに集中する。あの試合ではレッドソックスの打者が圧倒的な優位性を手にしていた」
最初の2週間は強烈な輝きも常に継続は「不可能」、求められる「修正力」
ディポリート氏は大谷の宝刀スプリットの制球が定まらなかったことでファストボールが狙われていたと分析。先頭打者ホームランを浴びせたムーキー・ベッツ外野手も大谷の変化球に手を出さず、速球狙いだったことを告白していた。
「開幕2週間のオオタニの働きは圧巻だった。だが、どんな優れた選手でもあのパフォーマンスを1年間維持することは不可能だ。しかも、対戦相手はシーズン6か月の間、血眼で投手として、打者としての弱点を探して来る。オオタニを無効化させようとする。打者オオタニ、投手オオタニに対して、それぞれ修正して来る。修正に次ぐ修正という、いたちごっここそが、メジャーを成長させているものでもある。
レッドソックスはオオタニのマメにも助けられたが、スプリットに手を出さないという戦略を見せた。マメが癒えた後の、投手オオタニの修正力が大事になる。緩急をつけるためにカーブの数を増やす、ファストボールのスピードに変化をつけることも効果的ではないか」
ディポリート氏はこう分析した。シーズン序盤にリーグ屈指の活躍を見せた大谷に対するスカウティングは進んでいる。今後、ライバルチームが綿密に練った対策を、二刀流右腕がどう乗り越えていくかが重要となる。
「もう一度言うが、オオタニの価値は損なわれるものではない」
大谷はスプリングトレーニングで投打で成績が振るわなかった。オープン戦の打率は.125、防御率は27.00。だが、大谷は手元で動くメジャー投手に対応するために右足を上げるフォームからノーステップの打法に変えるという絶大な修正力を見せた。今でも試合ごとに反省を忘れず、飽くなき向上心を見せており、壁に当たったとしてもそれを乗り越えていく可能性を秘めている。
ひとまず、レッドソックス戦の初黒星とマメの問題でアメリカでは大谷フィーバーも一息ついた格好となった。
「もう一度言うが、この試合でオオタニの価値は損なわれるものではない。アメリカメディアの問題だが、スポーツのみならず、どの分野でも全ては24時間か48時間以内に起きたことが重要で、それまでの偉大なことをすっかり忘れてしまう傾向にあるんだ。彼は若い。長い目でみれば問題ない。OK以上のものを見せてくれるはずだ」
そう嘆息をついた名物コラムニスト。二刀流の快進撃はレッドソックスに止められたが、今後の大谷の逆襲に大いに期待していた。
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