開幕直前特別コラム。パ・リーグ6球団の新戦力を動画とともに一挙おさらい

パ・リーグ インサイト

2018.3.26(月) 21:23

平年より早く都内での桜の開花宣言が発表されたかと思えば、4日後の21日にはなごり雪が降るなど、まだ天気の移り変わりが激しい3月下旬。しかし、同時にプロ野球ファンにとって待望の、開幕の時が刻一刻と近付いていることを意味する季節でもある。


2017年シーズンは福岡ソフトバンクが圧倒的な強さで2年ぶりの優勝を果たし、日本シリーズでは下剋上を目論む横浜DeNAを4勝2敗で撃破。シーズン中の勢いそのままに、見事日本一の栄冠に輝いた。しかし、今年はオープン戦でいきなり8連敗を喫してつまずくなど、昨季王者が絶対的とは言えず、混戦模様となっている。そこで、チームの浮沈を大きく左右する新戦力をおさらいし、パ・リーグの18年シーズンの行方を占っていきたい。

北海道日本ハム

頂点に上り詰めた前年から一転、昨季は借金23を抱えて5位に低迷。今季は昨季からの大幅な上積みが必要なだけでなく、大谷翔平選手、マーティン投手、増井浩俊投手、大野奨太選手らの穴を埋めるという決して容易ではない課題もが降りかかる。それだけに、Bクラスからの巻き返しのためには、新戦力の活躍が必須であることは言うまでもない。

投手陣では、新外国人投手の3人が中心となるだろう。中でも、守護神候補のトンキン投手がオープン戦で6試合に登板し無失点と好投を続け、期待通りの活躍を見せている。2メートル超えの長身から繰り出される直球は威力十分で、低めに決まる変化球との組み合わせで打者を翻弄(ほんろう)する。また、マルティネス投手、ロドリゲス投手の両右腕に関しては、ローテーション入りを確実なものにするためにも、さらに調子を上げていく必要がある。

野手では、7球団が競合した清宮幸太郎に自然と注目が集まっているが、あまりの注目度の高さゆえに腹膜炎で体調を崩し、一時的な入院で離脱した。しかしながら、本拠地での練習試合ではフェンス直撃の二塁打を放つなど、素質の片りんは見せている。野手がしっかりと育つ土壌で怪物の才能が開花するか。

楽天

シーズン序盤は首位争いを演じるも、故障者続出で優勝を逃した楽天。今季は、目立った補強こそないものの、チームにとって非常に大きな存在となるベテランが帰ってきた。涙のトレードから8年ぶりの復帰を果たした渡辺直人選手のことである。近年は出場機会が減っていたものの、打席で見せる勝負強さはいまだ健在。渡辺直選手を尊敬する選手は多く、練習時や試合に臨む姿勢など、チームに好影響を与えることは間違いない。

ドラフト加入組では、1位の近藤弘樹投手、2位の岩見雅紀選手が軸となるだろうか。近藤投手、岩見選手ともに1年目から十分な結果を残せる可能性を秘めており、チームの底上げには不可欠な存在と言っていい。

埼玉西武

昨季後半に59年ぶりとなる13連勝で驚異の追い上げを見せた埼玉西武。しかし、前年に続き今年もFAで野上亮磨投手が巨人へ移籍し、ルーキー時代からチームを支え続けた牧田和久投手もメジャー移籍を果たすなど、解決すべき課題は山積している。

そんなチームを救うべく、投手では野上投手の人的保障選手として加入した高木勇人投手が期待通りの活躍を見せている。オープン戦初登板となった9日の楽天戦で5回1失点。さらに古巣相手となった17日の登板では7回1失点と、さすがの投球を披露した。移籍した2投手の穴を埋めることはなかなか難しいが、2ケタ勝利は確実に狙える存在だろう。

野手では、03年以来の古巣復帰となる松井稼頭央選手を挙げたい。メジャー挑戦後、楽天での7シーズンを経て15年ぶりにライオンズのユニホームに袖を通した。オープン戦では主にレフトの守備に就き、3割を超える打率をマーク。バックアップ要員としての活躍だけでなく、スタメン奪取の可能性も。

千葉ロッテ

昨季はオープン戦好調だった外国人選手がシーズン中は不調に。先発陣もそろって前年の成績を下回るなど、不振にあえぐシーズンとなった。今季は5人の外国人選手をごっそりと入れ替え、新たな顔ぶれで臨む。オルモス投手、ボルシンガー投手の両投手は先発としての活躍が見込め、シェッパーズ投手は高い奪三振能力で救援陣に厚みを持たせる。

一方の野手は、ドミンゲス選手、ペゲーロ選手の長距離砲2人に加え、ドラ1・安田尚憲選手をはじめとする藤岡裕大選手、菅野剛士選手ら新人選手の台頭も上位を狙うには必須項目となる。この中からスタメン定着を果たす選手は何人現れるか、注目していきたい。

オリックス

1996年から遠ざかっているリーグ優勝を目指すオリックスに、新人王候補筆頭の投手が加わった。その投手とは、社会人ナンバーワン左腕の呼び声高い田嶋大樹投手だ。即戦力投手としていきなりの2ケタ勝利が期待されており、求められるレベルは高いものの、それをいとも簡単に乗り越える可能性は十分だ。

それ以外だと、メジャー経験のある左腕アルバース投手や、俊足が売りの山足達也選手の加入なども明るい材料となりそう。20年以上跳ね返されてきた優勝という高き壁を、今年こそ超えることができるだろうか。

福岡ソフトバンク

昨季は圧倒的な強さを誇り、他球団を圧倒した福岡ソフトバンクも、前述したとおり今年のオープン戦では捕手陣を中心にけが人が続出し、苦戦を強いられた。

昨季オフに大きな補強は行わず、現有戦力でのシーズンを迎えることになる今季だが、ドラフト組では、2位で加入した高橋礼投手が面白い存在となり得る。188センチの長身ながら、投法はアンダースロー。手足の長さゆえか、右手の指は地面に何度も擦るという。経験を積み、プロのマウンドに慣れさえすれば強力な投手陣の一角に食い込んでも何ら不思議ではない。

野手では、トレードで加入した西田哲朗選手が激しい内野手争いに割って入るか。ファーストに内川聖一選手、ショートに今宮健太選手、サードに松田宣浩選手と、強力な面々が並ぶが、今宮選手は肘に不安を抱え、セカンドはレギュラー不在。二遊間のポジションは活躍次第で奪える可能性があるだけに、自慢の長打力で牙城を崩したい。

新戦力たちの活躍次第で勢力図がガラリと一変しそうな18年シーズン。苦戦したオープン戦から調子を上げ、今年も福岡ソフトバンクが圧倒的な強さを誇示するか。はたまた、王者の連覇に待ったをかけるチームが現れるか。まもなく、約7カ月にわたる新たなシーズンが幕を開ける。

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