プロ野球では、選手の出身校が話題になることが多い。最近は、埼玉西武の快進撃を支えた大阪桐蔭高校、富士大学などが注目を集めた。そこで今回は、個性的な選手を多く輩出してきた「大阪商業大学」に焦点を当てていきたい。
大商大出身の選手といえば、横浜大洋で活躍した齋藤明夫氏や、左殺しとして輝きを放った清川栄治氏(現・埼玉西武二軍育成コーチ)などの名リリーバーが思い出される。そして現在も、この系譜を受け継ぐ救援投手たちが、パ・リーグで大商大ブランドを見せ付けている。
凛々しい表情。熱い献身。杜の都には欠かせない右腕
まずは「サブちゃん」こと福山博之投手(楽天)だ。2010年ドラフト6位で横浜(現・横浜DeNA)に入団したが、わずか2年で戦力外通告を受け、2012年のオフに楽天に加入。
2年目の2014年に65試合で防御率1.87という好成績を残すと、2015年は65試合、翌年は69試合に登板し、いずれも防御率は2点台。ピンチすらほとんど招かない安定感、球界屈指のフィールディング、連投や回跨ぎをこなす頼もしい姿勢などで、チームからの絶大な信頼を勝ち取っていった。
そして、昨季も様々な起用に応えながら、開幕から36試合で自責「0」と、抜群の安定感を見せ付ける。松井裕樹投手が離脱した時期は抑えまでをも務め、最終的には65試合に登板。4年連続65試合以上登板を達成し、23ホールド、7セーブ、防御率1.06の成績を残した。
勤続疲労も心配される中、毎年のようにチームトップの登板数を記録する福山投手。楽天が昨季のリベンジを果たすためには、半袖がトレードマークの「サブちゃん」の存在を、今年も当然欠かすことはできない。
投手王国再建へ。大きな期待がかかる地元出身の筋肉自慢
福山投手が指名されてから5年後の2015年、プロ野球選手としてのキャリアを歩み出したのが、オリックス・近藤大亮投手だ。
大商大では福山投手の3つ下の世代にあたり、社会人・パナソニックを経ての入団となった。そのキャリアもまた先輩同様に挫折から始まる。
ルーキーイヤーの2016年、近藤投手は開幕第2戦の先発マウンドを託される。3回までに1失点とまずまずの内容で、味方の援護に恵まれていたため、プロ初勝利を早くも手中にしたかと思われた。しかし、右肩に違和感を覚えて途中降板、直後にチームも逆転を許す悔しいデビュー戦となってしまう。
さらに、当初は重症とみられていなかった右肩の炎症が長引き、シーズンが幕を閉じるまでに一軍に帰ってくることはできず。この年の一軍登板はその1試合のみに終わった。
だがリベンジを期した昨季、近藤投手は救援投手として一軍の枠を勝ち取ると、キレのある直球を武器に好投を重ねる。最終的に55試合に登板して25ホールドを記録。イニング数(55回2/3)をはるかに上回る71三振を奪い、オフには侍ジャパンにも選出された。
平野佳寿投手が米・ダイヤモンドバックスへと移籍し、北海道日本ハムから増井浩俊投手が加入するなど、オリックスブルペンの陣容がガラッと変わる今季。2年目のジンクスならぬ「3年目のジンクス」を振り払い、今季も救援陣の中心となれるか、注目だ。
福山投手は2年目にして戦力外を経験し、近藤投手は1年目から故障に悩まされた。それでも、それぞれの苦難を乗り越えて、味わい深い活躍を見せる「大商大リリーバー」から、今季も目が離せない。
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