埼玉西武で3年連続50試合以上登板 サイド左腕が子供たちに説く「経験」の大切さ

Full-Count 篠崎有理枝

2019.4.10(水) 19:26

ライオンズアカデミーコーチの星野智樹さん※写真提供:Full-Count(写真提供:埼玉西武ライオンズ)
ライオンズアカデミーコーチの星野智樹さん※写真提供:Full-Count(写真提供:埼玉西武ライオンズ)

08年には63試合に登板した星野智樹さん「経験を積むことが一番大事」

 プロ野球は3月29日に開幕。元プロ野球選手が講師を務めるライオンズアカデミーも4月から新年度がスタートし、埼玉西武でサイドスロー左腕として活躍した星野智樹さんは、アカデミーコーチとして6年目のシーズンを迎えた。

 三重県・四日市工高から社会人のプリンスホテルを経て、1998年のドラフト3位で埼玉西武に入団。プリンスホテルでは、都市対抗、日本選手権への出場がなく、ホテルでの業務も行っていた。

「人前に出て失礼があるとホテルの信用に関わるし、野球以外何もできなかったので、皿洗いをしていました。コップ1個割っても怒られるような環境でした。働いていた新高輪プリンスホテルの『飛天の間』はドラフト会議の会場で、その横で働いていていつか自分も呼ばれたいと思っていたので、指名されたときは嬉しかったです」

 中継ぎとして活躍が期待されたが、5年間は1軍に定着することができなかった。6年目の04年に投球フォームをサイドスローに変更。その成果が表れ、この年はチーム最多の56試合に登板した。

「フォームを変えようか迷っているときに、野球を全く知らない妻が『やってみたらいいじゃん』と言ったんです。『ずいぶん簡単に言うな』と思ったんですけど、それがよかった。『素人って怖いな』と思ったんですけど、変えるきっかけになりました」

 その後は3年連続50試合以上に登板。08年には63試合に登板し、日本シリーズ、アジアシリーズでも安定した投球を見せて、チームのアジア制覇に貢献した。

「フォームを変えてから登板機会が増え、経験を積めたことが好成績につながったと思います。打たれても、経験を積むことが一番大事。抑えればそれが自信になりますから」

「子供たちが野球を続けられる環境づくりを」と話すアカデミーコーチの星野智樹さん※写真提供:Full-Count(写真提供:埼玉西武ライオンズ)
「子供たちが野球を続けられる環境づくりを」と話すアカデミーコーチの星野智樹さん※写真提供:Full-Count(写真提供:埼玉西武ライオンズ)

「子供たちが野球を続けられる環境づくりを」

 アカデミーの子供たちに「緊張しない方法を教えて下さい」と質問されることがあるが、「経験しかない」と伝えている。緊張は絶対にする。それでも、試合を経験することで、打てば自信、抑えれば自信を得られ、緊張もしなくなると考えている。

「アカデミーコーチとして、多くの小学生の前で話をすることがあります。最初は緊張して同じことを何度も言っていたと思います。でも、今は慣れました。何事も経験を積むことが大事だと思います」

 アカデミーコーチとして6年目を迎え、今は子供たちの小さな異変にも気がつくようになり、なるべく声をかけるように心がけている。

「元気がなかったり、やる気がない子供には『学校でなにかあった?』と聞くようにしています。子供にとっては、技術よりも大事なことではないかと思っています。『聞いて』といっても聞かなかったり、『止まれ』と言っても止まらない子供もいますが、それには何か原因がある。一概に強く言うことはしません」

 野球に興味を持ってくれたのだから、子供たちには長く続けてもらいたいと願っている。近年、野球人口の減少が叫ばれているが「子供たちが野球を続けられる環境づくりを」と提言する。

「今は公園もそうですが、野球ができる場所が本当に少ない。だから野球人口も少なくなる。あとは野球部員の丸刈り頭も考えるところですね。我々のころは当たり前だったけど、丸刈りじゃなくても野球はできる。アカデミーの生徒に『入ったチームが丸刈りにしなきゃいけなかったらどうする?』と聞くと『丸刈りじゃないチームを探す』という答えが返ってくるんです。みんな野球はやりたいと思っているんですよ」

 アカデミーの子供たちが、チームに入ったと聞くのが一番嬉しいと頬を緩める。少しでも多くの子供たちに野球を続けてもらうため、星野さんは子供たちとコミュニケーションを図る毎日を送っている。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

記事提供:Full-Count

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Full-Count 篠崎有理枝

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