昨年までは楽天の則本が5年連続で奪三振王を獲得
奪三振王は、本格的なパワーピッチャーに与えられるタイトルだといってよい。今季のパ・リーグでは、タイトル争いに大きな変化が起こっている。
過去5年間のパ・リーグの奪三振王。率は奪三振率(9回当たりの奪三振数)
2014年 則本昂大(楽)204奪三振(202.2回 率9.06)
2015年 則本昂大(楽)215奪三振(194.2回 率9.94)
2016年 則本昂大(楽)216奪三振(195回 率9.97)
2017年 則本昂大(楽)222奪三振(185.2回 率10.76)
2018年 則本昂大(楽)187奪三振(180.1回 率9.33)
2013年にデビューした楽天の則本が、2年目から5年連続でタイトルを獲得。この間、大谷翔平(北海道日本ハム、現エンゼルス)や菊池雄星(埼玉西武、現マリナーズ)などと激しい奪三振王争いをしていたが、9を超える高い奪三振率で最後はタイトルを獲得していた。
しかし今季は、則本が3月に右肘のクリーニング手術を受けて4か月間欠場、奪三振王戦線は大きく変化した。
○今季のパ・リーグ奪三振10傑
1 千賀滉大(ソ)146奪三振(111回 率11.84)
2 有原航平(日)114奪三振(111回 率9.24)
3 山岡泰輔(オ)103奪三振(115.1回 率8.04)
4 山本由伸(オ)91奪三振(100.2回 率8.14)
5 二木康太(ロ)89奪三振(95回 率8.43)
6 涌井秀章(ロ)80奪三振(95.2回 率7.53)
7 今井達也(西)76奪三振(98回 率6.98)
8 松井裕樹(楽)74奪三振(46.2回 率14.37)
9 大竹耕太郎(ソ)71奪三振(103.2回 率6.16)
10 美馬学(楽)70奪三振(91回 率6.92)
福岡ソフトバンクの千賀は146奪三振とハイペース、楽天松井は驚異の奪三振率14.37
福岡ソフトバンクの千賀が2位の有原に32差をつけて、独走状態。奪三振率は驚異の11.84。このペースでいけば、200イニングに到達すれば263奪三振に達する計算になる。
平成以降で250奪三振をクリアしたのは、野茂英雄が3回(1990年287奪三振、1991年287奪三振、1993年276奪三振)、ダルビッシュが1回(2007年276奪三振)の4例だけ。21世紀以降ではダルビッシュだけだ。投手の分業が進み、登板数、投球回数が少なくなっている近年の野球では、極めて珍しい。今後の活躍次第では、千賀は平成以降の最多奪三振を記録する可能性もある。
10傑で目に付くのは唯一、救援投手でランクインしている8位の楽天の松井。奪三振率は14.37という驚異的な数字。松井は、2012年夏の甲子園で大会史上最多の10連続奪三振と1試合22奪三振を記録したが、その奪三振能力は7年後も健在だ。昨年は不振が続いたが、今季は見事復活した。
パ・リーグは福岡ソフトバンクが足踏みして混戦になりそうだが、千賀の奪三振が増えれば、チームも優勝に近づくだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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