8月7日に開幕する夏の全国高校野球選手権大会(以下、甲子園)に向け、全国各地の地方大会で代表校が続々と決まっていき、今日(7月31日)の神奈川、大阪の決勝の結果をもって全49の代表校が出そろい、甲子園へのムードは一気に高まるばかりだ。
甲子園に限らず高校野球の場合、過去の実績や練習施設が整った私立の高校が有利とされている。それはプロ野球選手の輩出にも直結しており、パ・リーグで言えば北海道日本ハムの中田翔選手、埼玉西武の中村剛也選手、浅村栄斗選手、森友哉選手などが卒業した大阪桐蔭高校。千葉ロッテの涌井秀章投手、北海道日本ハムの近藤健介選手などが卒業した横浜高校はその代表例と言える。その一方で、公立高校からプロ入りし、第一線で活躍する選手もいる。ここでは高校からプロ入りした選手にクローズアップしてみたい。
現在現役で活躍している選手でいえば、福岡ソフトバンクの内川聖一選手が挙げられる。大分工業出身の内川選手は高校時代、甲子園出場はなかったものの、強打の内野手として注目を集める。下級生時代には左かかとの骨に穴が開く難病に苦しんだが、手術を経て克服すると本塁打を量産。一躍ドラフト候補に躍り出た。
2000年のドラフト会議で横浜(現横浜DeNA)から1位指名を受け入団。プロ4年目の04年には17本塁打を放つも、その後はなかなか殻を破れない日々が続く。しかし、08年に首位打者を獲得しリーグを代表する右バッターに成長。11年に福岡ソフトバンクへFA移籍し、移籍1年目で首位打者となり江藤慎一氏以来2人目のセ・パ両リーグで首位打者となった。その後も福岡ソフトバンクの中軸を担い、自慢の強力打線を支えている。
その福岡ソフトバンクはここ数年、07年の岩嵜翔(市立船橋高出身)、10年の山下斐紹(現・斐紹、習志野高出身)、昨年の高橋純平(県立岐阜商出身)と公立高校からドラフト1位で入団した選手が複数人いる。
また、下位指名でプロ入りしレギュラーへとのし上がった選手の代表例が、北海道日本ハムの中島卓也選手(福岡工業高出身)だろう。高校時代は3年春に九州大会で優勝した経験はあるが、ほぼ無名の存在であった。そんな中、08年のドラフト会議で北海道日本ハムからドラフト5位で指名され入団する。そしてプロ4年目の12年には守備固め、代走を中心に105試合に出場し経験を積むと、翌13年はシーズン途中からセカンドのレギュラーに定着。昨年は大引啓次選手(東京ヤクルト)のFA移籍で空いたショートのポジションに入り、34盗塁で盗塁王を獲得。オフにはプレミア12の日本代表にも選ばれた。その堅実な守備はもちろん、2ストライクに追い込まれてからファウルで粘るしぶとい打撃は中島卓選手の代名詞となっている。
ほかにも、公立高校から育成ドラフトでプロの世界に入り、支配下登録を経て一軍で活躍する選手も忘れてはならない。侍ジャパンにも名を連ねている千葉ロッテの西野勇士投手(新湊高出身)。さらに、昨年のポストシーズンでの好リリーフで注目を集め、今年は8勝無敗と福岡ソフトバンク先発陣の一翼を担う千賀滉大(蒲郡高出身)がその代表的な選手だ。
今後、まだ一軍未出場の公立高校出身の選手がどんな活躍を見せるのか。その姿を追うのもパ・リーグを楽しむ一つかもしれない。
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