大谷選手を追い続けた元DバックスGMが称賛「本当にいい仕事をしている」
エンゼルスの大谷翔平選手は今季、メジャーリーグ最大のスターとなっている。投げては7回途中まで完全投球、打っては3試合連続本塁打という衝撃的な活躍で、ア・リーグの週間MVPに選出された。スプリングトレーニングでの懐疑論を吹き飛ばし、早くも完全開花の様相を呈している二刀流。かつて大谷選手獲得に奔走していたメジャー球団の強化責任者は、大谷選手の序盤の成功の影に名将マイク・ソーシア監督の存在の大きさがあると指摘している。
投手では2試合先発で2勝無敗、18奪三振、防御率2.08。打者では4試合に指名打者で出場し、打率.389、3本塁打、7打点。二刀流として圧巻の輝きを放っている。
そんな大谷選手の才能を追い続けた男がいる。ダイヤモンドバックスでGMを務めていたデーブ・スチュワート氏だ。現役時代には、アスレチック時代の1987年に最多勝(20勝)に輝いた同氏は二刀流の才能に惚れ込んでいた。
「私はダイヤモンドバックスのGM時代に彼を追っていたんだ。本当にいい仕事をしていると思う。メジャーの投手ともっと対戦して、ボールを見て、このリーグでより長く時間を過ごせば、さらなる修正に成功するだろう。すでに相当な成功を収めているよ」
現在、Dバックスの強化責任者は退任している同氏。ただ、Dバックスは当時、大谷選手争奪戦への参入を最も早く公表していた。
メジャーデビュー10日で完全開花した恐るべき才能――。成功を導き出す大きな要因となったのは、メジャー屈指の名将の存在だったという。
大谷選手に愛情を注ぐソーシア監督は「メジャーで最も賢明な男の一人」
「マイク・ソーシアが率いる球団はどんな球団だろうが、プレーオフ進出の可能性がある。それぐらいの手腕の持ち主だ。彼は偉大な監督だ。独特な手法で、様々な才能を開花させてきた実績がある。大谷選手にとって間違いなく偉大な師匠になる。そこに疑いの余地はない」
スチュワート氏はこう語る。現役時代に捕手として活躍したソーシア監督は、選手・指揮官としてワールドシリーズを制覇。これは史上17人目の偉業だった。監督としてはエンゼルス一筋で、天才マイク・トラウト外野手ら生え抜きの逸材を育て上げた実績を持つ。
メジャー屈指の戦術家として知られるソーシア監督は、大谷選手の起用に関しても緻密なマネージメントを見せている。「特に6人ローテーションで、彼に正しいフィジカルの状況を与えたいと思っている。日本ではその状況で打っても良かったし、投げても活躍したのだから」と語り、スプリングトレーニングから、起用法についてメディアに対しては慎重な姿勢を示してきた。開幕ロースターや登板日などはギリギリまで公開せず、地元メディアの報道が加熱するのを避けるような配慮を見せていた。
その一方で、“新星"に対する愛情も惜しみなく注ぐ。開幕シリーズの敵地アスレチックスの試合前にはこんな発言もしていた。
「二刀流だから、ほとんど別の2選手を擁するようなものなんだ。投手ショウヘイと打者ショウヘイ。我々は彼には背番号を2つ与えたいぐらいだったんだよ」
スプリングトレーニングでは投打両面で修正に苦しみながら、開幕後は大活躍を見せる大物ルーキーには背番号を2つ与えたいと主張。異例の対応が相応しいとまで語り、ねぎらう気持ちを見せていた。
「ソーシアはメジャーで最も賢明な男の一人。メジャー屈指の監督だ。彼の下でメジャーキャリアの最初を過ごせることはオオタニにとっても宝物になると思うよ」
大谷選手の才能に惚れ込んだライバル球団の元強化責任者はこう話し、優しい笑顔を浮かべた。身長188センチ、体重100キロの巨体と大きな心で大谷選手を包み込む名将ソーシア。エンゼルスを選んだ二刀流の決断に、間違いはなかったようだ。
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